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芽吹と春夏秋冬  作者: 霜月ぷよ
101/104

♂♀⑮ アホ面になんてなりませン~

超超久しぶりですいません。

四の五の言いません。どうぞ。

 芽吹達夕陽ケ丘高校生一行修学旅行一日目はまず、大阪の名所道頓堀である。

 11時から午後2時までの2時間を与えられた芽吹達は、まず手軽な食べ歩きから攻める方法を取った。

 ところが……、


「芽吹ちゃんが言っていたと言う、“裏社会のオジサンのタコ焼き屋さん“というのはここの事か?」


 と、タコ焼きを焼いている、スキンヘッドにねじり鉢巻、金縁眼鏡に髭面の、見るからに厳ついおっちゃんに向かって指を指すミヅキちゃん登場。


「にゃあああっ、僕そんな事言ってないよ!?てか、人に指指しちゃだめぇ!」


「はっはっは!ただの可愛いだけのJK嬢ちゃんかと思たら、なかなかおもろい玉持っとるなー!」


 タコ焼き屋の厳ついおっちゃんは豪快に笑った。


「た、玉!?」


 そう言われた芽吹は思わず一瞬、股間を押さえてしまった。それを見た厳ついおっちゃんは、一瞬目を見開き、そして豪快に笑った。


「がぁーっはっはっはっは!そっちの玉ちゃうがな。JKの嬢ちゃんが無い玉押さえるて……。こりゃイイ。おもろいわ!」


「ほぇ……?」


 恥ずかしさと謎のウケにキョトンとする芽吹。


「可愛い上に玉も据わっておもろい。こりゃしゃーない。おっちゃんの特製タコ焼きサービスしたる。店ん中で食ってき!」



     **********



 という訳で……。


「結局いつものこのメンバーが揃っちゃったか……」


「ま、スタート地点が一緒な訳だし」


「道頓堀のメインストリートはここだけだし」


「観光ガイドに無い穴場探しも良いが」


「か弱い女子を連れてわざわざ人通りの少ない所に行くのもねー?」


 順番に柊秋人、出島太矢、有馬京弥、八乙女秋奈さん、鳴海夕夏。という、結局いつものメンバーが芽吹のグループに加わり、強面店主の活きな計らいで、店内でタコ焼を食べることになった芽吹達。

 


「何が、という訳で……。なのよ。なんで違う班の人が単独で混ざってんの!?」


「あれ?そういえば秋人って別の班だったよね。夕夏も八乙女さんも。どしたの?」


「あんた達、自分の班のメンバーはどうしたのよ?」


 芽吹がいる班は、出島、城内要、吉澤唯、府川涼太、藤田真之の計6人。と、海月冬耶。そこに別の班であるはずの秋人、有馬京弥。更に別のクラスの鳴海夕夏と八乙女秋奈が何故か合流していた。しかも、自分の班メンバーから離脱した状態で。


 芽吹の班の班長、吉澤唯が秋人達のあり得ない行動に声を荒げて問う。すると、


「俺はハルがタコ焼き食ってる顔が見たくて……ついな」


「にゃっ!?み、見なくていいから!」


「いや、俺は、お前がドジだからアツアツのタコ焼きでアホ面になるのを見たくて来ただけだからな」


「アホ面になんてなりませン~。ちゃんとフゥフゥして食べますぅ~!」


「バカ。俺はそのフゥフゥするところも見たくて来たんだっつーの」


「イチャイチャすんなぁ!」


 お互いに照れながら言い合う芽吹と秋人に、すかさず突っ込む吉澤班長。


「アタシは芽吹ちゃんの匂いを嗅ぎ付ければ何処へでも行けるわ。班行動という常識を越えてね」


「いや夕夏、そこは常識守ろうか。方向音痴のお前を監視する私の身にもなれ。というか芽吹ちゃんに先に気付いたのは私だからな」


「いやいやいや。秋奈っちが気付いたのはあくまで視界に入ってからでしょ?アタシはその前から匂いで気付いてたんだからアタシが先なんだからね」


「芽吹ちゃんの匂い匂いって、貴様の方向音痴の一番の原因はそれなんだぞ。ちゃんと決まった班で行動しろ!」


 今度は夕夏と八乙女さんが言い合いに。


「僕ってそんなに臭うのかな?」


 そう言って、まるで小動物のように必死に自分の臭いを嗅ぐ芽吹だった。


 そうこうしているうちにタコ焼きが出来上がったようだ。


「ハイよぉ、お待ちどうさん!」


 厳つい店主が舟形の器に8つ乗っかった美味しそうなタコ焼きを持って来てくれた。


「こっちは普通のタコ焼き。そんでこっちは俺のオリジナルの特製タコ焼きや」


 普通のタコ焼きはソースと青のりと鰹節がかかった本当に普通の見た目のタコ焼き。特製の方は敢えて何もかかっていなかった。


 まずは普通のタコ焼きから。


「京弥君、フゥフゥあ~んしたげよっか?」


 夕夏は軽く照れながら有馬京弥にそう問うと、


「タコ焼きとおでんでそれは絶対止めとけ。舌がずる剥けるぞ」


 冷静に諭された。


「芽吹ちゃん、俺にフゥフゥあ~んしてくんないかなぁ?」


 出島はニマニマしながら口を大きく開けた。


「え、僕が?」


 芽吹は秋人をチラッと見てから戸惑った。


「遠慮するな出島。折角だからお前はアツアツを食え」


「「ほらよ」」


 秋人と八乙女さんがアツアツのタコ焼きをポンポンと出島の口に放り込んだ。


「あファボァボァボォボァ。あボァッあボァッ!!」



 次に何もかかっていない特製のタコ焼き。


「黒くて旨い液体も、踊るヒラヒラもかかっていないようだが、これも立派なタコ焼きなのか?」


 海月冬耶がタコ焼きを一つ目の前に持ち上げて睨む。


「中に刻んだタコが入っててこの形状なら、一般的な『タコ焼き』と言えるわね。特製というからには中身、つまり生地に何かしら秘密があるのよきっと」


 班長吉澤も興味津々にタコ焼きを睨む。


「まぁ、とりあえず食べよっか」


 芽吹に促され、程よく冷め始めたタコ焼きをみんな一斉に食べた。


 外側の皮パリはほぼほぼ同じ。中の生地も特に違いは……。と、みんなそう思っていた直後だった。


「ん!?」


「ん?」


「あ、うまっ!?」


「タコだ!」


「タコに何か味付いてるこれ!?」


「アッふアッふ!ハッふハッホッ!」


 班長吉澤がタコ焼きの熱さに喘いでいた。


「……」


「……班長」


「吉澤さんて……」


「……なんかエロい」 


 出島、府川、藤田の男子若干名と夕夏がそう呟いた。


「……っ!?ゲホッゴホッボホッ……エロいとか言わない!誰今!?」




「大阪で、天下のタコ焼きで、このオリジナルは正ぉ~直邪道やと思う。せやけどな、自分が食ぅてウマイ。お客さんも食ぅてウマイとなりゃ、邪道も毎度ォも関係あらへん。王道ばかりが正解やないと思うわけよ。おっちゃんはな。みんながウマイもん食えてこその食い倒れや!おっちゃんなかなか深い事言うやろ?メモっときメモっとき。もう二度と言われへんから」


 狭い店内がドッと笑いで溢れる。

 まるであの出っ歯の大御所芸能人ばりの爆笑漫談に、満腹度が割り増しされた芽吹達だった。



(誰か有名芸能人に会えたりしないかなぁ……)





 続く……

中身のタコの味の秘密は『スタミナ源のたれ』という物です。青森県の特産品です。焼き肉のタレでも、野菜炒めでも、しょうが焼きでも唐揚げでもオールマイティーです。

りんごとニンニクが出会った奇跡のタレです。

何故大阪のタコ焼きで!?

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