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芽吹と春夏秋冬  作者: 霜月ぷよ
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春25番 いざ、百合の花園へ!

 まさかあのシスコン妹萌な兄貴がヒーロー的登場とは!?

 今回は芽吹ちゃんの身体の静養のため、ホテルでゆるゆると……?

 さて、この状況は一体どういうことか……?

 そして、この状況はどうすれば良いのか……?


 いきなりですがここでクイズです。

ジャジャン!

 僕は今見知らぬ部屋の、見知らぬフカフカなベッドに寝ています。さて、ここは一体何処でしょうか?

 もう一つクイズです。

 僕は今、左右で寝息を立てているある2人の女の子に抱き枕よろしく、ハグされた状態で寝ています。さて、そのある2人とは一体誰のことでしょうか?



 僕は今、つま先から頭の天辺まで真っ赤っかのあっちっちな状態になっちゃってます。その原因は……。

「だって、芽吹ちゃんあんな怖い目にあったんだよ。そんな時、同性のアタシ達が癒やしてあげなきゃいけないでしょ?」

 夕夏は必死に芽吹への誤解を解こうとしていた。それに対して芽吹は、まだ肩を抱いて、真っ赤っかな顔でふるふると震えていた。今にも泣きそうな状態で。

「わ、私は何もしていない。……ただちょっとだけ、頭を……ナデナデ、していただけだ……」

 八乙女さんもしどろもどろに弁解する。


 正直恥ずかしいから、あまり説明はしたくないけど、簡単に言ってしまうとこうです。

①目が覚めたら両サイドから抱き枕状態。

②八乙女さんが寝ながら僕の頭をナデナデ。

(これは気持ち良かったから、癒やされました)

③夕夏が、抱き付いてる延長線で僕の胸を揉んで来やがりました。

(不意に揉まれるのは¨一応同性¨でも問題です。お母さんはそんな変態な子に育てた覚えはありません!)

 そして今に至ります。



 芽吹達が今いるここは、芽吹達が遊んでいたビーチの近くにあるホテルである。

 あの事件の直後、芽吹は秋人に抱き付いて泣きまくった末に、眠ってしまったのである。時間はもう4時を過ぎていた。しかし芽吹がこの状態では少々帰りずらい。そう悩んでいた時だった。

「秋人、皆でこの近くのホテルに来い。父さんと母さんがもうチェックインしてるはずだし。ついでに泊まってこう」 兄筑紫が言った。

「え、でも俺達そんな金無いんスけど?」

 秋人が返答すると、筑紫は何故か後ろの夕夏に歩み寄って言った。

「君が鳴海夕夏ちゃんだよね?」

「え、あ……はい」

 キョトンとする夕夏。

「そこのホテル、たぶん君のお父さんの会社と関係あると思うんだけど?」

 ホテルに着くまでしばらく意味が分からなかったが、ホテルに着いて、夕夏が親に電話をして初めて分かった。というか夕夏の意外な正体が。


「えっ、ここ夕夏のパパさんの会社の……ってか夕夏のパパさん社長、てことは夕夏って……!?」

「いわゆる社長令嬢ってやつだな」

「ほ~え~……」 秋人、有馬くん、出島くんのいる部屋に集まった僕と夕夏と八乙女さん。

 このホテルに僕達全員が泊まれたのは、実は夕夏のパパさんの会社関係のホテルだったからみたい。


「ハル、お前もう身体とか平気なのか?」

 秋人が心配そうに聞いてきた。

「うん。大丈夫みたい。あ~、でもお風呂入らないと」

「あ、そうだね。芽吹ちゃん今まで眠ってたんだもんね」

 僕はあれからホテルに運ばれて、今の今まで眠っていたから身体がベタついていた。

 父さんと母さんもこのホテルに来てるみたいで、母さんが僕の身体を拭いてくれたらしいけど。まさか変なことされてなかったかな……?寝ていた僕にあの人は何か……?いや、今は考えないことにしよう。

「春風さん、一度お風呂に入って来るといい。地下一階には大浴場があるそうだ。苦手なら部屋にもバスルームはあるし」

 今の時間は夜10時を回っていた。僕が人前で着替えたりするのが苦手なのを八乙女さんは気にしてくれていた。

 そう。大浴場に入るということは、僕にとっては他の女の人の身体を見てしまうことになる。見た目同性だから特に問題はないと思いたい。でも、なんだかんだと可愛い水着まで着てしまった僕でも、男の子の心はまだある。

 他に人がいなければ、絶対大浴場に行きたい。貸切風呂で泳ぎたい。でも他の女の人がいたらいろいろマズい。やっぱり部屋のお風呂にしようかなぁ?

 そんな悩んでいる僕の真横に刺客がいた。

「アタシ芽吹ちゃんとお風呂入りたいから、芽吹ちゃん、秋奈っち行こ?」

「えっ、いや、でも僕……」

「それ行こう。アムロしゅっつじぃ~ん!」

「アムロさんはそんな台詞言わないよ!」


 ついに……、ついに来てしまった。入ってしまった。女風呂。でもまだ脱衣所。でも2人とももう服脱いでるしぃ~!

 どこに目をやればいいのか、あまり挙動不審もマズい。変な汗が止まらない芽吹。

 何度も言うけど、外見上は同性だから、夕夏とか八乙女さんに見られたり、僕が2人の身体見たからって、別に問題にはならないはずなんだけど、僕の男の部分がそれを強く否定してる。

「ほら芽吹ちゃん早く。 そのままだと風邪引いちゃうぞ」

「こら夕夏察しろ。春風さんは多数の人の前で裸になるのが苦手なんだぞ!」

「体育の時の更衣室ではもう結構平気みたいだよ?」

「見知ったクラスメイトの前と、知らない人もいるこことでは違う。春風さんには心の準備が必要なんだ」

(はぁ~。八乙女さんそこまで僕に気を使ってくれるなんて……。やっぱり八乙女さんは大人だなぁ。男の時に友達に……って八乙女さん男嫌いなんだっけ)

 夕夏と八乙女さんがせっかく誘ってくれたんだから、海で疲れた身体を、大浴場で癒すべし!

 僕は意を決してタオルを身体に巻いた。胸は隠れたけど、下はかなりギリギリだ。

 2人に手を引かれるように、僕はついに女風呂へと足を踏み入れてしまった。

 先に身体を流すため、シャワーと鏡の前に3人揃って座った。鏡には、もう見慣れた女の子の自分の姿。のはずなのに、僕は自分の姿にドキッとしてしまった。タオルを巻いているからなのか、自分で言うのもあれなんだけど、妙に……色っぽいと感じてしまった。

 なるべく鏡は見ないようにシャワーで身体を流した。すると、

「めめ、め芽吹ちゃん、なんか、それ超ぉ~エロいんですけど……?」

「…………」

 夕夏の目が若干血走り掛ける。八乙女さんは顔を真っ赤にして口元がムグムグふるふるしていた。

 2人の視線を追って、僕は自分の身体を見た。

「ふぇっ!?」

 身体に巻いたタオルが濡れたことで、身体のラインはクッキリ。タオルが透けて見える物がスケスケになっていたのだ。

「あわわわわばばばばばばば……!?」

「あぁ~……、アタシ、秋奈っちと同じ道に行っちゃうかも……」

「んなっ……!?」

 恥ずかしさの余り、僕は思わず湯船にダイブしてしまった。

「今夜、アタシは芽吹ちゃんにルパンダイブを刊行しようと思います。いざ、百合の花園へ!」

「やめんかキサマ!」

「イタっ!まさか隠れ百合っぺの秋奈っちに止められるとはねぇ~」

 動揺しながらも必死で口止めしようとする八乙女さんと、その反応を楽しむ夕夏。その様子と会話は、芽吹には届いていなかった。


「ふぇ~……広くて気持ちいい~」


 この後芽吹は、夕夏による『強制洗いっこの刑』に処され、退けたはずの貞操の危機が、夕夏によって訪れ、公共の貸切大浴場で、しばしR15の百合劇場が開幕した。

「やっ、ちょっ……くすぐったい。はひっ……はんっ……ひゃっ、あっダメ、そこはダメだから……ひゃうんっ!」

 この背徳的な光景に八乙女さんはというと、水面から半分だけ顔を出して、何かに耐えていたのだった。



「夕夏お願いだからもう許してぇーー!」





続く…

 最後の最後に静養、というか保養?的展開になりました。まぁタイトルの時点でネタバレですがね。

 八乙女さんの隠れ百合っぺ発覚!?因みに鳴海さん曰わく、

「アタシはギリノーマルだよ。芽吹ちゃん以外にはね。だって芽吹ちゃん弄ると可愛いんだもん。なんかムズムズしない?」

 だそうです。

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