春α2 マッスルキャッソー
タイトルにツッコミたい方、一言どうぞ。
「っンじゃこりゃ!?」
タイトルがテキトーでホントすンません。
今日は天気良し!風も程よく柔らかい!気温は多分15度くらい!バッチリ春です!でも僕の気分はちょっと曇り空です。何故ならそれは……。
「……デッカい人、前を歩くな。前が見えない」
「お兄ちゃんは可愛い妹に臭い虫が近寄らないようにしてるんだ」
………………………
「兄ちゃん……、後ろからなんか変な気を感じます」
「芽吹も感じたか。おそらくサイヤ人が……」
「兄ちゃんだよ」
今朝は珍しく兄ちゃんと一緒に家を出ることになった。今日は大学の講義?授業が午後からで、午前中はバイトを入れているとかで、駅まで一緒に歩くことに。
最近はもう家族の僕に対する変態的スキンシップの強要は少なくなったけど、兄ちゃんはたまにバイトなんかで嫌なことがあると、リビングで寛いでいる僕のほっぺたをムニムニして来るのだ。ほっぺだけで済めばいいが、たまに手が怪しくなる。でもその時は母さんの"天嫁の包刀"が飛んでくるから大丈夫。(セクハラより危険だけど)
我等が夕陽ヶ丘高校は学校指定のブレザー制服。女子は当然スカート。でも僕のクラスにいる城野内要さんは、常識に捕らわれない独特な人だった。
先週、初めて城野内さんの存在に気付いた時はシンプルに普通に男子の格好をしていた。顔は可愛くて、赤縁眼鏡がインテリっぽくて格好いくて、まとめると中性的な格好いい人な感じに思えた。そして今日はというと、
「城野内さん、今日は女子の制服なんだね。男装も凄いカッコ良くては似合ってたよ!」
朝ホームルーム前に城野内さんにコンタクトを試みた。
「あれは男装じゃない」
「え、そうなの?」
「君に私の趣味は理解出来ない。私には関わらない方が良い。先生が来るぞ」
「え、あ、うん……」
はぅ~。また小説のこと聞けなかった。可愛いのに、眼力強いんだよなぁ~。
翌日。
城野内さん、今日は濃いブルーの学ランを着て来て教師達と一年生を驚かせ、そのまた翌日には、今度はゴテゴテのギャル系ファッションで学校関係者ほとんどの目をひん剥いた。
本人曰わく、
「女子だからスカートとか、男子だから云々だとか、私は納得しない。学校が制服指定なのには別に文句はない。ただ女子は絶対スカートという概念が意味不明で納得がいかないのだ。世間のOLさん方だってパンツスーツを履いている人がいるではないか。何故学生服をスカートで縛る?」
という意見だった。と、担任の美城先生は教えてくれた。
たしかに、そう言われるとたしかに。僕もスカートという物には疑問があった。それは僕が元男子だったからということもあるけど、普通の学校生活で男子の視線を意識してないと危険だとか、冬寒いとか。たしかに男子目線で見れば女子はスカートの方が可愛く見えるし、女の子らしい感じはすると思うけど。嫌なら別にズボンでもいいと僕は思う。
昼休みにポツリとそんなことを言ったら、
「そんな意見アタシは認めません!芽吹ちゃんが要さんみたいに男子制服でなんてありえない!宝の持ち腐れよ!」
と、夕夏に怒られてしまった。いやいや、宝って……。僕はむしろミミック的存在だと思うんですけど?TSキャラだし。
夕夏が芽吹の規格外的可愛さと校内人気云々を力説し出したところで、
「ハルは別にスカートじゃなくても可愛いと思うぞ。俺は」
「な、何をいきなり!?」 自販機で買ってきた紙コップのホットココアを僕と夕夏の前に置いて秋人がゆっくり座りながら言った。
「まあまあ、少し落ち着け」
城野内要という人物はかなりの変わり者。自身の作品のためなら『世間の常識や規律など無意味でつまらん』と職員室で堂々と言い放ったほどである。自分と周りの感性のギャップを理解しているが故に、他人とあまり接点を持とうしない。だから、芽吹の興味本位な態度は彼女にとってはあまり嬉しくないものだったのだ。
気付けばあれからもう二週間が過ぎた。城野内さんの作品名とか聞きたいけど聞きずらい。妙になんか執着してしまい、城野内さんに話しかけられなくて落ち着かない日が数日続いたあの日のこと。
これから帰るところで、秋人と八乙女さんと出島君と玄関でいつものじゃれ合いをしていた所に、
「あ、いたいた。いました。いました。お!ダブルデートでご帰宅ですか?」
海月さんが突然どこからともなく現れた。今日の彼女はロリエルフに加えて更に初○ミクのツインテールバージョンという出で立ち。これには僕と出島君のテンションが急上昇したっていうのは朝の話。
「あ、みぃづっきちゅあ~ん、一緒に帰ろう~!」
「ウザイキモい馴れ馴れしい。沈め!」「やっほ~!八乙女と海月ちゃんとで俺サンドイッチデートぉー!」「だっ、誰がキサマなんかと……!」
じゃれ合い再開。そんな二人のお馴染みの(八乙女さんが出島君を一方的にシメる?)じゃれ合いを眺めて程なくして、
あ、そう言えば……。
「海月さん、なんか用があって来たんじゃないんですか?」
「あぁ、そう言えば」
思い出して聞いた僕の後に秋人も気付いて、更に八乙女さんと出島君も続いて海月さんを見る。すると、
「ん、何か?」
みんなの視線を浴びていることに首を傾げてキョトンとする海月さん。
「あれ?海月さん、僕達のこの中の誰かに用があって探してたんじゃないの?」
「あ~……そういえば?」
「いや、そうはいえてない感じだが」
「うんうん!お茶目で惚けたロリエルフ。グッとくるぜ!」
「貴様は早く帰れ!」
また八乙女さんと出島君の漫才を眺めながら、海月さんの答えを待つこと5分……。
「……で、誰に用だったんだ?」
「サァ、皆サン下校時間デスヨ。早ク帰リマショウ!」
「誤魔化した?しかもいつの間にお面!?しかも何故にケ○○軍曹!?でありますか?」
「おいハル、語尾がアレになってんぞ」
「忘れたでアリマス!」
「海月さんも軍曹さんですか!?」
「ツッコミそこじゃないだろハル!海月さんもまさかのパロディーで誤魔化すな!」
結局、海月さんの用事が何だったのか、誰だったのか分からないまま、まぁいっか。と思って僕達は帰宅することにした。
その後。海月さんの用事の件が解決したのは、その日の深夜2時頃のことだった。海月さんが僕の携帯に電話を掛けてきた。
「たった今思い出したので伝えるために電話しました」
「日本とエルフの国の時差ってどれくらい?」
「いや、私エルフではありませんが……?」
芽吹は寝ぼけていた。
彼女の電話の内容は、
「最近芽吹さんがご執心らしい城野内要さんの、小説の作者名、分かりました!」
「ほぇ~~。ジョドーのかもめぇ~~……」
もう一度説明しよう。この時の芽吹は寝ぼけていた。
「えっと作者名は……、『マッスルキャッソー』だそうです」
「ふにゃ~ん。マッソ~、キャッソ~……」
翌朝。
「ハル、さっきからなんだその歌?」
「ほぇ?」
「『マッソーキャッソー』って?」
「う~……ん。さぁ?」
続く…
一応謝罪文を載せておきます。
作中に『小説家でもやろう』というタイトルがありますが、決して安易にパクった訳ではございません。
こういったサイトをより気軽な感じにという気持ちをですね、え~……はい。という訳、デアリマス!




