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芽吹と春夏秋冬  作者: 霜月ぷよ
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第4話 一緒にあ~ん

 次話投稿お待たせ致しました。

 今回は芽吹ちゃん、初のアキバ体験!

 とある日のとある昼休み。とある人物のこのセリフから。

「おぉ、我が愛しの春風芽吹。学食には滅多に姿を現さない君と、今こうして会えるなんて、俺には今、君との赤い糸が見える!」

「「ハァッ!!!?」」

 学食内が一気に殺気立つ。

「ほえ?」


「芽吹ちゃん、この俺と付き合っ……」


「夕夏委員長ーー、芽吹ちゃーーん、ちょっと聞いてーー!」

ガショーーン!!

 女子一名が猪の如く芽吹達のいるテーブルに乱入して来た。たった今目の前で性懲りもなく芽吹を口説こうとしていた坂口隼人先輩をその辺の石ころのように蹴飛ばして。

「夕夏委員長、模擬店のことで一つ提案が!」 芽吹達のクラスメート。園田加奈。ツインテールのメガネっ娘。自他共に認めるアキバ女子である。

「いやいや園田その前にさ、先輩一人轢いてるぞ」


「へ……?あぁ、さーせん。ってか、芽吹ちゃんのお昼寝タイム邪魔しちゃった?にゃはぁ~、芽吹ちゃんの寝顔マジカワユス!」

 まったく気にしていない様子。

「……ってかハルお前寝てたのかよ!?」


「しゅぴぃ~……」

 寝ていたようだ。つまり坂口隼人の存在には気付いていなかったと考えられる。

「はぅ~、芽吹ちゃんってばホントマジカワオーバー。サイヤ人的戦闘力に例えるならぁ……?」


「いやいや園田、ハルにDBの例えをハメるな」

 秋人が冷静にツッコむ。

「でもホント芽吹ちゃんヤバいわ。これは百合百合ワンダーワールドよ!」

 夕夏と園田が何やら宙を見詰めてウットリし始めた。

「こらこら。俺ら男子の前で百合妄想すんな。つーか身悶えとかやめろ!」

 秋人と有馬のツッコみが入る。

「もぉ~、芽吹姫マジカワうぃよねぇ~。こうハグしちゃぃ……はぐぁ!?」


「キサマもしばらく寝ていろ。後で焼却炉でちゃんと火葬にしてやる」

 学食内の男子が皆身を引いた。


 自称正統派アキバオタクの園田加奈の提案というのは、文化祭の模擬店についてだ。

 ご飯物や麺類などは他のグループの食堂組みが担当。芽吹、夕夏、秋奈は主にスイーツとソフトドリンクなどを提供する喫茶組に決まっている。

「で、その喫茶のスタイルっていうか、集客率を上げる為の策なんだけどね……」

 園田はキラリンとメガネを上げた。

「担当女子メンバーのクオリティーを見ると、ここはやっぱりメイド喫茶で決まりだと思った訳よ。集客率を上げるには」

 数秒間の沈黙。芽吹達いつもの仲良しメンバーは、時が止まったような表情をしていた。(芽吹だけはお昼寝タイムだが)

 沈黙を最初に破ったのは……、

「めめめ……、芽吹ちゃんのメイド服!?芽吹ちゃんの給仕!?うおおおお、絶対メイド喫茶だ!」

 出島である。

「アタシもそれやりたい。良いと思うメイド。ね。秋奈っち?」

 夕夏が秋奈に何か意味ありげに同意を求める。

「なっ、何故私に聞く!?」


「だって秋奈っちは慣れてるじゃん」

 一瞬、?の表情を浮かべ、直後に少し顔を赤くした八乙女さん。

「あ、あれは仕事だからだ。学校であんな格好するわけがないだろ!」

 すると夕夏はニンマリと笑みを浮かべた。表情が曇る八乙女さん。

「へぇ~。¨仕事¨ならオッケーなんだ?」


「……!?」

 バキンッという音とともに言葉を失う八乙女さん。



「じゃ今週日曜日早速みんなで行くべ!」

「べ?」

「……べ?」

「むにゃ?」「お、芽吹ちゃんが起きた!」



 日曜日。

「華の都秋葉原でぇ~っす!」

「あの~……」

「テンション高いなぁ~園田さん」

「すみませ~ん……」

「うんうん。二次元美少女萌ええええ!」

「誰か説明してくりゃあさ~い?」

「…………」

 八乙女さんが約2名を見て硬直ガン見していた。

「ナンデ僕こんなコスプレ¨させられて¨いるんですか?てか秋人のそれはどういう……?」

「3次元なのにまるで二次元我らが芽吹ちゃんうほぉー!」

「……うん。出島君はいつもの感じだからいいとして。夕夏笑ってないでこれ説明してよ!」


 日曜日の今日、芽吹達はクラスメイトの園田加奈の提案で、秋葉原に来ている。

 夕夏、八乙女さん、有馬、出島。いつものメンバーはいつも通りである。あるが……、

「あの~、僕と秋人は何故にこんなコスプレ?」

 芽吹が聞く。

「……ていうかほぼ着ぐるみ?」

 秋人だ。

 それには夕夏と園田が答えた。楽しそうに。

「それは『ロペ』だよ」

「そう。背の大きい秋人くんがウサギのロペで」

「芽吹ちゃんが、小ッコかわいいリスのアキラ先輩」

「「……はぁ……?」」

 イマイチよく分からないまま、そんな返事しか出て来なかった芽吹と秋人。しかし、みんなはそんな2人の反応を楽しみつつ、園田加奈を先頭に秋葉原を歩き出したのだった。



「はい。とりあえずココ。君達にだけ教えちゃう。ココ、実はオラっちの秘密のバイト先」

 そう言って園田がみんなを案内した場所とは……。


 こ、これが……『メイド喫茶』!?うわぁ~初めて来た。や、やっぱり店員さんは可愛いメイド服のお姉さんなんだろうな。「お帰りなさいませ。御主人!」とかって言うのかな?ひぃ~、なんか緊張して来ちゃったよぉ~!



 萌え系の可愛いメイドイラストと、なかなかに凝った書体の看板。グリーンをベースに意外と落ち着いた感じの外観のお店である。

 早速店内に入った芽吹達ご一行。

 扉を潜った瞬間、如何にもロイヤルなウエルカムチャイムが鳴った。

「お帰りなさいませお嬢様。御主人様!」

  明るく可愛らしい店員さん(いや…、ここはあくまで¨メイドさん¨だ)メイドさんの声に出迎えられた。

(ふあ~……、なんか凄い……。なんかちょっと恥ずかしい気もするけど、店員さんみんな可愛いし、素敵だなぁ)

 初めて来た芽吹は、不思議な空間に圧倒、感動して、すっかりアホ面になっていた。

 夕夏は身体全体でキラキラとハシャぎ、出島はニタニタへらへらしていた。有馬は若干居心地が悪そうだ。八乙女さんは夕夏の家で見慣れているからか、流石に落ち着いている。


 芽吹達は席に案内されたのだが、この時店内は、アキバ史上前代未聞の空気に包まれていたのだった。

 店内の全メイドさんから厨房の中、他のお客さんまで。芽吹の存在に表現しようの無い感情が生まれていた。

 男性客の中には、ストローの逆流でジュースがバブりぃになっていたり、眼鏡のレンズが割れたり、ダーツゲームで店の壁をぶち抜いたりなど。カウンター裏や、厨房からは食器類が大量に割れる音や、「銀髪プラチナフェアリー、アキバレボリューション来たコレくぅぅぅぅぅ!!」など。様々な影響が。

「ふっふっふ……。これを期に我ら芽吹ちゃんファンクラブは、全面的公式に(本人には極秘)校外アキバ進出よ!」

 とは、決して口にはしない園田と夕夏と出島だった。


 こういうところに慣れた園田と、ノリノリな夕夏のリードで、注文したメニューがそれぞれに届いた。園田はイチゴチョコ抹茶パフェ。夕夏と有馬でフルーツパンケーキ(夕夏の策略)

「これ1つを2人で食うのか!?」

 八乙女さんと出島でチーズinハンバーグ(これも夕夏の策略)

「八乙女ちゃん、一緒にあ~んしよ……ってアイダッ!?」

「八乙女さん、出島君にフォーク刺さってるよ!?」

 夕夏と出島の悪ノリにオーラをどす黒くする八乙女さん。それを喉の奥で笑う夕夏。出島に突き刺さっているフォークに顔を青ざめる芽吹。しかし、その青ざめた顔はすぐに沸騰することになる。

 ペアのスプーンとオムライス。ドリンクにはファンタグレープのダブルストロー。

「え、これって……まさか……?」

「はい。御主人様がお隣のお嬢様にオムライスを『あ~ん』するんです!」

 嬉しそうに説明をするメイドさん。

「俺が、ハルに……『あ~ん』するのか?」

「へ…………えええええええ!!!??」





続く…

 アキバ編。また次話に続きます。

 最近執筆の余裕がありませんが、楽しみにしてくれている読者がいると信じて頑張ります。

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