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芽吹と春夏秋冬  作者: 霜月ぷよ
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第7話 …何それ!?嫌だ

 文化さぁーーい!

 文化祭編、たぶん長くなるかもです。青春の思い残りというか、盛り込みたいことがいろいろまとまらないというか。

 カップル誕生サプライズ企画の提案と生徒会からもイベント盛り上げの協力をお願いして、カッチカチのまま生徒会室を退室して行った芽吹とその他2名。

 姉崎ルイ生徒会長は、そんな彼女らの行動にワクワクして思わずニヤリとした。

「¨メインヒロインがまたイベントを起こす¨か。アイツら実行委員でもないのに面白いこと考えてやがるな」

 隣の給仕室から男が出てきた。姉崎はその彼に横目でドヤ顔をした。

「今年の文化祭は、あの白雪姫ちゃんが面白い一味を加えてくれるわよ」

「あの子の場合、文化祭に限ったことではないだろうけど」

 ワクワクを抑えきれずに笑う2人だった。



 文化祭当日。

 正門から玄関までの広場では3年生サポートの下、1年生模擬屋台グループが祭りの雰囲気を盛り上げていた。校内に入ると今度は、ハロウィンコスプレ担当の2年生が怪しくも丁寧に客を招き入れる。人によっては凝ったメイクでちびっ子客や女性客をビビらせる者や、カワイイ獣系妖怪で萌えさせる者など。勿論、芽吹達が担当するメイド喫茶のメイド達も校内を歩いてチラシを配ったりしている。

 開祭してからまだ1時間弱。もう慣れた2、3年生は校内に流れるBGMのリズムと空気を楽しみ、1年生はどこかまだ緊張気味である。そんな中、そんな緊張もへったくれもないグループエリアがあった。


「お帰りなさいませご主人様!」

「お帰りなさいませお嬢様!」

『メイド喫茶』とはいっても、中身はあくまで喫茶。ウエイトレスがメイド服というだけ。老若男女問わず集客はあるが、無粋、不埒な輩対策は一応出来ている。例えば、

「お待たせしました。コーヒーとチーズタルトです」

「お、君結構可愛いじゃん。交代いつ?終わったら俺らとちょっと遊ばねぇ?」

 当然、メイドさんは断る。それでもしつこい場合は、

「風紀の乱れは即排除する!」

 八乙女さんの号令で格闘部員数名が輩を速やかに排除する。

「速やかに死にやがって下さいませ○○虫が!」 八乙女さんは主に、というかほぼこんな感じである。夕夏は超ノリノリでメイドさんを楽しく演じていた。

「秋奈っち、不埒者掃除サンキュ!」

「フンっ。任せろ」

「それにしても……」

「大変そうだ……」

 2人は心配そうに廊下の方に目を向けた。


 僕いったい何やってんだろ……。これで良いのかな?仕方ないから勇気を出してメイド服着たけど、(本当は夕夏に脅迫的に無理やり着せ替えられただけ)まだ一度もウエイトレスの仕事してないよ。もう1時間くらい経ったのかな?なんで僕お客さんと写真ばっかり撮ってるのかな?僕とばっかりこんな写真撮って何がそんなに楽しいのか、凄く喜んで帰ってくけど?肩組んで来たお客さん、八乙女さんに怒られてたなぁ。大丈夫かな?


 文化祭当日の今日、少し緊張しながら秋人といつも通り登校するはずだったんだけど、下駄箱を開けようとした瞬間、突然夕夏と園田さんに拉致されてしまった。なんで!?

「にゃっ、へ、ちょっと……夕夏!?」

「秋人君、芽吹ちゃんの靴お願いね!」

 園田さんと共謀して僕を連れ去りながら夕夏がそう言うと、秋人は薄情にも「お、おう」って返事しやがった。

「ちょっと秋人、返事してないで助けてよ!」

 僕は助けを求めてました。確実にヘルプしました。でも……、

「は~い、ヒロインの芽吹ちゃんは急いでメイクアップ&ドレスアップですよぉ~!」



「きゃあああああ、カァワイイEEEE!!」

「……………」

 無理でした。

 僕は顔が暑すぎて、そんな顔を見られたくなくて頭が落ちるくらい精一杯下を向いて耐えようした。

 僕がこ、こ、こんな恰好……恥ずかし過ぎる。もしここにブラックホールがあったら今すぐ飛び込みたい!

 これは何?メイド服?いや、何か違う気が……?他の人のはこの前アキバで見たメイドのお姉さんみたいな感じの服だ。んで僕のこれは……ネコ耳?モフモフのしっぽ?

 僕は恥ずかしさで沸騰しそうな頭で考えて、気付いてしまった。

 この恰好って体育祭の時の狐さんじゃないですかぁ!?しかもそれ用に合わせたみたいなメイド服って、僕だけ何これ!?


 かくして僕は、食事を終えたお客様限定で一緒に写真に写るサービス係となりました。写真は学校から支給のポラロイドカメラ限定で。因みにカメラマンは出島君です。何これ?

 後で聞いた話なんだけど、これは渋滞と混乱の対策だったんだそうです。

 説明しよう!

 芽吹の存在はギャラクシーレベルで破壊的な魅力を持っている。芽吹が店内で接客をすれば、他のメイド役の女子の存在意義が皆無になる恐れがある。そして、そんな芽吹に張り付き、店に居座る客が出てくるだろう。そうなれば集客率も皆無だろう。店内は混沌の極みである。しかし、「食事を終えて店を出れば芽吹ちゃんとツーショット写真が撮れる」とルールとルートを与えれば、自然と客の出入りは回転するという訳である。



「今年の夕高祭の1年生の喫茶超やべぇじゃん!」

「あの子超可愛いかったよねぇ!」

「写メはダメだったけどポラロイドでも意外とちゃんと撮れてるじゃん」

「萌え萌えとかじゃなくて普通の接客だったね」

「でも超可愛いかった。ヤバかったね」

 芽吹達喫茶組は午前中からもの凄い集客率を叩き出していた。流石の出島も悲鳴を上げてカメラマン役の交代を頼んだりした。



 1時半を回ってよぉ~やくアイドル撮影会&握手会から解放してもらった僕は元の制服に着替えるために、今朝拉致された保健室に向かった。

「ひにゃあ~、お腹空いたぁ~。メイド服でウエイトレスも嫌だったけど、あれはそれ以上だよ。

 夕夏とかえっちぃ女子のみんなは僕を触りまくるし。

 芽吹は午前中の散々な役割を思い出した。

 夕夏とその他芽吹ラブな女子達は、姦しく芽吹を揉みくちゃにした。

「むほぉーー、芽吹ちゃん可愛いすぎぃぃぃ!」

「ハグハグハグハグ!」

「むっ、芽吹ちゃんちょっと?」

「ほえっ!?」

「おぬし、胸が前より大きくなったのではないか?」

 夕夏のこの疑惑の発言により、女子同士合法的セクハラを受けたのである。

 束の間の花園。数分後に八乙女さんに見つかり、彼女らは一斉検挙されたのだった。

 姉崎先輩も来たな。先輩、胸大きかったなぁ……。って僕は何考えてんだよ!?

 姉崎ルイ生徒会長もお嬢様として来店していた。会長の権力を振り回して、1人で15分間たっぷり芽吹を堪能して行ったらしい。

 あ、そう言えば兄貴も来たっけ。

 筑紫の言ったある事に、芽吹はず~んと憂鬱になった。


「芽吹、そのコスチューム家に持って帰って来い。なんなら俺が持ってってもいいが」

「え、こんなの持って帰ってどうするの?」

 耳元でこそこそ言ってくる筑紫に芽吹は聞いた。すると、

「家でも着てくれ。愛する我が妹の写真集『マイラブシスターメモリーズ』のページを増やす」

「……何それ!?嫌だ」

 自分の兄貴の変態的シスコンぶりについ頭を抱えたくなる芽吹だった。


 そう言えば秋人はどうしてんのか?

 とりあえず制服に着替え終え、廊下を歩く芽吹。

 秋人のクラスは食堂組だったよね。お腹もペコペコだし、行ってみよ。今朝の拉致からまだ秋人を見てない気がするし。いたらこき使ってやる。

 イタズラ笑いをしながら食堂に向かった芽吹。


 食堂に着くまでの道のりは、ビビりの芽吹にとって難関だった。何故なら、ハロウィンコスプレの皆がいたからである。運悪く出くわすどれもがグロい出来栄えだった。校内一のアイドル、芽吹ちゃんに興奮して奇声を上げるグロいモンスター達。

「ギャアアアア!!」

「コラァッ、芽吹ちゃんを泣かすな!」

 先生や周りの生徒に叱られるオバケ、モンスターが度々目撃されていたとかいないとか。




続く…

 今後、妄想が暴走したらすいません。過ぎた青春への願望が。理想が。

 次回は秋人サイドの内容になります。

 よろしくッス!

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