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芽吹と春夏秋冬  作者: 霜月ぷよ
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春十二番 チアガールなんてやりません!

最近、面白いコミックを買いました。それは…

今日も極々平和に女子高生ライフを過ごしている芽吹。

ギャルっぽいファッションにちょっとお調子者な鳴海夕夏。長い黒髪が綺麗でクールな姉貴キャラ八乙女秋奈。自らを白銀の騎士と名乗って芽吹を勝手に守護している中二病、出島太矢。出島太矢といつも連んで行動しているクールキャラ、有馬京弥。(この2人実は意外と喧嘩好き)そんな愉快な仲間が増えたことで、始めは不安と問題だらけだった女の子ライフも、平凡になってきていた。



「ちょ、ちょ、ちょ、夕夏そんなに引っ張んないでって」

「お~い、俺教室あっちなんですけどォ?」

学校の玄関に入るなり、待っていた夕夏が、靴を履きかけていた芽吹と秋人を、芽吹のクラス、A組の教室まで引っ張って来た。

「いきなり朝から何なんだよ?」

すると、教室の中から怒号が聞こえてきた。

「お前ら、昨日のあれは何のつもりだ!」

秋奈である。

いきなり聞こえてきた怒号に、夕夏、芽吹、秋人は思わず首が引っ込んだ。

どうやら昨日のことで秋奈は気に入らない事があったらしい。

「秋奈っち何でもそんなに怒ってんの、2人のおかげで芽吹ちゃん助かったじゃん」

「どこにあんな中途半端な助け方があるか!」

八乙女さんは尚も怒鳴る。

「芽吹ちゃんギリ助かったんだぜ?¨俺の活躍で¨」

「そこお前一人強調すんな。彼女逃がしたの俺だし」

有馬が冷静にツッコんだ。

「奇襲先手必勝は俺の戦闘スタイルだ。八乙女に怒られるような事はしてねぇ!なぁ京弥?」

有馬はちょっと意味ありげに出島を見たが、

「…俺らはそのつもりだったけど、八乙女さんの気に触ったんなら謝る」

有馬があまりにクールに潔く謝ってきたため、さすがの八乙女さんも怒りを勢いを削がれてしまった。

「なっ!?べ、別に謝られても…」

とりあえず治まったところで、

「とりあえず、俺自分の教室戻りたいんだけど、鳴海、手離してくんねぇか?」

そこでようやく芽吹と秋人は解放された。


そこで芽吹はふとした事を夕夏に質問してみた。

「ところで夕夏、僕と秋人を引っ張って来たのって、八乙女さんの事?」

「いやいや、これは全くの予定外。ワタシの用事っていうのはね」

夕夏はそこで一泊置いて、芽吹にズイっと顔を寄せてきた。

「芽吹ちゃん、あなたそんだけの天使キャラを欲しいままにしていながら、世の男共への警戒心が足りないわ。危険よ!」

「て、天使…?」

自分の外見の言われように複雑な思いの芽吹である。

「いや、その丈のスカートのお前が言ってもイマイチ説得力が…」

秋人がぼそりとツッコむと、

「!…あたしは良いの!それより秋人君、あなた芽吹ちゃんの彼氏なんだからしっかり独占しときなさい!他の男に取られちゃうわよ!」

「か、彼氏じゃねぇ!」

「か、彼氏じゃないよ!」

ハモった。

「アハッ!ハモったぁ!」

「テレてる芽吹ちゃんカワイイ!」

などと茶化され、朝からへんな汗を掻いてしまう芽吹だった。



季節はもう6月に入り、芽吹達が通う夕陽ヶ丘高校では、体育祭の係決めが始まっていた。

この日は、全クラスが5、6時間目を使って体育祭の係決めなどをしていた。芽吹のクラスA組は、始めの一時間程でほとんどの種目の担当が決まり、最後に残したのが応援合戦だけとなった。

夕陽ヶ丘高校の体育祭は、3学年をA~BとC~Dの紅組と白組に別れて行う。そして、生徒会長が紅か白のくじを引き、生徒会長がAB組に属して紅を引けば全校の紅白が区別される設定である。


応援合戦は3年生がリーダーとなり、学年関係なく、知恵とセンスを絞り、個性、インパクト、芸術性を競う。



以前…

「芽吹ちゃんが副委員長やってくれるんだったらアタシ学級委員長やる!」

「へっ!?」

突然の夕夏の無茶ぶりに、芽吹がマヌケな声を上げる。すると男子が、

「ハーイ、俺副委員長の補欠やりまーす!」

アホが一名。

「はいはーい、じゃあ俺補欠の補欠やります!」

バカ一名。

仕舞いには、

「オラァー、俺ら全員芽吹副委員長の補欠ダァー!」

それに対して芽吹は、

「いや、あの~…僕は本家本元で決定ですか?」

その問いに、全員が満面の笑みと渾身の頷きで答えてくれたのだった。

「あっ、あと書記は秋奈っちでよろしくね!」

「オイ貴様、思い付いたように私を選ぶな。何故貴様に決められねばならんのだ!?」

夕夏に噛み付く八乙女さんだったが、夕夏は実に普通に返した。

「だってアタシもう委員長だから。あと秋奈っち字綺麗だし」

「…!!」

特に返答はなかったが、字が綺麗と褒められてまんざらでもない様子の八乙女さんだった。

そして現在、教卓に陣取っている夕夏。黒板に手際よく内容を書いていく八乙女さん。そして…、

副委員長の芽吹は¨普通に¨自分の席に。しかしその周囲を自称『芽吹ちゃんの補欠』の男子が数名、直立不動で待機しているという、異様な風景。

(僕、何…?何ですかこの意味不明で奇妙な状況…?)


応援団員は一クラスから5人必要なのだが、皆の反応は薄く、あまり進んでいない。

すると、夕夏はあかさまらに大きな溜め息をした。

「もぉ~、しょうがないナァ~。先生、もうワタシの独断で決めちゃっていいですよね?」

なにやら不敵な笑みを浮かべた夕夏に、嫌ぁ~な予感がした芽吹と八乙女さん。

「夕夏、貴様また何を考えている、また余計な事を…!」

「夕夏…?何か嫌な予感するんでんですけど…」

そんな2人をよそに、担任は、

「このままじゃ埒が開かないだろうし、うん。鳴海さんの好きにしてみたら?委員長だし」

《えええええ!?》

2人の抗議の悲鳴が響いた。

「何か分かんないけどダメやめてぇ~!」

芽吹が悲痛の叫びで訴える。

「とりあえず芽吹ちゃんと秋奈っち決定~ぃ!あと2人ぃ~っと」

(あぅ~。やっぱり…。夕夏こういうの特に強引なんだよなぁ~)

夕夏はス~っと教室を見渡した。

「あとの定員二名は男子ってことでぇ…」

その瞬間、男子全員がまるで怯えた小動物のような反応を見せた。

「ビシッ!有馬君と出島君、よろしくぅ!」

「え、マジ!?」

「あいつ始めっから決めてたな」

すると夕夏、口元に人差し指を当てて、可愛らしく小首を傾げて、

「アタシ的に2人が一番絡みやすいから?」

すると出島が立ち上がって抗議した。

「こんな適当な決め方、俺は認めないぞ。たとえ芽吹ちゃんとの夢の共同作業が出来るチャンスだとしても…」

そこで夕夏が遮るように付け加える。

「あぁ、因みに、女子応援団員はチアガールのコスチュームで行くってことらしいよ!」

すると出島は…、

「ヨォォッシ、応援合戦、派手にやってやろうぜィ!」

まんまとエサに食い付いたスケベ猿が一匹。

相棒の有馬からもさすがに呆れの溜め息がもれる。

周りの女子からはきゃぁぁぁ!と嬉しそうな歓声が上がり、男子からウォォォ!というオス猿の雄叫びが上がった。

(ち、チアガール…!?)

芽吹はチアコスをしてキラキラと応援合戦を盛り上げる自分の姿を想像してしまった。

(…!!いぃぃやいやいやいや、ムリムリムリムリ!)

「わ、ワタシはやらん。そ、そんな、あんな恥ずかしい格好が出来るかぁ!?」

「えぇ~、カワイイのにぃ~」

「ヒソヒソ…芽吹ちゃんのチアガール…ヤバいな。絶対エロカワイイぜ」ヒソヒソ…」

「ヒソヒソ…八乙女さんは普段のギャップとかあるからかなりいけんじゃねぇ?」

「美人だし」

「胸あるし。ヒソヒソ…」

(うぅ~…普通に聞こえてるんですけど。エロカワイイって何!?僕、男子にどう見られてるの!?チアガール絶対嫌だ)

でも、そこで芽吹はふと思う。スタイルの整った八乙女さんのチアガール姿は見てみたいと、芽吹の中に残る男心が要求する。がしかし、

(この気持ちって、男だから?女子同士でも胸の大きさ羨ましがったり、可愛いとこ見せ合ったり。僕、これどっち?)



「よし。これで全部切りよく決まったようね。ってことでこのまま帰りのホームルーム始めるから学級委員は席に戻っていいよ」

そう言われて席に戻る夕夏と八乙女さん。八乙女さんは動揺と苛立ちの視線を夕夏に乱れ付きしていた。

同時に、芽吹の周りに直立不動で待機していた自称補欠達もぞろぞろと席へ戻っていった。

(これ、僕意味あるのかな?)


ホームルーム終了後。

「夕夏、貴様ワタシが嫌がることを知っててわざと応援団に入れたな?」

「別にいいじゃ~ん。秋奈っちチアガール絶対似合うって。綺麗だし、胸大きいし。男子にモテるよ絶対!」

適当に褒めたが、八乙女さんは鬼の形相に変わる。

「ワタシが男が大っっ嫌いなのは夕夏が一番知っているだろうが」

そんな2人とは別に、教室の片隅で芽吹は一人、男のアイデンなんちゃらのピンチに頭を抱えていたのだった。


放課後、秋人を読んで、夕夏と出島で、芽吹と八乙女さんを応援団員にするための説得がされていた。

「え、ハルが、チアガール……」

「アハッ、秋人君芽吹ちゃんのチア想像して赤くなったぁー!」

「…!?変なん想像すんなバカ!」

「なっ、ちげぇよ!」

「美少女の芽吹ちゃんと、アマゾネス秋奈っちが応援団に入れば、体育祭絶対めっちゃクチャ盛り上げるよ!」

「び、美少女!?」

「誰がアマゾネスだ!?」

その後ろでは…、

「姫のチアコス…生足…へそ出し…見せパン…萌ぇ~」

「オイ!白銀のガーディアンはどこ行った?」

悶々としているスケベ猿が一匹。

それに気付いた八乙女さんが、ギラッ目を光らせた。

「盛ったオス猿の脳みそ、今すぐ焼却炉にぶち込んでやろうか!あぁ?」

「モゲッ!?」


そのあともしばらく、芽吹と八乙女さんの抵抗は続いた。

「何が何でも僕はチアガールなんてやりません!」




続く…

『ボクガール』というやつで。初めは小説版をたまたま見付けてよんだんです。

後にヤングジャンプだと知って→コミック購入。 TSF物です。

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