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もう夜遅く

 ビニール袋を開けると、中に入っていたのは色とりどりのポップコーン。食べる気はないのに。ビニール袋は破れてしまってこのまま置いておくわけには行かない状況。両手で破れた袋で抱えるようにして、入れ物を探し始める。しかし、ポロポロこぼれてくるのでその分だけ食べながら、台所にやってくると、女たちが片付けをしていた。

「これを入れるものを探してるんだけど」

 ひとりの女が、見回してくれるが、どうやらいいのがないらしい。棚にガラス瓶があったので、それに手を伸ばすと、「ああ、それ洗ってないから」とりあえず、食器棚にあった大皿に開けることにするが、あらかた食べてしまった。

 玄関の横を通り過ぎて、自分の部屋である四畳間にもどると、すっかり夜も更けていた。いつの間に入ってきたのか、大柄な猫が歩いてきた。夜のような色をした、蒼い猫だった。その大猫が喋る。「お母さんが出かけたからそのすきに入ってきたんだよ」しかしその声は、猫の喉からではなく、猫の影あたりから聴こえてくるような感じで、ウワーンとこもっている。

 伯母の住んでいる、ベッドのある部屋に行くと、テレビがつけっぱなしで、どこかの国のなにかの災害の情報をたれながしている。画面が暗くてよく見えない。風呂上がりのこどもたちが部屋に入ってくる。テレビは野球中継に切り替わった。むしろ、災害中継としての野球中継に切り替わった感じがする。もう夜遅いのに、まだ延長戦をやっているのか。アナウンサーが意味不明の解説を行っている。ホークスのユニフォームの色が緑色だ。ふと見ると、子どもたちのパジャマも緑色だった。

「また南海ホークスのユニフォームに戻ったんだね」と私が言うと、子供の一人が説明してくれた。そういうときもあるし、別の○○なときもある・・・等々。しかし、声がもごもごしてよく聞き取れない。

「まあ、もう夜も遅いし寝なさい」と私も自分の部屋に戻ろうとしたら、伯母がいたので声をかけた。

「蒼い猫が来てるよ」

「そんなことよりも」と伯母が言う。伯母の前には、暖色系の着物を着た十歳くらいの少女がいて、その髪を撫でていたのだ。

「この子が迷い込んできて」

「お母さんはどこにいるの」

「たぶん押し入れで寝ているよ」

「じゃあ、私が一緒に寝てあげるよ」

 そういえばうちの猫はどこにいるんだろう。まあいい。寝ているとそのうち布団に入ってくるに違いないから。

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