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芽吹と春夏秋冬  作者: 霜月ぷよ
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春十六番 恥ずかしいからヤメてぇー!

この話で体育祭パート終わりですね。また学園日常に戻ります。

今後、心も体もますます女体化が進んでいく芽吹ちゃん。ムフフ…

現れたのは、スラッと細く背も高い、神主がよく着ているような陰陽師のような服装。まるで宝塚の男役のようなキリッとしていながら妖艶な雰囲気を纏った人物。

持っている扇子を閉じたまま口元に添えると、

「ふぅ~。私はこのような大衆の前で仕事をするのはあまり好きではないのだが」

そう言って渋る仕草を見せると、後ろから、

「晴明様、今回のご依頼はしっかり勤めて頂かないと。家賃と携帯料金がもう2ヶ月も滞納しておられます。きちんと稼いで下さいませ」

そう言って姿を現したのは、薄い水色の巫女装束。腰からは尾長鶏の尾羽のように長く流した御幣の飾り。胸元と背中にそれぞれ(式)と書かれていた姿。

「ふぅ。分かっている。ところで、狐はどうした?出て来たまえ。白狐!」

晴明がそう呼ぶと、BGMがふわりとした笛の音に変わり、3人目が姿を現したのである。

その姿とは、眩しいほどの純白の巫女服に、白銀に輝く髪。そして極めつけは、白い狐の尻尾と、ピンと立った白い耳。袖からは、フワフワの大きなネコ手のグローブがはみ出ている。

なんとも可愛らしいケモノコスプレである。

遠目にその姿を確認した秋人は、可愛すぎる芽吹の姿に、思わず顔を赤くして驚いた。

「あれハルか、マジか!?」

そう。白狐と呼ばれて出てきた可愛すぎるケモノとは、芽吹である。

そして、男役ながらどこか妖艶さを漂わせる安倍晴明役は、生徒会長であり、白組応援団長、姉崎ルイである。

更にその式神役として八乙女秋奈。

「芽吹ちゃんのケモノ耳萌えぇぇぇ!」

「きゃあー、姉崎先輩カッコイイ!」

全校で人気トップの姉崎ルイ生徒会長と、本人は知らないが、総生徒数のほとんどにファンを持つ春風芽吹。この2人を花形に出したことで、観客は大興奮である。

慣れない裾の長い着物に苦戦しながらちょこちょこ歩く芽吹。皆がパフォーマンスで動き回り出した。

着物は今日がぶっつけ本番だったため、練習した動きがうまく出来ない。

(あわわわ、およよよよ。あぁもう、動きづらいなぁ~)

なんとかしようとして変なステップを踏んだ時だった。

グイ、ツンッ!

裾を踏んでしまい、つんのめった。

「にゃぶっ!」

芽吹は派手に転んでしまったのだ。

(あっ、芽吹ちゃんが!?)

(まずい!)

近くにいた先輩が3~4人、踊りながらさり気ない動作で芽吹を助け起こした。

(ほぇ~、恥ずかしいよ~)

涙ぐむ芽吹。

見ていた観客は、秋人も、思わずホッと胸をなで下ろしていた。


「白組の勝利のために気を込める。白狐の力を借りて悪鬼退散。式神達よ、舞い踊れ!」

姉崎ルイ扮する安倍晴明が、空中に何かの魔法陣を描く。するとBGMのビートが強く、そしてより陰陽師っぽい不思議な音楽に変わった。

それに合わせるように、式神役の八乙女さんも、白狐役の芽吹も、汗をキラキラと弾けさせながら一生懸命に踊った。

流れる不思議な音楽と白一色でありながら煌びやかに見えるパフォーマンスに、観客は息をのんだ。

ダンスが終わりに近付いた時だった。

突然、赤い煙を引いた花火が頭上を飛び交った。

突然のことに観客がざわめき立つ。

「安倍晴明、お前なんかに簡単に退治されてたまるかぁ!」

紅茶色の長い髪をツンツンにした、鬼役の鳴海夕夏がここで登場である。

「キャハハハ。たかが式神ごとき、ワタシの敵じゃないわ!式神なんかこうしてやる!」

そう言って、鬼はいきなり式神達を襲い始めたのである。

式神がどんどん襲われ、辺りは白煙に覆われていった。

そんな中、白煙の中で安倍晴明が呪文を呟く。

「急々如律令!」

その直後、芽吹扮する白狐が、白煙を霧散させながら辺りを疾走する。

「白狐だと!?おのれぃ!」

一瞬動揺を見せた鬼だったが、すぐに、白狐に向かって襲い掛かった。

白狐が鬼に襲われる。ここまではシナリオ通りだった。だったのだが…、



白煙が消え、観客からも周りが見えるようになると、鬼はいつ間にかいなくなっていたのだった。

地面には、異常に着物が乱れた白狐・芽吹が。

その姿を肉眼ではっきり目撃した男子は、そのエロい状態に漏れなく鼻血を吹き出していた。

「コラ男子、見るな!」

周りの女子は思わず鉄拳を繰り出すなど。白組応援パフォーマンスは、芽吹と男子達には痛い終わり方となった。

「うぅ~…、夕夏ひどいよぉ~。シクシク」

芽吹に何があったのだろうか?



夕陽ヶ丘高校体育祭は、見事芽吹達白組の勝利で無事終わったのだった。

片付けも早々に終わり、芽吹、秋人、夕夏、八乙女さん、有馬、出島の仲良しメンバーは、打ち上げをしようということで、午後5時現在、ファミレスにて打ち上げをしていた。


「うぅ~………」

(もう~、夕夏のバカ。大勢の前であんな恥ずかしいこと…。にゃあぁぁぁぁ~!)

芽吹の頭の中では、とんでもない恥ずかしい映像が流れていた。


実はあの時………

夕夏扮する鬼が、白狐・芽吹を襲っていた時。

シナリオでは芽吹が夕夏を返り討ちにするはずだったのだが、突然夕夏暴走してしまったのだ。

「もう芽吹ちゃん可愛すぎぃ。あぁもう食べちゃえぃ!」

そう言って夕夏が取った行動とは、突然芽吹の着ている着物の胸元を開き、

「えっ、ちょっと、夕夏、何?」

押し出した状態から、Tシャツ越しになんと胸を揉み始めたのである。

「ひゃっ、ちょ、夕夏やめっ、あぅ、ひぃん!」

頬を染めて悶える芽吹。

(女の子に襲われるなんて、嫌じゃないけど…って違う違う。夕夏ちょっとやめっ…)

そこへ、

「何晒しとんじゃキサマはぁぁぁぁぁ!!」

ズガァァァン!

八乙女さんのトールハンマーが夕夏の脳天を貫いた。

結果、芽吹のあの有り様である。


「だってぇ、芽吹ちゃんが可愛すぎるんだも~ん。あっ、男子のためにもっと詳しく教えちゃおっか?」

(ドキッ) 秋人

「よせバカ!!」

「マジでぇ!?」

「やめんかバカ者ぉ!!」

「恥ずかしいからヤメてぇー!」

そんな芽吹の表情に、秋人はなんだかたまらなくなった。

その夜、ベッドの中で、芽吹のことを想像してしまい、悶々としては振り払おうとジタバタする。そんなことを繰り返してなかなか眠れない状態になっていたのだった。

「あぁもう、男に戻れハルぅ~。いや、やっぱり戻るなぁー。あぁどっちだぁー!」





続く…

次回は芽吹ちゃんの身体に新展開!秋人とラブラブ!?なんちゃって。

さぁて、どうなることやら。作者の俺もわかりません。

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