重力が存在するソトの世界。
お前たちはどう思うだろう・・・
いきなり人造人間だなんていわれたら。
人間で居られることがどれほど羨ましいと思うか。
なのに自殺が多いな・・・
人間のお前たちが何で?
死にたいのはこっちなのに。
認められているって羨ましい。
もう分かってるんだろ?
自分は自分で良いんだ、他人に自分を否定する権利なんかないんだ。
そして、生まれたときから人として生きていて良いんだ。
こんなに恵まれているお前たちがなぜそんな風に死にたがるんだ。
生きてみろよ。
つらかったら親を信じて伝えなよ
親も子供を信じてやれよ。
人間って羨ましい。
目が覚めた。
そろそろこの液体何とかならないのかな・・・
人間はソトに居て外の空気・・・窒素、酸素、二酸化炭素、アルゴン、などなどの混合物だったかな。
そのうちの酸素を取り入れているらしいな。
肺呼吸といったかな・・・
確か水中ではえら・・・!?
ま、ままま・・・まさか俺はえら呼吸!?
い、いやそんなはずはない。
落ち着け、落ち着くんだ俺・・・
この液体がきっと特殊なんだ・・・。
ってかなに焦ってるん・・・焦る?
そうか、これが焦るという感情なのか?(もしくは慌てる)
また変な人間どもが口々に何か言ってる。
俺が何も分かってないと思ったのだろうか・・・
全部理解してるっての・・・
確か昨日のトモダチたちはこの人たちを「クソババア」と呼んでいたな。
それがこいつらの種族名なのか?
何か違う気がする。
今日は何も気にせず考えることにした。かなり珍しいけど・・・。
感情とは何だろう。
俺が思う「嬉しい」「悲しい」「焦る」などは感情なのだろう。
感情・・・これらはもともとは人間には備わっているようだな。
羨ましい話だ・・・ん?これも感情か?
ならばこの今の状態はなんと言う感情に支配されているのだろう。
ん~分からない・・・悩んだところで・・・ん?
悩む?あ~あ~・・・悩むね。これが悩むというのか。
ふっとガラスをたたく音。
音のするほうに目をやると、変な黒ずくめのやつらが何か知らないけど俺のガラスをたたいている。
何か・・・結構硬そうなもので
気がつけばもう外は暗く・・・
結局今日はあのトモダチはこなかった。
ピシッ・・・
ガラスにひびが入る。
パリーン・・・
とうとうガラスが割れてしまった。
いきなりサイレンが鳴る。
きっとガラスを割って俺が逃げ出さないようにあらかじめサイレンがなる仕組みなのだろう。
不思議な液体の束縛が解け・・・一気に重力のある外の世界へ・・・
ずっと液体の中だった俺は、いきなりの重力に倒れガラスの破片のあるところへ・・・
痛い。
そりゃそうだ、でも足や手に力が入らなくって立てない。
黒い衣服のやつらが慌てて俺を抱えて・・・
走り出した。
俺は力が出ないため無抵抗。
でも怖かった。
やっと重力に慣れてきて、手とか足とかが少し動いた。
でもこれではまだ生まれたての子羊のようだ。
そこへ白と黒の車がたくさんあつまり・・・囲まれたようだ。
黒い衣服のやつらがあきらめたようだ。
俺をその辺にどさっと落とす。
痛い。
手に力が入っても、腕に力が入らない。
起き上がれない。
いまだに息は荒い。
肺呼吸はつらいししんどい。
むせる、咳き込む。
黒い衣服のやつらは両手に鉄の輪をかけられていた。
俺は白衣の・・・
見たことがある。
研究者たちだ。
そいつらに抱えられた。
俺は車に置かれ、
研究所に運ばれた。
車に乗っている最中、ずっと横になって肺呼吸していた。
しんどい、
自分の息をする音が聞こえるぐらい荒れている。
研究者たちは急いでいるらしい。
俺もなんとなくわかった。
あの不思議な液体は、
俺がまだ不完全だったから、いろんな外の世界にあるものから身を守っていた液体だった。
きっとそうだ。
疲れた。
研究者たちは
俺の意識がなくなりそうなのをすぐに発見し、
何かを口あたりに装着した。
病院などでよく見かける酸素マスクだ。
でも俺は・・・
次の瞬間意識がなくなった。