表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/152

忍耐の限界

桜が海女としてその日の漁を終え、船へと上がるのを見届け、彼も身を翻し深海へと姿を消した。


その後ろ姿を追うように細かな気泡が筋を描いていく。


深海に存在する自身の国へと戻った彼は、周りの者を意にも介さず、自室へと引きこもってしまった。


「……」


寝台の片側に腰を沈め、頭をぐしゃぐしゃと掻いて顔を手で覆うと嘆息した。




***************




あの日。それは三年前に遡る。


その頃は、まだ彼女も潜りがそこまで上手いわけでもなく、少し潜っては浮く、を繰り返していた。


そして漸く岩場まで辿り着けるようになった頃、桜は誤って水を呑んでしまったのだ。


浅いとは言え……身の丈以上の水深でパニックになり、海底で気絶してしまった彼女を助けたのは、他ならぬ彼だった。


その日から、彼は桜に心奪われてしまった。


毎日欠かさず、海女として潜る彼女を見つめにギリギリの水深まで浮上し、桜が去ると国へ帰る日々。


その恋慕は一年二年と経る程に深くなり、三年経った今日も想い続けている。


「……もう、限界だ」


彼は、周りの者の諌めるのも聞かず、居城から去って行ってしまった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ