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芽吹と春夏秋冬  作者: 霜月ぷよ
91/104

♂♀⑤お前最近、胸小さくなってないか?

皆さんに質問です。

皆さんがイメージする女の子芽吹ちゃんて、芸能人かアニメキャラで例えるなら誰?

「おやつは何がいいかな?」


 芽吹は今、部屋に持っていくおやつの準備をしていた。

 学校は今テスト準備期間に入り、授業は午前で終わり、午後は家に帰って各自テスト勉強となっていた。

 そして芽吹はいつものごとく、家に秋人を呼んで一緒にテスト勉強をしていた。といっても、芽吹は自主勉強がかなり苦手な為、一緒にいる秋人はほぼ家庭教師のような役目になっている。

 が……、今回の秋人とのこのテスト勉強、芽吹の真の目的は別にあった。


 今日こそは……。今日こそは、秋人に本当のこと言わないと。今僕の体が男の子になっちゃってることを。


「とりあえずお茶とおやつ持ってこっと。トッポとポテチうすしおと、あとやっぱり秋だからおさつかな」




「お待たせ。お茶とおやつ持って来たよ」


「おう。悪いな。ってあのぉ~……、ハル殿?」


「ん?何?」


「オヌシは3時の休憩を何分休憩するつもりですかな?」


「ん?どういう意味?」


「おやつ何種類食うつもりだ?」


「さっき学校の帰りにコンビニで買ったやつとりあえず全部持ってきたんだけど。駄目?」


 芽吹が持ってきたおやつを確認してみよう。

・おさつドキッ!     1つ

・ポテチうすしお     1つ

・唐揚げ様々       3種類

・トッポ         1つ

・幻のチップチョップ   1つ



「………こう目の前でテーブルいっぱいに広げられるとさ、これだけで腹一杯になるよな」


「サササ、秋人さん遠慮なさらずに。いざという時に備えて」


 そこで秋人は気付いた。

 芽吹が変にテンションが高い時や、秋人がツッコミ役になる程のボケをかましてきた場合は、大抵何かメンタル的負担を抱えている時であると。長い付き合い故の確信である。


「ハル、お前俺に何か隠してることとかないか?」


「…………は、はいぃ?」


 秋人はいつもより声のトーンを下げて芽吹に問いかけた。すると芽吹は分かりやす過ぎる反応を見せた。


 しばし見詰合う二人。秋人は若干ジト目。芽吹は笑おうとしているが完全に顔が引きつっていた。


「最近一つ気になってることがあるんだけどさ……、」


「う、うん……」


 うぅ~~、今日の秋人なんか怖いんですけど。


「怒るなよ?」


 頷く芽吹。そして緊張からか、お茶を軽くすすった時だった。


「お前最近、胸小さくなってないか?」


「ブフゥーーッ!」


 霧状のお茶を盛大に浴びた秋人は、内心で図星か……。と納得した。



 ………………………………………………………………




 芽吹は男の子の体に戻ってしまった事をついに秋人に告白した。


「は!?…………それマジでか?」


「ごめんなさい」


 クッションをぎゅうぅぅっと抱きながら小さくなる芽吹。


「別に怒ってないから謝るな。事情とハルの気持ちは分かった。そりゃ言いづらいって」


 気不味いのだろう。秋人は頭を掻きながらおさつドキをボリッと一枚噛った。それにつられて芽吹もポリッとひと口。

 夕夏と八乙女さんにはもうこのことは話してあるっていうのも話した方がいいよね。

 そう思いながら静かにお茶を啜る。秋人も啜る。二人揃ってお茶を啜る静かな時間がながれ、程なくして芽吹が口を開いた。


「秋人にもう一つまだ言ってないことがあるんだけど……」


 ポテチを持ち上げた秋人の手が止まったが、芽吹は敢えて気にせず続けた。


「あのぉ~さ、夕夏と八乙女さんにはもうこのこと話したんだ。で、その結果、今のこの髪型にすることになった訳なんだけど。あっ、もちろん中学まで男の子だったってことは話してないんだ。だからつまり……」


 そこまでで納得してくれた様子の秋人に、芽吹はようやく久し振りに気持ちが軽くなったことを実感していた。


 今まで言わなきゃと思ってたことを全部言えたし、秋人の反応も、僕が心配してたのと全然違うくて。秋人はやっぱり普通で優しかった。そのおかげか、その日の勉強は気持ちいいほどサクサク進んだ。秋人も少しは驚きながら誉めてくれたし。


 テスト勉強が終わり、玄関で秋人を見送る時、


「明日、あの二人に会ったら礼とか言っとかないとな。俺、全然力になれなくて……。むしろハルを悩ませてたなんて……」


「ちょっ、待って待って。秋人が落ち込まないでよ!秋人は全然悪くないから。僕の性別的な部分がデリケート過ぎてちょっとあれだっただけだから」


 急に落ち込み出した秋人をなんとか説得して落ち着かせ、今日でこの件は一件落着となった。


 でもこの体、このままなのかな?それともまたなんかの切っ掛けで女の子の体に戻ったりするのかな?いったい僕の体に何が起きてるんだろう?


 男の子の体に戻ってからここ数日、芽吹はお風呂やトイレの時になる度にため息をこぼしていた。


 でもまぁ、今更心配しても仕方ないかな。女の子の体の時だってなんとかやってこれたし。秋人もいるし、あと今度は夕夏と八乙女さんもちゃんと事情を理解してくれてるし。


 芽吹のメンタルは意外とポジティブで強かった。その元気な様子を汲み取った母菜花と兄筑紫は、


「芽吹ちゃん、可愛く強くなったみたいね。うん。女は可愛く強かでなくちゃ!」


「まぁ、現在厳密に言えば女ではないんだろうけど。どっちにしたって芽吹は俺の可愛い兄弟だ。芽吹に頼まれればいつだって人肌脱いで……いや、全裸でサポートするぜ!」


「とんだ変態だわ。全く誰に似たのかしら?」


「さぁ?」





続く……








作者的には、女の子芽吹ちゃんなら『カードキャプターさくら』のさくらちゃんあたりかな?現在のボーイッシュ芽吹ちゃんだと、『みなみけ』のまこっちゃんらへんでしょうか?見た目的には。


新作お知らせ《キューティーフェイス~JK男子は恋をしない~》が3話まで投稿されています。気が向いた方は是非チェックしてみて下さい。

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