春22番 コラ秋人笑ってないで助けれぇ!
前回は水着ショッピングの回想メインでしたが、今回はビーチがメインです。
ビショビショ美少女達の水着姿は読者さんの想像力にお任せ致します。
あまり興奮しないように。鼻血出ますよ。
太陽がカンカンと照りつける真夏のビーチ。芽吹、秋人、八乙女秋奈、鳴海夕夏、有馬京弥、出島太矢。6人は思い思いに海水浴を楽しんでいた。
海に向かって砂浜を駆ける水着姿の芽吹。秋人を奴隷のように使って膨らませたイルカの浮き輪を持って。
「ゼェ…ゼェ……ハルのやつ、俺をこき使いやがって……」
この前の水着購入の時に少し遡り……。
あの日の帰り、芽吹は自分の水着姿のことを秋人に聞いてみたのだった。
すると秋人は少し照れながら答えた。
「お前、見た目可愛いんだし、男に戻る前に、一回ぐらい水着着ても悪くないだろ」
少しの間があって、芽吹は頬を染めつつも満面の笑みで秋人の方を見た。すると秋人は照れ隠しにこう言った。
「可愛いかったら多少胸が無くてもOKだな!」
この発言がいけなかったのだ。
結果、海水浴の準備のほとんどを秋人にやらせた芽吹だった。
話は現在に戻る。
芽吹の水着は最終的に、チェリーレッドとメロングリーンのチェック柄の短キニタイプ。上はノースリーブのパーカータイプである。
「芽吹きちゃーーん、ビーチバレーやろう!」
夕夏の水着は青がベースのチェックのビキニ。しかも紐タイプ。八乙女さんはダークブルーの割とシンプルなビキニに、腰に赤いワンポイントリボンが付いたデザインだ。
お昼を少し回った頃。
みんながビーチバレーをして楽しんでいるのを、僕は一人浮き輪で、プカプカ漂ってそれを眺めていた。
(夏休みはやっぱり海だよねぇ~。はぁ~……それにしても、とうとう女の子の水着着ちゃった。着てみたら意外と可愛いなぁ~。なんて思っちゃう自分て、ナンダかなぁ~……。最近やっぱり感覚が女の子寄りな気がするなぁ。秋人のことは、カッコいいとか、いいやつっていうのは昔から変わんないし、夕夏は絡みかたとかちょっとアレだけど、女の子通しなら普通なのかな?八乙女さんは大人っぽくてカッコいい感じだし。男らしいとか女の子らしいってなんだろう……?)
そんなことを考えたりしていてはいるが、芽吹自身、本当はどっちの自分でいたいのか、また、秋人への本当の思いなどには、まだ気付けていなかった。
「おーーいハルーー、そろそろ昼飯にするぞぉーー!」
秋人達が手を振ってそう呼び掛ける。
「イェッサァーー!」
返事して調子よく泳ぎ出した芽吹だったが、勢い余って浮き輪のバランスが崩れた。
「ほえ……!?」
キョトンとした顔がそのまま水面へと傾く。輪っかの浮き輪に身体がはまったまま、芽吹の身体は浮き輪ごとひっくり返ってしまったのである。
「あっ、芽吹ちゃんが!」
夕夏の焦りの悲鳴。しかし、言うが早いか、男子3人はもう既に駆け出していた。
「かばばばっ……ゴボゴボゴボ……っ!?」
(あぅ……く、ぐるじぃ……!?)
芽吹は鼻からも口からも海水を飲んでしまい、パニックで頭が真っ白になってしまっていた。
―――――――――
ゆっくりと意識が浮上していく。その中で、微かに、途切れ途切れだが、芽吹は自分の名前を呼ばれていることに気付いた。意識が覚醒して、ゆっくりと目を開くと、ぼやけた視界に太陽を背に誰かのシルエットが見えた。徐々に視界がハッキリしくると、それは秋人だと分かった。
「秋人……。あれ、どうしたの、僕寝てた?」
そう問うた芽吹のようすに、秋人は大きく深呼吸をした。そしてその表情は、心配から安堵へ。安堵から苛立ちへと段を置いて変わっていった。
しかし、秋人は直ぐにその表情を緩めた。
「お前なぁ、浮き輪使ってるからって油断すんな。おかげでこっちはヒヤヒヤしたっつーの!」
「ほえ……」
(あ、そういえば僕溺れかけたんだっけ)
「あ、ありがとう。……なんか、ごめん……」
「もう大丈夫か?」
「うん。……たぶん」
すごい申し訳なくて、芽吹は俯いた。
ふと、唇になんとなく違和感を感じ、軽く唇を触ってみたが、特に気には止めなかった。
ふっと、秋人に視線を向けて、芽吹は再度言った。
「ありがとう秋人。おかげで助かったよ」
すると秋人は、急にそっぽを向いて言った。
「っ……。し、心配させんな。バカ!」
なんとなくだが、秋人の耳が赤い気がした。
「ホント助かって良かったよ芽吹ちゃ~ん!」
カバッ!
「はにゃっ。ちょっと夕夏、どこに顔埋めて……ひゃんっ!」
泣きながら、座っている芽吹の腰に抱きつく夕夏。必然的に顔は股へ。
「止めんかバカ者!」
すかさずツッコミに入ってきた八乙女さん。
「白銀の姫よ、僕の人工呼吸でもっと元気に……」
今の光景に鼻血を垂らしながらの出島に、
「ふざけんなバカ!」
「空気読めド変態が!」
「シメる!」
上から秋人、有馬、八乙女さんと。それぞれから制裁を食らう出島だった。
芽吹の具合も良くなり、メンバーは昼食とるため、ビーチに軒を連ねる出店屋台や海の家を見て回っていた。
海の家は、プレハブの仮説型や、オシャレなログハウス型。大きなトラック屋台で外にテーブルと椅子を並べたタイプなど、様々だった。
「もう腹ペコだし、空いてる店でもいいだろ」
そう言った有馬の問いに、
「海の家って、ご飯メニューそんなに変わんないだろうし、空いてるほうても良いんじゃない?」
夕夏が同意する。
みんな同意見ということで、芽吹達は外見ちょっと寂れた感のある木造のお店に入ることにした。
「ちょっと待てお前ら。ここ看板ガールとかビアガールとかいないなんて無し無し。可愛い店員さんいないとか無し無し!」
「じゃあ貴様はこれでも喰らっていろ」
「や、八乙女さん、あれはあんまりじゃ……」
口の中にこんもりと砂を盛られて倒れる出島。八乙女さんの諸行に冷や汗を掻く芽吹だった。
【18番屋てつ】(テッパン屋てつ)
お店に入った芽吹達は、意外な人物に会った。 芽吹達と彼女、双方が意外とばかりに驚きのリアクションをした。
「あ、葵ちゃん!?」
「おぅ、お前らか!」
「柴崎じゃん!」
芽吹達のクラスメイトの柴崎葵。ショートカットヘアーと髪留めが可愛い見た目だが、性格は所々男っぽい性格。
話を聞けば、どうやら家の手伝いでお店にいるらしい。Tシャツにショットパンツとニーソックス。それとオレンジのエプロン姿。少し日焼けした感じが、ハツラツな彼女をより際立たせていた。
「姉さ~ん。6名お客さ~ん。私の友達~!」
すると、キッチンにいたムキムキタンクトップのお兄さんが、
「らっしゃい。高校生かぃ。せやったらなんぼか安くしたるでぇ!」
威勢の良い大阪弁で応えた。そしてもう1人、お姉さんが……、
「キャァワイィィィ。めっちゃ可愛いぃぃ!」
「むぎょぉぉぉぉ!?」
半お約束で、高速タックルハグを食らう芽吹。更に、
「あっ、姉さんだけズルいぞ。私も芽吹ちゃんとハグする!」
「へ!?」
葵ちゃんもダイビングハグ。更に更に、
「じゃあついでに私も芽吹にモギュッと!」
「ひゃわぁっ。ちょっと夕夏変なとこ揉むな~~!」
「じゃ、じゃあ、私もどさくさに……ナデナデ」
「……って八乙女さんは何故にナデナデ?」
(なんか気持ち良いからいいけど)
この状況を思わずエロい目線で見てしまっている男子3人。
「ユリ萌え~!」
「エロ姦しいな」
「ハル、お前羨ましいことしてるな」
秋人は笑いを堪えながら見ていた。
「コラ秋人、笑ってないで助けれぇ!」 顔を真っ赤にしながらもがく芽吹だった。
「恥ずかしいからやめて下さ~い」
マスターてつさん、キッチンからの一言。
「エロ姦しいな……」
続く…
柴崎葵ちゃんと、その姉。あとテッパン屋てつ。次回はこの辺をちょっとだけ掘り下げた内容でいきたい気分です。
日焼けした活発な女子って悪くないですよね?……悪くないよね?……わ、悪く……うん。悪くない!