1-6 ピアス
保健室にて。
「……たー!!海斗先生、も…もうちょっと優しくはってくれないか?」
目をウルウルにして岩波先生は言う。
だがそんな先生を無視してバシバシ湿布をはる校医。もとい月野 海斗先生。
細いフレームつきの眼鏡をかけ、白衣を身につけている姿がとってもよく似合っている若い男性校医。
20後半で、外見もいいので女子からの人気はダントツ。
「このくらいでなに騒いでんですか?…ったく。学校で鬼ごっこなんかしてるから…。もう年なんですから気を付けてください。」
最後の1枚をはり終えてから海斗は言った。
「い、いや、年なんかじゃ……私はまだまだ…うっ!」
反射的に腰に手をやる岩波先生。
その様子を。言ったそばから。と呆れた顔で見る海斗。
それから。御愁傷様と心の中で手わあわせる夏維。
海斗はふと、隣の椅子に座っている夏維を見た。
何かがキラっと光る。
「…あれ、お前ピアスしてんのか?」
言いながら夏維の横髪をあげてそれを見る。
そして真顔で一言。
「……なんか似合わねーな。」
きびしいお言葉。
もちろん夏維は少なからず後退り気味に。
「…は?開口1番に…なんすか?その言葉………。」
「いや、なんかさお前って青とか赤のが似合いそうだし。」
間違ってないだろ?
そんな表情で夏維を見る。
まぁ……そうかもしれませんね。と苦笑気味に答えた夏維はどこか寂し気だった。
「恋人とか大切な人との物か?」
突然のその声に夏維は、はっとする。
「………そんなことわかるんですか?」
「いや、当てずっぽうだったんだが……図星。か。」
飄々と言った海斗に、夏維は何故か見透かされたように感じた。
海斗の視線が鋭どくつき刺さるかの如く。
「……幸せの絶頂か。」
「………。」
呟かれたその言葉を耳にして。
夏維の返事はない。
逆に彼の表情はどんどん雲っていった。
その異様な雰囲気に、海斗は触れてはならないことに触れてしまったと気付く。
「あ……悪ぃ…」
ブチっ!!
謝ったのと同時に。
何かの切れる音がした。
その音の方を、2人は恐る恐る振り返る。
そこには。
今まで無視されてきた岩波先生の。
怒りに震えていらっしゃる姿が。
「狭霧……海斗先生…」
恐ろしいほど低く響く声。
2人の顔色は徐々に青くなる。
そして。
次の瞬間…
「いい加減にしろ!!!!…………っ…!!!」
怒鳴ったはいいんだけど………。
あ〜ぁ。岩波先生ってばぎっくり腰なにムリしちゃうから。
もう、本当に可哀想すぎ。
2人は呆れながらも哀れみの目を向ける。
ってか、原因はこの2人なんだけど……まぁ、ここは、自分の年と体を考えられなかった岩波先生が悪い。ということで。
「…全く……ピアスは校則違反なんですよ。狭霧、今すぐそれをはずしなさい。海斗先生、あなたは生徒を注意する立場なんですよ。……云々かんぬん…」
痛む腰を必死に堪えながら言う。
しかたない。
そう思った2人は延々と続きそうな岩波先生のお話に付きあってあげることにした。
すごく…微妙な文章です……(汗)
あらくなっちゃいました。言葉足らずに、場面に入りにくかったと思います。
読んでくださった方、本当に感謝いたします。ありがとうございました。
いたらぬ者ですが、頑張って書きますんで…今後ともよろしくお願いしますm(__)m