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芽吹と春夏秋冬  作者: 霜月ぷよ
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♂♀⑱ 秋人、お嫁さんとお婿さん、僕どっちに行けばいい?

 どーもー。毎度不定期極まりなくてすいません。

 自分津軽出身の農家やってまして。今年の水害でまあ、いろいろと……。ってのは言い訳で。

「にゃあぁぁぁ!もうダメ。走れない。無理無理。もうムリ。秋人ーー、助けてーーー!」


「だからケツ穴しめろって!」


「だから、こんな追いかけられながらそんなのムリだってば!」


「芽吹ちゃん、私に任せて。ちょっと痛いかもしれないけど、今すぐこの経絡秘肛けいらくひこうで……!」


 夕夏はそう言って、芽吹のお尻に向かってカンチョーの構えをとった。


「嫁入り前の美少女のお尻に本当はこんなことしたくないけど……。芽吹ちゃん御免!」


「夕夏貴様、言っているセリフと表情が一致していないぞ!?」


「まぁまぁまぁ。……ロックオン!」


「にゃあああ。秋人ゴメン僕お婿で行くことになりそぉー!」


「ハルーー!」


 夕夏の鋭い指と、発情して暴走するオス鹿の群れが芽吹を襲うその寸前―――。



鹿鹿鹿シシシカロック!」


 そんな掛け声と共に、突如現れた人物が鹿の群れの動きを止めた。

 綺麗な長い黒髪をポニーテールにした色白の美少年だった。




 時は少し遡り――――。

 プラチナブロンドのロリエルフの海月冬耶みづきとうやは一人、鹿に煎餅をあげつつ、自分も鹿煎餅の意外な旨さに感心しながらパリパリと食べていた。


「主らも大変だのぉ~。義理立てで煎餅が大好物みたいな振りをして人間の暮らしに貢献してあげるとは」


 無言で煎餅にパクつく鹿に向かってそう語りかける海月冬耶。端から見れば独り言である。普通の人間であれば―――。


「ワタシたちは『神様の使い』なんだとさ。はぁ~……。いったいいつのおとぎ話なんだっての!」


「それによぉ、オレたちは野生で、そんでもって『神様の使い』だってんだろぉ?なのに、なぁーんで角切られなきゃなんねぇんだよ!?」


「ウチらは人間の観光の金の成木ってヤツなのよ。今じゃ神様の『か』の字も見当たらないね」


「パリポリムシャムシャ……。この煎餅だって」


 パリポリパリポリ……。


「本当はもうとっくに飽きてるしさ」


 パリポリムシャムシャムシャムシャ……。


「でも、食いに来ればお客さん喜ぶしさ」


 ボリボリボリボリボリボリ……!


「その割りにお主はよく食うのぅ……?」


「だから、オレは別に好きじゃねぇって……!」


「条件反射でただ食べてるだけの奴らもいる始末だよ」


「ホントに……大変なんだねぇ~……」


 海月冬耶は複雑そうな表情で鹿の鼻頭を撫でた。




「♪~お菓子ぃ駄菓子ぃだがしかしぃ~」


「♪~奈ぁ良のぉシカさんは神の遣い……って、ユーッジャナァ~イ?でも、シカさんたちに聞いてみたら、そんなのもうおとぎ話だって仰ってましたからぁぁぁ。残ねぇぇぇん!奈良の観光事業に協力的なシカさんは偉い!斬りぃっ!」


 20年前の芸人『はたよーく』のネタを真似ながら、ミヅキは奈良公園内を大手を振って歩いていた。『斬りぃっ!』の時に、刀を振り下ろす動作をしたことで、手に持っていた鹿煎餅が遠心力で周囲にぶち撒けられた。


「ありゃりゃ?まいっか。シカさん達ー、こっちおいでー!」


 ぶち撒けられた鹿煎餅に群がる鹿達の迫力に、


「ヘイヘイヘイ!こいこいこい!」


 跳び跳ねて喜ぶミヅキ。しかし、その直後だった。ミヅキの芽吹センサーが反応した。

 芽吹のグループからはぐれていたことに今更気付いて一瞬「しまった……」と渋い表情になるミヅキ。


「あっちか?」


 そう小さく呟いた瞬間、ミヅキはまばたき一瞬の間に消えた。周囲で鹿煎餅をムシャムシャ食べていた鹿は、それに一瞬驚くが、また何事もなく食べはじめた。

 

 




鹿鹿鹿シシシカロック!」


「喝・去勢!」


 突然現れた二つの人影と二つの掛け声が重なり響いた瞬間、雄鹿たちの動きがピタリと止まった。


「あっ……!」


「ふぎゅっぱぁ!?」


 更にそこに誰かの小さな悲鳴も重なった。





 奈良公園駐車場バスの中―――


「他に誰も乗ってないが、ウチらはここにいても平気なのか?」


 不安そうに周囲を気にする八乙女さん。


 ポリポリポリ……。


「今のところ運転手も添乗員もどっかで昼飯食ってる頃だろう。大丈夫じゃないか?別段悪いことはしてないしな」


 八乙女さんにそう答える秋人。


 パリッ!


「まあ、それより心配なのは……」


 パリッ!


「うぅぅ~……。ふぅ~……」


 はむはむ……。


「芽吹ちゃんゴメン!ホントマジでゴメン!お尻大丈夫?」


 ポリッ……。


「秋人、お嫁さんとお婿さん、僕どっちに行けばいい?」


 はむはむ……。


「夕夏お前マジでやったのか?」


 パリポリ……。


「ちょっとだけ……。一瞬だけだって……。指先0.何ミリか……?」


「……」


 パリッ……。


「だってあの状況、あそこまで行って寸止めとか無理だよね!?」


 涙目でお尻を抑えながらの芽吹と、秋人と八乙女さんからのジト目に精一杯の言い訳で返す夕夏。


 ポリっポリっポリっ!


「そろそろツッコんでもええか?僕がツッコんでもええか?何この状況。なんでみんなして鹿煎餅食うてんの!?それそんなウマイか!?鹿煎餅やぞ!?オタクらみんな鹿ですか!?″突然現れた謎の美少年″の僕を早よ紹介しなはれ!」


「あ、そういえば忘れてた」


 ポリポリ……。ハムハム……。


「おぅ、流石関西。ツッコミが鋭いな」


 パリッ……。


「確かに美少年だが……」


 パリポリ……。


「″美少年″て自分で言ったね」


 サクサクサクサクサクサク……!


「鹿煎餅食うのやめぇぇい!パリポリサクサク鬱陶いいねん!早よ話先進めてくれへんかな!?」


 




 芽吹のフェロモンの異常分泌に充てられて、暴走した雄鹿の群れに襲われていた芽吹達の前に、突然現れて、鹿の暴走を止めた″謎の関西美少年″。


「さっきは助けてくれたみたいで、あの……、その、ありがとうございました。で、あの……、どちら様ですか?」


 芽吹は突然現れた謎の美少年に戸惑いながら問いかけた。

 すると、謎の美少年は姿勢を正し、小さく深呼吸をして、


「私はそなたを娶りに来た!」


「…………?」


 キョトンの沈黙……。


「あれ、聞き取れへんかったか?……ちょ、もう一回」


 この時、ミヅキだけは言葉と状況を理解していた。


「春風芽吹よ!」


「ほえ……、ぼ、僕!?」


「今日から私とめおっ……!」


「!?」


「あーっ、思い出した。こやつは僕の知り合いで!」


「いやぁ~、悪い悪い。今の今まで忘れてたわ。いやぁ~元気だったかぁ?」


 状況を察して黙ってられなかったのは秋人とミヅキである。

 

「ちょっとスマン。コイツに話あるからちょっと一旦外出るわ」


「意外な接点だね柊君」


「何だ。何なんだ。私はお前達には用などないぞ?離せ!」


「いいからちょっと外で話そうか美少年君?」


「これも神様がくれた何かの縁だ。この縁を更に深めるためにちょっと詳しく話を聞かせてもらおう」

 




 


 

 正直ネタ切れ著しいィィィィ!!!!

 早く修学旅行編を終わらせて、どっかで最終回にしとーございます。

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