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芽吹と春夏秋冬  作者: 霜月ぷよ
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第12話 ケロ!?

 深夜でないと執筆のインスピレーションが皆無な作者です。

 深夜でもインスピレーションが皆無な作者です。

 仕事の疲れと眠気に無駄に抗い、ナチュラルハイな今日この頃。

 今夜もまた、限界のその先へ、パーリィナイ!

 なんやかんやで文化祭もあっという間に終わり、もう12月。天気が良ければお昼は暖かいけど、朝晩は冬の寒さ。

 次に待っているイベントと言えば、憂鬱な期末テストと、クリスマスだろう。

 そう。とにもかくにも問題はその期末テストなのだ。文化祭という一大イベントで生徒達の気分を上げに上げさせて、その余韻が消えて間もなくの頃、期末テストという名の谷底に突き落とすのだ。



 12月のわりに今日は朝から太陽が暖かい。気持ちの良い天気に、僕は珍しく早起きをした。母さんと兄ちゃんにビックリされて、

「あら、今日は雪かしら?」

 なんて言われたり、兄ちゃんは、

「まさか、秋人と朝デートか!?」

 無視した。だっていつもの絡みだし。

 いつもより早い朝食を取りながら、秋人にいつもより早く出ることをメールで伝えると、少しして返信が来た。

 家を出て、秋人の家に寄って、一緒に学校へと向かった。いつもなら秋人が僕を迎えに寄るんだけど。

 いつもよりかなり余裕な時間だから、いつもと違う道を通ることにした。秋人もたまにはこういうのもありだなと賛成してくれた。

「よーし。じゃあ早速こっちに行こう!」

 自分でもよく分からないけど今日はすこぶる良い気分だな。なんでだろ?ふと僕は秋人の方を見た。秋人もこっちを見る。

「ん?」

 秋人の視線と問いを掠めるように、僕は別の者を見ていた。

「あの猫……」

 見たことある。白い猫。飼い猫でその辺にいそうな猫。なのに僕は不思議な特別な感覚を覚えた。

 気付くと僕はその猫のところに駆け寄っていた。

 猫は道の真ん中にちょこんとお座りをしてジッとをこっちを見詰めてい来る。特に逃げる様子もなく。

 後ろで秋人が何かいってる気がするけど、僕はその白い猫から意識を離せなかった。


―また会えたのぉ。―


 猫が言った。何故だか不思議とそう感じた。


「え!?」


―今の姿でもあまり不自由はしていないようで良かったのぉ。

 秋人が芽吹を呼ぶ。しかし、芽吹には聞こえていない。

「…猫さんが喋った」

―憶えてはおらんじゃろうが、お主は命恩……―


「猫さんが喋ってるよーー!?」


―ニャアッ、精神空間で大声を出すにゃ!魂がぶっ飛んでしまうじゃろが!―


 白い猫が目を見開いて毛を逆立てた。

「え……あっ、ご、ゴメンナサイ」

「おい、ハル!」

「……は、はい!?」

 猫さんに怒られて、秋人に体を揺さぶられて、僕は二度飛び上がった。次の瞬間、目の前に、至近距離に秋人の顔があった。

「秋人……」

「お前どうしたんだよ、目がどっか行ってたぞ。大丈夫か?」

 心配する秋人の問いを聞きながら猫の方を見た。でもあの白い猫はもういなかった。

「今そこにいた白い猫さん喋ったよね?」 秋人にそう聞くと、眉を寄せて猫がいた辺りを見た。

「猫、どこに?喋る猫って、お前昨夜何のアニメ見ながら寝落ちしたんだ?」

 何故か秋人には白い猫のことが分からないようだった。

(僕寝ぼけてたのかな?あの猫さん、なんとなく知ってるような)

 結局、僕が寝ぼけていたってことで、学校に向かうことにした。



 今日は珍しいことが続いた。学校までの道の途中には駅があって、そこで同じ夕陽ヶ丘高校の生徒達と合流する。夕夏と八乙女さん。有馬君と出島君もこの駅に降りる。今まで一度もこんなこと無かったのに、朝から駅前でいつものメンバーが揃ってしまった。

 こっちに気付いた夕夏がワイワイと大手を振ってくる。

「わはっ。有馬君に続いてまさか芽吹ちゃんにまで会えるなんて、今日は朝から絶好調だぜ。アタシ!」

「おはよう春風さん。今朝は早いんだね」

 はしゃぐ夕夏の隣で大人びた様子の八乙女さん。

「よう秋人。芽吹ちゃんもおはよう」

 相変わらずクールな有馬君に挨拶を返す。

「朝からここで白銀の姫に会えるなんて今日はいい日だぁ。これはもしかしたら八乙女ちゃんにハグしても許され最高の日になるやもしれん。うん。これは予言だ!」

「私も予言しよう。今日は貴様の命日になると」

 珍しく登校途中からいつものメンバーが揃い、いつも通り出島君の悲鳴を雀のさえずりと共に聞き流して、みんな学校へと向かう。

 不思議な白い猫とか、早起きとか、やたら気分が良いとか、普通は今日一日良い日になるかもなんて期待しちゃうはずなんだけど、何故かそうはなれなかった。八乙女さんと出島君じゃないけどまさに予言だった。いわゆるイベントフラグってやつかな?

 校門をくぐってすぐ。僕は名前を呼ばれた。それも何故か拡声器で。しかも見知らぬ女子に。

「春風芽吹、私は貴女なんかに負けません。柊秋人様の妻になるのはこの私なんだから!」

「にゃっ!?」

「げっ!?」

「おいおいマジか!?」

 いきなりフルネームで名指しにされたのもビックリだけど、その女子がいるのはなんと昇降口の屋根の上だった。

「うおっ、朝パン激写チャンス!」

「止めんかクソ虫!」

「変なん省略の仕方すんな!」

「出島君のバカ!」

 八乙女さん、有馬君、夕夏の順にツッコミを食らう出島君。

「♪~朝はパン パンパパン」

 あれ?秋人が目を丸くしてる。夕夏達もなんだか同じ顔で見てくる。

 うん。とりあえず謝っておこう。うん。

「……ごめんなさい」

 僕がそう言った直後だった。

「コラァ、ワのごとば無視するでねぇ!」

 頭上から何やら聞こえてきた。朝パンの彼女である。

 別に無視なんてしてないよ。忘れてただけだよ。

「春風芽吹!とぉう!……シュタッ」

 彼女は昇降口の屋根の上から華麗に見事な着地を見せた。

(シュタッって自分で言った?)と思ったけどとりあえず置いておこう。僕はそんなことを思いつつ、大事な何かを忘れていた。

 朝パンの謎の彼女は真っすぐに僕と秋人の側まで来た。ポニーテールで少し吊り目。どこか猫っぽい印象を受ける可愛い人だ。芸能人で言うと桐○美玲さんに近い感じの人かな。

「もう一度言います。春風芽吹さん、私は貴女に負けません」

 彼女の方が背が高い。僕は軽く上から睨まれる形でそう言われた。

「あの、僕何か……?」

「見たところ先輩ですよね?さっき俺の名前も言ってたみたいでけど何て言ったんですか?」

 怪訝な表情で秋人が聞くと、僕を睨み付けるような表情から一変、彼女は頬を染めてモジモジし始めた。

「あ、秋人様……。私、貴方にお伝えしたいことが……」

 急に歯切れ悪くなった。でも僕はその恋する乙女的な仕草に可愛いなぁと思ってしまった。でも、その仕草の意味にすぐに気付くべきだった。次の彼女の発言に僕は衝撃を受けた。いや、僕だけではないだろうけど、とにかく衝撃だった。


「柊秋人様、私と……」

 ここまで来たらこの先の言葉はアレしかないだろう。


「……オラのごとば嫁こさしてけろ!」

「……はぁ!?」

「ケロ!?」

「どこの方言だよ!?」

「東北地方の方言だな」

 ホントにいろんな意味でショックを受けた。




続く…

 まさかのギャップ少女登場!

 彼女に関してはここで自前に紹介しておきます。これをふまえて次話を読んで下さい。



 横磯よこいそ はな女子 夕陽ヶ丘高校2年生


 実は一学期当初から秋人に密かに思いを寄せていたらしく、芽吹との関係を気にしていた。体育祭以降の芽吹の校内人気を良く思わず、その思いは文化祭のイベントを切っ掛けに一気に膨れ上がったらしい。本人は普段は方言を隠しているが、感情が高ぶりやすく、度々露見してしまい隠し切れていない。

 因みに出身は青森県という設定である。

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