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芽吹と春夏秋冬  作者: 霜月ぷよ
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春九番 芽吹無双、行っきまーす!

先日、『あの花』劇場版と、劇場版『銀魂 完結編』のDVDを徹夜2本立てで観たんです。よう~~やく。泣きに笑いに大興奮のせわしない一夜でした。

日曜日。

中間テストも終わり、芽吹は赤点教科の補修も終わり、今日は秋人と一日中ゲームをやり倒す予定である。

ピンポ~ン

「は~い、はいはいハァ~イ!」

パタパタと玄関に向かう芽吹。

「待っておったぞ秋人殿。さぁ、上がってたもれ」

「テンション高いなぁ。お邪魔しま~す」

「秋人君いらっしゃい」

菜花さんへの挨拶も早々に芽吹の部屋に入った。 「とりあえずなんかおやつとか飲み物持って来るから、適当にしてて」

そう言って芽吹は下に降りて行った。


女子独特の香りを感じるようになった芽吹の部屋。秋人は、芽吹の女体化が確実に進行していることを改めて実感していた。(あのハルが、生理…。まさか本当に女の子のハルと今こうして普通に遊べるようになるなんて、今更ビックリだよなぁ)

中学の文化祭で一度だけ、芽吹は劇の役柄で女装をしたことがあったのだ。華奢な体格に可愛い童顔だった芽吹は、男女先輩後輩、観客問わず人気を集めたことがあった。しかし、芽吹本人、劇中でもそれ以外でも、泣きそうになるほど恥ずかしがっていたため、芽吹の女装人気は極一部の密かな人気に収まったのだった。

そんな昔のことを考えていると、ふと、人の気配を感じた秋人は入り口を見た。すると、ドアの隙間から兄筑紫がこちらを覗いていた。

「うおっ!な、何してんスか筑紫さん!?ビックリしたぁ」

「秋人よ…」

「はい?」

「いくら芽吹と長い付き合いだからと言っても、いくら芽吹が可愛いからと言っても、思春期を理由に何かしたら…、覚悟しておけ」

「いや、何にもしませんて」

顔を覗かせているドアの隙間から、どす黒い何かが漏れ出ている気がした秋人。

「マイシスターはあの通り、自分のプリティと、キュアキュアを自覚していない。故に秋人、お前に対しては無防備だ。今すぐこの太陽系が消滅するってくらいのもしもの話だが…」

筑紫はそこで秋人をギロッと睨んだ。

「俺の大事な妹に欲情したら、ぶっ殺す」

「…………」

(うわぁ~、このお兄さん色んな意味で怖ぇ!)

「そういうのはありえません。ハルは昔も今もハルっスから。俺を信用して下さい」

数十秒、筑紫は秋人の真意を測っていた。そして、

「秋人よ、お前を信用しよう。因みにだが、芽吹の下着は純白か縞の布パンだ。ブラジャーはスポーツブラが主だ。10着ほどある。クローゼットの中は絶対見るなよ」

「………………」

空気が固まる。相変わらず秋人を睨む筑紫。

「秋人よ、お前を¨信用¨しよう。フフ…」

筑紫はそう言い残して静かにドアが閉まった。

(筑紫さん、いくら¨兄妹¨でもそれは把握してちゃダメでしょ!?でも…ハ、ハルの、パ、パンツ……いィィやいやいやいや、しっかりしろ俺!)

邪な思考をなんとか誤魔化そうと頭を横に激しく振る秋人だった。



芽吹はなにやら大はしゃぎで秋人とゲームを楽しんでいた。


【戦国HABARA-天下分け目の秋葉原-】

このゲームは、無双シリーズの中でも芽吹が一番ハマったゲームである。

有名武将はもちろん、可愛い&美しい戦姫も多数。極めつけは萌系ラノベヒロインをスペシャルスキルで追加参戦という、芽吹好みのシステムなのである。

「やっぱり魔王信長だろ。いや、幸村か。よし、とりあえず幸村でテンション上げて行くか」

「ほほぅ、秋人さん、赤い彗星の真田幸村ですか。なかなかのチョイスですな~。じゃあわたしは卑弥呼で行かせていただきます」

芽吹と秋人2人揃っての久しぶりのゲームで思い思いに戦場を駆け抜けた。

「オッシャァ!やっぱ幸村のモーション攻撃範囲広くて使いやすいな。卑弥呼の土偶のビームも広範囲で楽しそうだな」

「キャッホー、楽勝だぜぇー!」

「オッシャー、真田幸村、卑弥呼の道を切り開くため、いざ、参る。デリャアー!」

「可愛い卑弥呼ちゃんのお通りやっちゅうねん!」


「うわっあっぶねぇ…。流石は本多忠勝だ。つえ~な」

「2人掛かりでも強いよね。卑弥呼ちゃん守備力低いし」

「ハル、一騎打ちは俺に任せろ。ハルは中距離攻撃で援護頼む」

「オッケー。隙をついて合体無双乱舞咬ませばイケるね」

「いくぜぇ!」

「可愛い乙女怒らしたら恐いでぇ!」


「僕次はくのいちにしよっと。可愛いし、無双乱舞、範囲自由だし」

「お、忍者か。じゃあ俺はリュウ・ハヤブサで行くか」

「くのいちはキャラ選択の時の台詞が好きなんだ」

芽吹がくのいちを選択すると、『出番だぜぃ!』カワイイ女の子の声が、調子の良い江戸っ子口調で喋った。

「そんでもってくのいちは、コスチュームチェンジっと。えへへ」

少しイタズラっぽく笑う芽吹。画面上でキャラクターの衣装が変わると、秋人が画面に顔を近付けた。

「何だそれ、ネココス!?しかもちょっとエロカワイイ…」

「エロっ!?こ、これはえっちぃくないよ。そう見えた秋人がえっちぃんだ。くのいちをそんな目で見るなぁ!」

カワイイヒステリーを起こす芽吹だった。


漆黒の忍者、リュウ・ハヤブサと、ネココスのくのいちが戦場に立った。

開始直後からくのいちが瞬足、からの跳躍で敵の群れに突っ込んで行った。そして跳躍頭上から、巨大ネコアームを振りかぶった。

「食らえーい、ネコパーンチ!!」

衝撃音と敵の悲鳴が響く。そして更に、

「必殺、ギニャント(ギガント)ハンマー!!」

巨大なネコアームで敵ごと地面を連発で叩き割りながらの突進して行くくのいち。

「これもう、くのいちじゃなくねぇ?」

芽吹がキャッキャと無双している横で、秋人は冷静にツッコんでいた。



お昼になり、階下から母菜花が昼ご飯の知らせをくれる。

「芽吹ちゃ~ん、秋人く~ん、お昼ご飯出来たわよ~」

「は~い。今行く~。秋人、今日は久しぶりに家で食べてってよ」

「おう。何か悪いな」

「今更何ですか秋人さん、水くさいこと言っちゃってぇ。幼馴染で親友の僕達の仲でしょうがぁ」

ふざけて笑いながら小突き合う2人。だが、秋人は内心である不安を抱えていた。

(ハルが、このまま女子の存在でいる以上、幼馴染とか親友のままでいるには限界があるな。ハルのこと、同性感覚ではもう見れないんだよなぁ。俺にBLの趣味はない…はずだ。つーかハルはどう見ても女子だ。しかも美少女だ。決してBLじゃない)

「ん、どうかした?」

一瞬、ボケっとした秋人に問いかける芽吹。

小首を傾げて見上げて来る芽吹のキョトンとした表情に、秋人は不覚にも赤面してしまった。

「あぁ、いや何でも。じゃあ久しぶりにご馳走になるかな」

「うん。食ってけ食ってけ」

秋人の芽吹に対する好意はもう、以前のものとは違っていた。故に秋人は複雑で切ない気持ちを抱えていたのだった。

対する芽吹は、秋人への好意と信頼はあれど、秋人のような恋愛感情とは、まだ程遠いものだった。


兄筑紫はどこかへ出掛けたらしく、今春風家の食卓には、芽吹と秋人、芽吹の両親の風吹と菜花で昼食を楽しんでいた。


4人は昼食を終え、まったりとお茶を飲んで談笑していた。そんな中、菜花がいきなり、何の脈略もなく、

「そういえば、秋人君はもう誰か好きな子とか、いたりするの?」

「ぅぐっ…!ゲホッゲホッ」

あまりの唐突な質問に咽せる秋人。

(い、いきなり何の話だよ!?)

秋人のリアクションに反応した芽吹が食い付いて来た。

「え、何、もしかして秋人、もう告られた?あっ、それとも逆?」ここぞとばかりに秋人をイジろうとする芽吹。

「どっちもねぇよ!今の所はな」

「秋人のリア充、あんまり見たくないなぁ~。秋人そのフェイスの上に面食いだもんなぁ。絶対ベストカップル成立しそうだし。あと僕と遊べなくなるじゃん」

芽吹は特に深い意味で言っている訳ではなかったが、秋人は、少し切なげに芽吹を見詰めた。

こんな2人の様子に、母菜花は、

(芽吹ちゃん、秋人君の気持ちに全く気付いてないわね。まぁ、芽吹ちゃん本人が自覚してないんだから当然かしら)

じれったさを感じていたりする。

「秋人君なら、うちの芽吹ちゃんをお嫁さんにしても別に問題ないかなぁ~?」

「ブバーッ!?」 バシャッ!ガチャンッ!

父風吹の呟きに、秋人はお茶を盛大に吹き、芽吹はお茶をぶちまけ、湯飲みを落としてしまった。

その直後、風吹は菜花の鉄槌を食らって伸びてしまった。

(まったく、ストレートにも程があるわよ!)

なぜ動揺してしまったのか、うっすら疑問に思いながら零した湯飲みなどを片付ける芽吹。

「あぁもう、何度も言うけど、僕は¨これでも男子¨なんですけど?父さんは自分の息子を何処に向かわせたいんですか?もぅ~、僕の『あの花』のカワイイマグカップがぁ~(泣)」

しかし、父風吹にその訴えは届かなかった。


「芽吹ちゃん、一応聞くけど、芽吹ちゃん、もしこのまま¨女の子¨のまま一生ってことになったら、男と女、どっちを好きになるのかしら?」

「え…………そ、それは………う、ん~…」

そんないきなりの究極の選択をこんな日に迫られた芽吹は、呼吸を忘れる程に固まってしまった。 どっちも選べないじゃん。そう誰にでもなくツッコむ芽吹。しかし、芽吹は自分では気付かない完全に無意識の行動を、この時とっていたのである。少し俯いた状態ではあるが、芽吹の目線は度々秋人に向いていたのだ。 秋人は気付いていなかったが、母菜花には見えていたようだった。


「き、きっとその内、元に戻るもん!」

あの後結局、芽吹の開き直り?の一言で母菜花はそれ以上何も言ってこなかった。

そして今再び、芽吹と秋人は、無双ゲームの続きを始めていた。

「ん~…なんかスッキリしない。秋人、僕なんかイライラする」

「それって生理のせいだったり?」

「その話には触れちゃダメぇー!ウガァー!」

「うわっ、ごめんハル。怒んなよ」

「うぅ~、こうなったらとことん無双しまくってやる。芽吹無双行っきまーす!」

「アムロかよ!」


その後、夕方6時までぶっ続けで暴れまくってスッキリした芽吹。それに対して、イラついた芽吹のご機嫌を直すのに思いの外疲れた秋人だった。 (こりゃあ、今後本格的に女子力がアップしたら、こんな所も女っぽくなってくのか?…まぁ、ハルだから許せるかな)




続く…

PS3 無双オロチアルティメット。ノーオンラインでやり込み中。

本業に読書に執筆。たまにゲーム。そんでもってたまに徹夜DVD鑑賞。 睡眠時間が足りないです。 ヘロー天気さんの『異世界魔術師』早く読み進めたいのにィ~!


………変なテンションになって来たっぽいのでいい加減寝ます。どうもでした。

夢の中へ 夢の中へ ………ふっふっふぅ~♪

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