表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マーマンに愛された娘  作者: 海陽
海底皇国
19/152

“帰りたい”

「ッ!!」


「……あの人も、きっと待ってる。長い間待たせてしまって……やっと、嫁ぐはず、だったのに」



大吉さん、やっと、これからはずっとあなたに尽くしてあげられるはずだったのに……。



「お願いです。……私を、村へ帰して……」


きりきりと痛む胸。


自分が攫わなければ、彼女はあの男と今、幸せに新婚生活を送って居たのかもしれない。


そんな思いも過る。けれど、イグレーンには、桜の切な願いを受け入れることは出来なかった。



自分ではない、他の誰かのものになってしまうなんて耐えられない!



「それは……、出来ません」


この一言で、桜の瞳から光が消えた。



「そう、ですか……」



それ以降、一日経っても三日経とうとも。十日経ても、彼女が皇子の言葉に声を返す事は無かった。


「どうかお願いです。水だけでも飲んで下さい。死んでしまう」


脱水症状さえ引き起こしかねない状況で、桜は瞳すらも閉じて一日を過ごす。


一切の言葉に反応せず、ただ、呼吸を繰り返すのみ。生存するための最低限の事以外は脳からの全てシャットアウトされていた。


「……貴女を陸に戻したら、貴女は二度と、私の元へは来てはくれないでしょう。

私達人魚は、姿を見られてはいけない種族なのです。貴女がどれだけ秘密にしてくれていても……人魚を見た貴女を、帰してはあげられない」



貴女を失ったら、きっと私は死んでしまうだろう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ