第14話 鴨南蛮蕎麦を頼んます!
只今の時刻、午前4時です。執筆してます。朝6時には出勤準備。バカですね。普通に眠いです。寝たらあれだよ。社会人的な意味で死ぬぞ。
私の名前は横磯花といいます。夕陽ヶ丘高校2年生。中学入学と同時にこの町に引っ越して来たの。特に彼氏もいないし好きな人もいなかった。そう。いなかった。今年の春、あの2人を見るまでは。
今年の新入生にトンデモビックリな美少女が入ってきた。高校1年生くらいだとまだ幼い感じの可愛らしい子はよくいるけど、あの子だけはそんな次元の可愛さじゃなかった。白銀の髪と超絶的な見た目の可愛さ。仕草一つ一つの全てが純真無垢と言っていいくらいに、決して汚せない雰囲気。入学してから僅か一週間程で学園の噂の中心になったのだった。
名前を春風芽吹と言った。その驚異的人気ぶりの原因の半分が、彼女の幼馴染みで、校内イケメンランキングの上位に選ばれた、後の私の想い人(きゃっ、言ってまった!……な、訛ってないからね)柊秋人君。
この2人は入学当初から皆の度肝を抜いた。イケメン君が白銀の美少女をおんぶして登校するという、非リア充テロリストを逆撫でする行為。しかし私は、廊下でその光景を目の当たりして、思いも寄らなかった概念が生まれた。それは……、
「おなごの夢はお姫様だげでねがったのけ!?¨おんぶ¨。愛する人とのあの密着度。公然ではまんず出来るごとでねぇ!(ヤバ、また訛っちゃった)
本人達はあくまで幼馴染みでそういう関係じゃないって否定してるらしいんだけど。
あの2人はいつも皆の注目の的。春風芽吹はそういうのには疎いのかどうなのか、あまりに無防備な感じ。その点秋人君はその辺は流石に慣れてる感がある。
私が秋人君に強く惹かれたのはほんのつい最近なの。体育祭とかそれ以外の普段の秋人君に対しては、皆と同じでただチヤホヤするのが楽しかっただけ。憧れの男子の話題で盛り上がってるってだけで一喜一憂出来てたんだけど、まさか文化祭であんなに火が着くなんて自分でも理解仕切れなかった。
彼は、秋人君は模擬店食堂で和装の店員、ウェイターをしてた。やっぱり格好いいと単純に思った。
他にも数人いるウェイターの中で、私は運良く秋人君に注文することが出来た。
「横磯先輩ッスね。いらっしゃいませ。お決まりのご注文は?」
……………
(きゃああああ!?)
この瞬間私の顔はとんだマヌケ面だったかもしれない。まさかまったく接点の無かった後輩から、しかも憧れの秋人君から、名乗ってもいないのに名前で呼ばれるなんて全く予想もしてなかった。
私はなんとか動揺を引っ込め、先輩らしい態度を努めた。
「え……ひゃっ……あ……か、鴨南蛮蕎麦をお、頼んます!」
……かぁぁぁぁ!!
動揺しまぐりだぁ!変な声出だべさ!「頼んます!」って何!?やっちゃったぁぁぁ。逃げたいもう逃げたい!
因みに(模擬店食堂のシステム:イケメンウェイターに選ばれた男子は、女生徒の名前と顔をしっかり憶えておくように。「接客で女子の心の臓を鷲掴め!!」by姉崎ルイ
半ばホストである。
(心の臓って何!?コワッ!?)
ちょっと脱線しちゃったけど、文化祭でのあの瞬間、秋人君へのただの憧れが、本気の恋に変わった。だから、クリスマス前に一発告ると決めたった。
そして……
「おらごとば嫁こさしてけろ!」
「……ケロ!?」
……何で、どうして、なして肝心などごでこうなるんだぁ!私のバガァァァァ!!
いろいろ取り乱しちゃったけど、あの日あの後、秋人君とアドレス交換してもらえたから、まぁとりあえず結果オーライ?だったんだけど。
だけど……。秋人君は私と付き合うつもりでアドレス交換してくれた訳じゃないんだよね。きっと……。
なんとなくだけど。春風芽吹。芽吹ちゃん。あの子と秋人君。あの2人の関係は、私には理解出来ないくらい複雑で深いのかもしれない。
春風芽吹ちゃん。まるで天然記念物の小動物か何かみたいな子で、そんで秋人君は、その子と同じ頃に生まれて、一緒に育ってきた飼い主さんか何かで。私はその天然記念物の小動物に宣戦布告してしまった戯け者。全校の芽吹ちゃんファンと秋人君ファンにも喧嘩をふっかけたようなものなんだよね。あぁ、何てことしちゃったんだろ私。あぁ、穴があったら、っていうか誰か存在抹消 してぇ~。ゴ○ゴ13さんでもいいや。
続く…
横磯 花という人物。いろんな意味で¨やらかしちゃう子¨みたいな感じです。でも乙女心はなかなかです。秋人もこれからいろいろ大変そうです。