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芽吹と春夏秋冬  作者: 霜月ぷよ
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春六番 ム、ム、胸が…

今回は女子の身体測定がテーマです。しかし、正直なところこの話、作者のボキャブラリーが極小なんです。100%妄想なのでご了承下さい。

ホームルームも終わり、他の生徒はもう帰り始めていた。

教室を出て行くときに、誰もがみんな芽吹に手を振って帰って行く。

「春風さ~んさらばですぅ~!」

「春風さんまた明日ねぇ!」

「芽吹ちゃんバイバーイ!」

芽吹は照れながらも一人一人に挨拶を返していた。そんな中、また鳴海夕夏が突然抱きついてきたのである。

「ハルぅ~っち、ムギュッ!一緒に帰ろ」

「ヒャッ!あぁもう、夕夏かぁ、ビックリしたぁ~」

「ったく、夕夏キサマはまたそうやって。春風さんが困ってんだろうが」

「あ、いや、別に困ってるとかじゃ…。少しビックリしただけだから。ほら、僕ってビビりだし」

軽く頭を掻きながら苦笑いを浮かべる芽吹。

「ほーらね。ハルっちは全然気にしてないんだって。ねぇ~?」

後ろから芽吹の顔を覗き込む夕夏。

「キサマはもっと気にしろバカ者!」

相変わらず夕夏にはよくツッコむ秋奈である。

「あっそうそう、気にするって言えばさぁ、来週の健康診断、やっぱ気になるよねぇ?…体重とバスト」

最後の部分は溜め息が混じっていた。

すると八乙女さんが、バカバカしいと言わんばかりに言い放った。

「フン!そんな事を気にして何になる」

八乙女さんはクラスの中でも割と胸が大きい。そんな彼女にこんなことを言われた胸まぁまぁの夕夏は、眉間にシワと、意地悪な笑みを浮かべて八乙女さんに掴みかかった。

もみゅん!

「ふわぁっ、なっ…キぃサぁマぁ~!」

夕夏に隙を突かれ、不意打ちで胸を鷲掴みにされた八乙女さんは、驚いた表情から一変、まるでなまはげを連想出来そうな真っ赤な形相で夕夏に襲い掛かっていった。

「待てこンの戯け者、ああいう事は女同士でもやって良い相手と悪い相手がいるんだ。もっと慎みを持てバカ者がぁ!」

(うわぁ~、八乙女さんの胸、制服の上からでもなんか凄そうだったなぁ~。うわぁ~…)

ドタバタと騒がしい2人を見ながら、芽吹は呑気にそんなことを考えていた。健康診断という、普通なら何ら問題なさそうなイベントなのだが、¨中身が男子¨という特殊な状態にある芽吹にとっては、本当はヤバいはずなのである。しかし、今芽吹はその問題に気付いていなかった。女子として、女子達と揃って一緒に、衣服を脱がねばならないのだ。中坊同然の芽吹にとってこれほどヤバい状況は、体育の着替えと今回ぐらいだろう。

その日の帰り。

「…あ……………あわわわわばばばば!!」

「だ、大丈夫かハル!?」

芽吹にとっての健康診断が意味する事実を、秋人から説明されてようやく慌て始めた芽吹。

母菜花に相談はしてみたが、邪な反応しか返って来なかった。

(まったくもぉ、母さんは自分の息子をどんな目でみてるんだ?今はとりあえず娘だけど…)





特にこれといった対策も出来ないまま、ついに健康診断の当日となってしまった。


場所は体育館。今芽吹の視界一杯には、Yシャツを脱いでスカートとブラ一枚の姿の女子高生達が並んでいた。

菜花が言っていたような、ノーブラショーツ一枚姿などという惨事は無かった。(一応男の子としてちょっぴり残念な気持ちは無きにしも非ず)

それでも、待っている間の女子同士のじゃれ合いや、胸部測定時の様子は、芽吹には刺激が強かった。更に、高校2年3年ともなると、さすがに大人っぽい体の人が多い。芽吹の残り少ない男心が反応する。

『大丈夫だハル。今のお前は誰がどっから見たって美少女なんだ。動揺すんな。まったくお前は、男子にとって夢のエデンを、お前は絶対疑われること無く味わえるんだぞ!?』

昨日、超真面目な顔で秋人はそう言っていた。思春期男子らしい実に正直な意見である。


「は~いそこ~、そろそろ順番がくるからYシャツ脱いどいて~!」

とうとう芽吹にも順番が近づいて来た。皆同然のように(実際同然なのだが)Yシャツを脱いでいく。それが否応なく視界に入ってくる。芽吹は顔が熱くなって行くのが自分でも分かった。それを隠そうと下を向く芽吹。

「芽吹ちゃんどうしたの、Yシャツ脱がないの?…って、芽吹ちゃん耳超赤いよ!?」

(ま、マズい!)

「あ…いや…あ、あの……ぅ~…」

(あぅぅぅ、どうしよう…。男の時だって恥ずかしかったのに、この体になって同級生の女子にブラジャーの格好なんて見せたことないよ~(泣))

もう泣きそうになっている芽吹の姿に、訳も分からず焦る周り。

芽吹は今にも泣き出しそうな真っ赤な顔のまま、ゆっくりとYシャツのボタンを外していった。そして最後の1つを外した。

(くにょぉぉぉ、もうヤケクソだぁ!)

胸元のブラがチラリと見え、Yシャツがはだける…直前だった、芽吹を大きな影がお覆い隠し、芽吹の肩にブレザーがファサリと掛けられた。

微かに甘い香りが鼻先を掠めた。

「無理しなくていいよ。怖いんでしょ?」

大人びた優しい声。芽吹は目の前に立つその人をゆっくり見上げた。そこでドキッと息を飲む。その人の胸元がすぐ目の前にあったからだ。袖を通しただけのYシャツの、開いた胸元から覗かせる豊満な膨らみ。思わず湧いた罪悪感に、その人の顔を恐る恐る見上げてみた。

〈その人サイド〉

小動物のようにふるふると震えながら、ひたすら俯いていた少女が、少し顔を上げかけた。途中、ビクッとして一瞬動きが止まり、首もとから顔全体がまた一際朱に染まる。

少女の反応が、自分の胸によるものだということはすぐに分かった。

(この子、なんて可愛い反応してくれるの!?ハァ~、ムギュムギュしたい)


芽吹が、その人の顔を見るか見ないかのところで、突然勢い良く抱きしめられてしまった。

「くぅぅ~、あなたなんて可愛いのォ~?食べちゃいたぁ~い!」

「ふにゅぅぅ~!?」

(へっ、ふあ!?ム、ム、胸が……!!)

芽吹は顔を真っ赤に染めたまま気を失ってしまった。


後日、芽吹は保健室で身体測定をしっかり終えた。

実は芽吹が気を失った後、体育館にいた女子数名と担当教諭が、芽吹に萌えキュンして失神を起こしていた。

今回の一件以降、春風芽吹という人物がある意味重要危険人物だということが、全校漏れなく知れ渡ったのだった。

更に、男女共通に、芽吹本人には極秘で、ある噂が定着した。

《芽吹ちゃんの下着姿、あるいは衣服に隠れた素肌を見てしまった者は、目と魂を焼かれる》


芽吹本人、毎日トイレとお風呂の際に、あまりの羞恥に男心を焼失している。というのは芽吹本人だけの秘密である。




続く…

……ヘタレですいません(T_T) もう少しエロさを出したかったんですが…。


次回は登場人物紹介その2を挟んで、シスコン兄貴を暴走させちゃいたいと思います。

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