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芽吹と春夏秋冬  作者: 霜月ぷよ
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春十番 同性?異性?

投稿出来るまでに時間が掛かりました。書店で女体化系書籍を新しく入手して読んでいたり、無双ゲームをやり込んだりと、ぼっち趣味が多いんです。アハハハハ!

今日から6月に入り、蒸し暑い梅雨の時期になってきた。朝からじめじめとすっきりしない天気が3日程続いていた。



「おはよう秋人」

「おはようハル」

「行って来ま~す」

いつものように学校に向かう芽吹達。

「なんか今にも降りそうないや~な天気だな」

「う~ん」

「ん、どうしたハル?」 秋人の話に曖昧な相づちを返す芽吹は、何やらせわしなく髪を撫でていた。

「湿気のせいでさぁ、髪の毛なんかピョンピョン跳ねてて気になっちゃって。なんか変じゃないかな?」

「別にそんな気になんねぇぞ。ハルが気にし過ぎなんじゃないか?」

「う~ん」

梅雨の時期になると、髪の長い女子は特に、髪のセットが気になるようになる。芽吹も前より髪が伸びてきて、背中にかかり始めていた。芽吹の後ろ髪は普通の時でも毛先が少し跳ね上がっている。おそらく周りはあまり気にしないだろうと、秋人は言ってくれている。


教室に入ると、

「芽吹ちゃんおはよう!」

「おはよう真希さん」

「芽吹ちゃんもやっぱり髪跳ねちゃってるね」

「あぅっ!」

クラスメートの真希さんは苦笑いで「梅雨だし仕方ないよねぇ?」と一緒に困ってくれた。



午前中はあんなにどんよりとしていた空が、午後に入って徐々に青空が見えてきた。授業中に時折日差しが差し込んで、ただでさえ眠そうな生徒達から心地良い欠伸が漏れる。芽吹もその一人だったりする。

「ふぁ…ふあぁ~…っ!」

周囲からクスクスと笑う声が聞こえて芽吹はハッとして周囲を見た。

「芽吹ちゃんの欠伸姿チョー可愛いんでけど」

「クスッ。赤ちゃんみたい」

「白銀の天使の欠伸、レアなり!」

芽吹は顔を真っ赤にして、教科書に顔を沈めた。



翌日はこの梅雨の時期には珍しく晴天となった。空気も風も湿気が少ない気持ち良い天気。


帰りのホームルーム前、芽吹は窓越しに見える久々の青空をぼ~っと見ていた。そこへ声がかかる。

「ねぇねぇ芽吹ちゃん?」

芽吹がそちらに振り返ると、目の前には夕夏と真希さん、後ろには八乙女さんもいた。

「何?」

「今日学校終わったらさ、カラオケ行かない?」

「カラオケ?」

芽吹がオウム返しに聞くと、

「芽吹ちゃんがカラオケ嫌いじゃなかったら…なんだけど、どう?」

真希さんが控え目に聞いてきた。

「カラオケかぁ…」

(僕アニソンとかマニアックな曲しか歌えないんだよなぁ。秋人以外の人の前で歌ったことないし。大丈夫かな?)

「僕、あんまり、その~…」

なんだか言いづらくてモジモジしてしまう芽吹。

「芽吹ちゃん、人前で歌うのとかって苦手?」

「いや…、あんまり歌える曲無いんだけど、いいかなぁ?」

すると夕夏と真希さんは揃って明るく言った。

「大丈夫。少しでも歌える曲あるんなら大丈夫」

「楽しけりゃオッケーでしょ!」

特に嫌という訳ではないが、背中を押される形でしぶしぶ頷いたのだった。



「なんでお前ら女子メンバーの中に男子俺だけなんだ?」

「それは芽吹ちゃんが…」

「あ、秋人どうせ暇だったんでしょ?」

秋人の不満に答えようとした夕夏の言葉を遮るように、慌てて秋人に聞き返す芽吹。

「いや、俺も暇って訳じゃないん…」

「秋人暇だよね?」

ちょっと必死な表情で秋人を無理やり説得する。

(お願いだよ秋人。今まで秋人以外の人前で歌ったことないんだよぉ~)

芽吹の必死な表情から何となく心情を汲み取った秋人は、

「はぁ…、まぁいいか。カラオケ久々だし。ハルの歌結構いいしな」

そういうと、

「芽吹ちゃんってもしかして、密かに歌上手い系だったり?」

「うわぁ、芽吹ちゃんの歌うとこ見たぁーい!」

夕夏と真希さんのテンションが上がる。

「い、いや別に、特に上手くもなんとも…、秋人のせいでハードル上がっちゃったよ!?」

そんな芽吹に対して、口笛を吹いてそっぽを向く秋人だった。


そんなわけで、学校終わり、街に出てカラオケに向かう芽吹達。夕夏、八乙女さん、真希さん、芽吹、秋人。八乙女さんはあまり喋らないが、終始周りを警戒しながら皆と歩いていた。そんな八乙女さんの様子に気付いた芽吹。

「八乙女さん、どうしたんですか、なんか、ちょっと顔怖いですけど?」 「…!」

芽吹は普通に聞いたつもりだったのだが、八乙女さんが振り向くと、思った以上に顔が近かったため、八乙女さんは後ろに仰け反った。

「あ、いや…、街中は軽薄な野郎共が多いからな、は、春風さんは特に目立つのでな。変なん輩が近づいて来ないように、一応」

そう説明する八乙女さんは、芽吹と目を合わせられず、しかも顔もなんとなく赤い。

芽吹はそんな八乙女さんの様子を特に気にすることはなく、サッと秋人のそばに来て聞いてみた。

「なぁ秋人、僕って目立つのか?髪が白いから?」

「まぁ~…、確かに髪だけでも充分目立つなぁ。あとは~…」

そこまで言って何かを考える秋人。

(俺の口から¨可愛い¨なんて言えないしなぁ。間違い無くハルは激カワなんだけど)

芽吹がキョトンと見詰めてくる。

「ハルはさぁ、なんかこう、小動物?的な雰囲気なんだよ!」

すると芽吹は一拍間があって、

「…ってコラァー、僕はハムスターかなんかかぁー!?(`×´♯)」

秋人に膨れていると、真希さんが、

「あはは!確かに芽吹ちゃんっぽいね」

「子猫って感じもあるよね」

夕夏。

「えぇ、真希さんまでなんてことを!?」

すると八乙女さんが、

「猫とハムスターでは天敵ではないのか?」

「あ…、う~ん…」

八乙女さんの地味なツッコミに、地味に納得する芽吹達一行であった。



カラオケボックスに入り、早速マイクを握ったのは夕夏。続いて真希さんが歌いだした。秋人も既に曲を予約したため、次は芽吹が入曲する番である。

「何歌うかまだ決まってないのか?」

選曲端末の画面をタッチしながら選曲に迷っている芽吹に、秋人が画面を覗き込むように顔を寄せる。

「ん~……ん?」

「ん?」

「……にょわあぁっ!?」

真剣に端末画面と睨めっこをしていたのだが、顔の左から何やら熱を感じてそちらを見た芽吹。すると眼前超至近距離にいた秋人もこっちを見た。一瞬だが、芽吹には数秒に感じた。超至近距離で秋人と見詰め合った状態である。

驚き過ぎて、まるで漫画のように後ろに飛んだ。そして自分でもよく分からないが、顔が熱いことに気付く。

「オイオイ、どんだけビビってんだよハル。俺何かしたか?つーか大丈夫か、なんか顔赤いぞ?」

「どしたのお二人さん?」

夕夏と真希さんがマイク越しに聞いてきて、夕夏がそのマイクを芽吹に向けてきた。

「べ、別に、なんでもないです」

顔を真っ赤に俯く芽吹の声は、マイク越しでも小さかったのだった。


真希さんが歌い終わると、秋人に順番がきた。秋人は無難にと言ってSMAPの曲を入れていた。その曲は、サビなら芽吹も知っていると、芽吹にもマイクを持たせた。

Aメロ部分まで秋人が普通に歌っていたが、サビに入り、芽吹が歌い出した。その瞬間、初めて芽吹の歌声を聞く夕夏と真希さんはもちろんだか、¨女の子¨としての歌声は初めて聞く秋人も思わず、深く唸った。

ただ女の子らしいカワイイ声なのではなく、つい唸ってしまうような、綺麗な高音質なのだ。

なんとなく嬉しくなった秋人は、少し低音で、ハモりを入れて芽吹と歌った。

「芽吹ちゃん、その見た目に加えてチートな歌声って、ずるいよ」

真希さんがつぶやく。

「やっぱりこのメンバー失敗だわ。芽吹ちゃんと秋人君、カラオケでまさかのデュエットって、リア充感全開じゃん!」

夕夏はマイクに向かって悔しそうに叫んだため、スピーカーがキンキン鳴り響き、八乙女さんに酷く起こられてしまった。

廊下まで漏れたその騒ぎを訝しむ店員さんの姿があったりしたとか。

その後何回か、順番で芽吹は歌った。某スーパー宇宙人のテーマソングを始め、世界的大人気海賊アニメのテーマ、中でもボーカロイドの曲は、夕夏と真希さんは知らなかったが、かなりノリの良いアップテンポと、芽吹のカワイイ歌い方に、後にドハマりしてしまうのだった。

時間ギリギリでは芽吹が選んだ曲、「あの花」のエンディングテーマで締めくくられた。映像はもちろんアニメ映像である。


店をでながら、真希さんは「あの花」のDVDをレンタルで全話見ると興奮していた。

芽吹のアニメオタクな選曲は、かなり意外な高評価となったのだった。


時刻は6時を過ぎていたが、外はまだ明るく、みんな門限は特に厳しくないということで、

「TUTIYAにでも行く?」

「あっ、芽吹ちゃん、せっかくだからオススメのアニメDVD教えて?」

「うん。じゃあ早速行こう!秋人、八乙女さん行こう」

はしゃぐ芽吹の後ろ姿を見て夕夏は、

「最初あんまり乗り気じゃなかったのに、今はかなり楽しそうだよね」

「春風さんは周りに影響を与えるが、本人もかなり流されやすいようだな。男女問わず周りを惹きつける。いざという時ワタシが彼女を守らないと」

カラオケの余韻が残る夕夏とは別に、八乙女さんはそう言って、表情を引き締めた。すると横で秋人が、

「正直ハルは目立ち過ぎる。この辺は繁華街が近いし、この時間あたりからは女子には少し物騒だ。八乙女さんは喧嘩強いんだって?」

そう聞くと、

「ワタシはあまり男という生き物が好きではない。特に…」

「秋奈っちってね、レズなんだよ!」

夕夏が躊躇いもなくとんでもないことを暴露しやがった。

「っ!!なっ、わ、ワタシはべ、別にそういう趣味ではない!夕夏、極端な言い方をするな。それでは変態だろうが!」

真っ赤になって慌てて弁解する八乙女さん。

「へ~…」

気の抜けたリアクションをする秋人。

(ぅわお!八乙女さんがレズだったとは意外だなぁ)

「ってこら、柊秋人、キサマ今普通に納得しただろ!?」

「秋奈っちはねぇ、芽吹ちゃんのことがねぇ…」

「止めんかキサマぁー。それ以上言ったらコロス!」



八乙女秋奈の意外な性格を知ってしまった秋人だったが、それを芽吹本人に聞かれていなかったことにまずは安堵するのだった。

(見た目上は、いわゆる¨百合¨になるけど、ハルの中身は一応男子だし。そもそも今のハルは女子に対してはどっちなんだ?同性か?異性?う~ん……)





続く……

「あの花」のDVDボックス欲しいんですが、なかなか買えません。

金銭面とか金銭面とか。あとは…やっぱり金銭面か?

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