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芽吹と春夏秋冬  作者: 霜月ぷよ
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第9話 ゴーストバスター!

 次話投稿大変長らくお待たせ致しました。

 引き続き文化祭です。

 夕陽ヶ丘高校文化祭は芽吹の活躍で、開祭直後から爆発的な大盛況を見せていた。

「僕はこんなの望んでないんですけど……」

 トホホな芽吹。

(ちょっと複雑な思いはあるけど、俺、ハルの幼馴染みで良かった。もし彼氏だったら……いや、その場合は俺キレるな)

 複雑ながらも自分の嫉妬心を自覚する秋人だった。




 午後。自由になった芽吹と秋人は現在食堂にて昼食タイム。

 秋人が担当していた食堂組は、男子が着物にたすき掛けと前掛け。女子も着物にエプロンという、和風のイメージである。

「さっきチラッとは見たけど、秋人のあの格好とか、緊張しながらの接客とか見たかったなぁ~」

 ちょっぴり拗ねた風に秋人をからかってみる。すると秋人は、

「見たところで何も面白いとこなんかねぇぞ。俺よりお前の方が見応えあったと思うけどな。いろいろと」

 そう言いながら秋人は食堂の入り口に視線を向けた。芽吹は首を傾げて秋人の目線の先を追ってみた。見ると入り口には人集りが。芽吹目当てだろう。

 そして、振り向いた芽吹と目が合う→歓声が上がる→芽吹が微笑む(本人は苦笑い)→また歓声が上がる。文化祭今日一日、度々この現象が多発し、若干トラウマになる芽吹と、そんな芽吹に同情しつつ、ある不安を覚え始める秋人。

(なんだろ……?ハルの存在が遠く感じる。ハルはもう学校だけじゃないみんなの有名人だ。誰が見ても可愛いし、いい意味で子供っぽい感じだし、裏表ないし。アイツを嫌いな奴なんているのかってくらいだ。

 みんなにすっげえモテモテで、横にいる俺がモブみたいだ)



「ふぅ~。カレーライスはやっぱり中辛ですなぁ~」

「次何処行く?」

 お腹を軽く押さえて食堂を出た僕と秋人。

 カレーライスでお腹一杯ではあるけど、やっぱりデザートは食べたい。喫茶で苺タルトか、それともアップルパイ?いや、やっぱりショートケーキも外せない。

 食べたいデザートのチョイスにあま~い悩みを抱えていたんだけど、この悪魔のおねだりがなければ……。

「あっ、白狐ちゃんだーー!」

「狐の巫女さんだーー!」「芽吹ちゃ~ん、もっかい一緒に写真撮ろう?」

「ひにゃっ!!」

 一部ちびっ子と先輩女子達が駆け寄って来た。顔が恐怖で引きつる。

 僕は咄嗟に逃げる体勢に入った。その時丁度、白いシーツのオバケさんが近くにいた。今考えれば僕は、アレだけでビビってたはずなのに、その時はそれどころじゃなかったんだと思う。

 芽吹は逃げの体勢に入りつつ、オバケさんのシーツを剥ぎ取った。そして走りながら器用にそれを被って、逃走した。

「お、おいっ!?」

 芽吹のとった行動と早技に驚きつつ、追い掛ける秋人。芽吹に逃げられ残念そうな声を上げる先輩女子達。

「あ~あ、逃げられちゃったよ~」

「でも、芽吹ちゃんのオバケコス超可愛い!」



 文化祭。誰もがそれぞれに忙しくも楽しそうに役目をこなして、催し物や、食事を楽しんでいた。

 外の模擬店屋台では焼き鳥、焼きそばが大繁盛。10月だが日中は気温も高く、アイスクリームもそこそこ売れていた。

 校内では、

「もぎゃあーー!!」

だったり、

「ひぃぃっ!!」

だったり。はたまた、

「グピャッ!!」

「わああ、ハルが血吐いた!?」

 校内をばっこするハロウィンコスのオバケ、モンスター達にビビりまくって大騒ぎの芽吹と、それをフォローしようとする秋人。

「シーツのオバケの格好してるお前がビビりながら逃げるなって。ってかみんな2年の先輩達だから!」

「べ、別にビビってなんかいないよ!ってか……ト、トイレだもん。急いでるだけだもん!」

 被ったシーツを翻しながらそう叫ぶ芽吹だが、

「トイレならたった今通り過ぎたぞ?」

 真顔で指摘した秋人。すると芽吹は、更に走りながら、

「実は2階のトイレが僕のお気に入りなんだ」

「ウソつけぇ!?」

 芽吹と秋人のこの行動は後々、秋人がなにやら可愛いらしい白いシーツのオバケを追い掛けているというシュールな動画としてニマニマ動画にアップされたのだった。(主犯はY夏では?という噂である)

 そんな仲むつまじい2人の様子を見詰める非リア充達。その中の1人。いや、2人だ。一瞬目が合い、すぐにお互い視線を泳がせる2人。鼻先を軽く人差し指で擦っている男子は、中里祐。もう片方。手持ち無沙汰でブレザーポケットに手を突っ込んでそわそわしているのは、鯉谷友梨である。

 そんなもどかしい青春の空気に、奴らが反応した。

「出島捜査官、例の企画のターゲット発見したでアリマス!」

「ウム。間違いないようだ。我らが姫が気にかけていらっしゃる鯉谷氏ともどかしい関係にある男子。彼は2年生の中里氏と確認した」

「アタシが見る限り、あれは明らかに両想い。なのにそれ以上の進展が視られないと」

「我らが姫が、恋のキューピッドならぬ、愛の大天使……いや、女神様として、明日のサプライズ企業、絶対に成功させねばならぬ!」

「……ドゥフフ。他人の恋路は極上のロイヤルミルクティー!」

「鳴海捜査官……、お主もなかなか悪よのぉ?」


「あの2人何やってんだ?」

「さぁ~……?」

 オバケ達からオバケ以上に不審に思われていることに、コイツらが気付いくはずはなかった。



 文化祭2日目。

 今日は学校関係者だけの打ち上げイベントである。午前中を使って校内の展示物を大まかに片付ける作業から行う。打ち上げイベントはほぼ体育館でしか行わないため、校内清掃と、体育館イベント準備係りに分けられる。

 看板や飾りを外し、屋台なども畳み、校内の雰囲気が徐々に日常に戻って行く。そんな変化の流れに淋しさの声がそこかしこから聞こえてくる。特に3年生にとってはその思いは特別に強く深いだろう。だからなのか、こんな連中も出てくる。

「スリラーーーー!」

「ゴーストバスター!」

「ってオバケの格好したお前が[ゴーストバスター!]ってナニ!?」

 ハロウィンをもう一度下さい!的な?或いは、ゲームコーナーの片付けをサボり、ひたすらゲームのスコア更新を狙おうする人も。

「今絶対当たったべ。6番9番ダブルスコア行ったべよ!」

「いや、今のは絶対ポストだ」

 などなど。まだまだ昨日という青春の熱を冷ましたくないのだろう。しかし、片付けをサボって教師に怒られ、更なる重労働な片付けを強いられるというパターンもあるとかないとか。

 2日目は2日目で楽しいことは沢山あるらしい。昼休み直前、11時55分。校内アナウンスが流れる。

「食堂、喫茶、屋台の余り物があるんでぇ、12時ジャスト早い者勝ちで無料食べ放題。食いてぇ奴は学食まで来いって話ぃ~。以上」

 ダルそうな男性教師のアナウンスだった。

 そして、11時59分15秒。教室の壁掛け時計の秒針を見詰めてカウントダウンを始めた男子達。普段は聞こえない秒針のの音が不気味な静寂を作りだす。

 カチ カチ カチ カチ

 そしてお昼のチャイムが鳴った直後。学校中から机と椅子が蹴飛ばされる音と、靴が床に擦れる音。男子達の熱い雄叫びが鳴り響いたのだった。



「秋人は食べに行かなかったの?」

「あんな乱闘イベントがあるなんて知らなかったし。今日は普通に弁当持って来てたしな」

「僕もビックリしたよ。今まで兄ちゃんからも聞いたことなかったし」

(あの人中の筑紫先輩だし、絶対他の連中を潰して一番に食べ放題しただろうな~)

 もし自分もアレに参加していたらと、内心ゾッとしている秋人だった。

(ベストカップルショーかぁ~。リア充……。僕もこんな身体にならなかったら、もしかしたら可愛い女子とカップルになれたりしたのかなぁ~?……あ、でも八乙女さんの場合は男嫌いだから、僕が男だとダムじゃん。百合は~……、ダメだよね。かと言って男子は無理。僕中身男だし)

(ベストカップルショーかぁ~。リア充……。僕もこんな身体にならなかったら、もしかしたら可愛い女子とカップルになれたりしたのかなぁ~?……あ、でも八乙女さんの場合は男嫌いだから、僕が男だとダメじゃん。百合は~……、ダメだよね。かと言って男子は無理。僕中身男だし)

 プチトマトをプチプチ食べながら今日のイベント絡みのことを考える芽吹。プチトマトをプチプチ食べながら、芽吹はふと秋人の横顔をチラリと見る。視線に気付いて秋人がこっちを見る。

「ん、どうした?」

「……え、あ、いや、なんでもないよ」

 何故か動揺している自分を誤魔化すように、また一つプチトマトを口に運ぶ。

 ポロリッ

「にゃっ、僕のプチトマぁ!?」

「ってかハル、お前の弁当トマト率どんだけ!?」




続く…

 I LOVE アップルパイ!そんでもって I like アップルパイ!

 プチトマトも好きだ。

ってか何の話だコレ!?

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