♂♀②僕男の子になってしまいました。
芽吹ちゃんカミングアウト?
秋人が来てしまった。
部屋に入れてしまった。
うおぉぉ、どうすれば……!?何から話せばいいんだろう?
「またアレか?今は平気なのか?」
「アレって?あぁ、まあ……アレに近い感じになるのかな……?」
"アレ"ってたぶんアレのことを秋人は言ってるんだろうけど。それとは違うんだよねぇ……。でも、なんて説明したら良いんだろう?「ある日突然男の子になりました!」とかって言えば良いの?なんかそんなタイトルの投稿小説があったような……。
前に女体化したばっかりの時って僕秋人にどう説明したんだっけ?
問い掛けに曖昧な返事と何やら考え込みだす芽吹の様子に、"アレ"以外に今度は何事かと内心焦り始める秋人。
「もしかして、なんかまた別の症状が現れたりしたとかか?」
「ん、う~ん……。えっと……」
「俺に話せることで、俺に何か出来ることがあるんなら、俺はお前を全力でサポートする。もし恥ずかしいこととかなら……、いや……」
そこで秋人は何かに迷うように俯き、何かを思い切るように息を吐いた。
「彼氏彼女の関係になっても、俺とハルの中だ。俺を思いっきり頼ってくれ。お前の助けになれないと俺は、彼氏失格だから」
「そ、そんなことにはならないよ!失格なんて、そんなことにはなりません!させません!」
「ならハル、はっきり言ってくれ。お前が今何に迷って言いづらくしてるかはわかんねぇけど……。俺はハルの悩みを出来るだけ共有したい」
芽吹は秋人のそんな言葉に思い切って打ち明けようと小さく息を吸った。
「うん。思い切って言うよ秋人」
静かに頷く秋人。
「実は僕……」
秋人は真剣な眼差しで芽吹を見つめ、芽吹は緊張で胸の鼓動が早まるを感じていた。
緊張の静寂にお互いの呼吸が微かに聞こえた。
「僕今体が……」
と、その時だった。
「芽吹ちゃーんお見舞いに来たよー!」
「あっコラ夕夏、ノックぐらいしろ!」
「ゆ、夕夏と八乙女さん!?」
「お!秋人君も来てたんだ。流石彼氏ぃ!」
「ぉ、おぅ……」
「芽吹ちゃん具合はもう平気?大丈夫?秋人に何かエロいことされた?されてないなら今からアタシと秋奈っちでしようか?アタシウザい?」
「だだ、大丈夫だから。ってかちょっと夕夏近いよ!」
「「夕夏お前ちょっと落ち着け!」」
僕のことを心配して見舞いに来てくれた夕夏と八乙女さん。夕夏は僕への心配からの興奮か、それとも僕の家に来たことに対する興奮なのか、この後秋人と八乙女さんとで落ち着かせるのにしばらく時間が掛かったのだった。
外が薄暗くなる頃に夕夏と八乙女さんは帰り、秋人はもう少し居てくれたけど、母さんが晩御飯を一緒どうかと誘ったところで秋人は遠慮して申し訳なさそうに帰って行った。
なんだかんだで結局言えなかった……。体が男の子に戻ったこと。
芽吹はもう数日学校を休み、様子を見ることになった。
芽吹は家族と話し合い、その結果、学校は今まで通り女子として過ごすことに決めたのだった。その変わり、保健体育などに関しては学校側で誰か助っ人が必要だろうという話になった。
一番は芽吹との関係が誰より深く、そして誰よりも芽吹の事情をよく知る秋人が適任かと思われたが、"女子"として過ごす以上、男子である秋人では行動に限度がある。では保健室の先生ならどうか?しかしこれも"先生"という立場にもかなり制限があった。そして最終的結論として上がった助っ人候補は……。
「実は僕……」
「……」
「実は……」
「……」
「実は……、僕男の子になってしまいました!」
昼休み。
芽吹は今、夕夏と八乙女さんを連れて屋上近くの非常階段に来ていた。
「男の娘……?」
「男の……子」
夕夏、八乙女さんと順に首を傾げた。芽吹の突然の告白に、二人はいまいち意味不明という顔だった。
芽吹は引かれるかもしれない。理解してもらえないかもしれないと、ビクビクしながらも、夕夏と八乙女さんを信じてはっきり正直に自分の身に起きたことを二人に説明をした。
「芽吹ちゃんの体が……」
「男……?」
「……う、うん」
恥ずかしさと緊張で小さく頷くことしか出来ない芽吹。そんな芽吹を夕夏と八乙女さんは上から下へ。そしてまた下から上へと視線を巡らせた。
「見た目には全く今までと変わらないように見えるが……?」
八乙女さんはそう言った。対して夕夏は……、
「う~ん……。おりゃっ!」
ムギュッ!
「にゃっ!?」
夕夏は目にも留まらない速さで芽吹の胸を掴もうとした。だが実際は……。
「ホントに無い……!?……勝ったわ。ぁイダッ!」
「またキサマは、突然なんてことをしているんだ!?」
「いやぁ~、ホントに男の子の体なのかなぁ~と思って?」
「だからってあんないきなり触るヤツがあるか?まずは許可を取れ」
「いや、秋奈っち、許可って……、『今からアナタの胸を触りますが宜しいですか?』って?」
夕夏のそんなセリフに、シチュエーションを想像して真っ赤になって固まる八乙女さんと芽吹だった。
それどんな変態紳士ですか!?
内心でツッコミを入れる芽吹。
「最近アタシより成長してきてたっぽい芽吹ちゃんの胸は今は無いっと。ってことは~……?」
夕夏はゆっくりと疑問と、妙な視線を芽吹のもう一つのゾーンに向けた。だがそれにまだ気付けていない芽吹と八乙女さんだが、表情に警戒の色を浮かべた。
と、次の瞬間……。
「芽吹ちゃんちょっとごめん!」
「ほえ?……って、ちょわぁっ!?」
突然夕夏は芽吹の手を掴んでその場から駆け出した。僅かに遅れてそれを追って八乙女さんも走り出した。
「ちょっ、おい待てコラ夕夏!キサマまたいきなり何をするつもりだ!?」
僕は今、女子トイレの個室で大ピンチです。
「芽吹ちゃんがボクサーパンツを履いている。しかも良からぬ膨らみも確認出来る」
「コラ夕夏、キサマ今春風さんに何をしようとしている!?」
夕夏にいきなり拉致られて、連れ込まれたのは女子トイレの個室。そして入るなりいきなりスカートを下ろされました。
いきなり何ですかこの展開!?いったい夕夏に何があったの!?僕をどうする気!?
「これは……これじゃあ……」
わなわなと体と共に言葉も震わせて、何か怒りのような、驚愕のような表情で呟いた夕夏。
「ゆ、夕夏?」
警戒しつつも夕夏の挙動を心配して夕夏の顔を覗き込む芽吹。
「これじゃあ……、芽吹ちゃんの体をイジレないじゃない!ワキワキあいあい、ハグハグモミモミ出来ないじゃなーい!」
「へっ……!?」
「は……?」
夕夏は急に頭を抱えてそう叫び出した。目の前にいた芽吹は驚きで壁に仰け反り、ドアの向こうの八乙女さんは夕夏の言葉に驚きが1割り。疑問が3割りと、残りの6割りが怒りだった。
続く…
女性用ボクサーパンツ?それはそれで太股のあたりがなんかエロかったり?




