すべてから逃げ出したくて・・・
問題、
人造人間に人権はあるか・・・
答えはNOだ。
あるわけがない
なぜかって?
人造人間・・・
あくまで作られている人間だ、
母親から生まれたわけでも・・・
ましてや自然なんてものから生まれたわけじゃない・・・
つまり・・・
本当ならば存在しない・・・
そんなものに人権なんかあるものか。
君は透明人間に人権があると思う?
居るかも分からない人間に、
人間の権利を与えていいと思う?
それと同じさ・・・
俺はまた目が覚めた・・・。
もちろんいつものガラスの中・・・。
俺は昨日の子供たちの姿を探した・・・。
まだきていないようだ・・・。
ほかの見物客はたくさん居るが、俺を見て騒ぐだけで俺にはうるさいだけだった。
「すごいわぁ~9732号」
「ええ、すごいわ~」
「人造人間よ~未来が明るいって事ね~」
「雑用とか任せれば楽ね~」
ウルサイ・・・ウルサイ・・・ダマレ・・・
頭が割れそうだ・・・。
耳をふさぐ・・・。
目を閉じる・・・
何も聞きたくない・・・
胸の奥のほうがズキズキと痛んだ・・・
何かがこぼれそうになった。
ひとつ分かった。
俺は・・・
‘人造人間などにはなりたくなかった・・・’
ウルサイ・・・
「作られるって言っても基は人間よ?」
ウルサイ・・・
「でも、もう人間じゃぁないわ」
ウルサイ・・・
「そう、ただの人造人間よ。所詮人間より上は居ないわ。」
ウルサイ・・・
「そうね・・・この子も・・・名前もないただの動物だわ」
こんな扱いさ・・・
俺はもう眠りたかった・・・
二度と目を覚まさなくてもいいと思ってしまった。
でも
俺は待った。
何かを・・・。
何を・・・?
答えはすぐに見つかった。
「どいて!!もう邪魔だよこのくぞばばぁ!!」
「こらっ!!口が悪い!すみません私の弟が・・・」
「早く!!いそいでよぉ」
待っていたのはあの子供たちだ。
何で待ったかは分からない、
何でだろう・・・
なぜこんな気持ちになったのかも分からない。
人間で言う・・・
シンユウと呼ばれるものだと俺が理解したからだろうか・・・
周りに居た人間が居なくなり、
そこには三人のトモダチがいた。
「ふぅ~あのばばぁどもめ!」
男の子がはき捨てるように言った。
「こら!」
背の高い女の子が叱った。
「~早く発表しようよぉ~」
女の子は急かした。
俺は少し微笑んだ・・・気づかれないように・・・うっすらと・・・
男の子が得意げに言った
「コホン!では9732号君!君に僕たちから名前をあげよう!」
女の子が文字で何かを書いている。
「君の名前はね、伝説ってのを英語にした名前なんだよ~」
男の子が続けた。
背の高い女の子が言った
「レジェンド・・・って名前」
女の子が英語のスペルを書いた。
‘Legend’
俺はなぜかわからないが、
胸の奥のほうが暖かかった。
昨日もこんな感じになった。
これが嬉しい・・・なのか。
「ということでレジェンド!よろしく!」
男の子が言う
女の子も笑顔だ・・・。
その後少しはなしを聞いていた。
学校という話、友達・・・親友・・・家族・・・
俺はどれもうらやましかった。
なぜかは分からない。
そもそも羨ましいとは・・・なんだ?
説明はできないけど・・・
なんかこう・・・
いいなぁって思った。それだけ・・・
気がつくと外は暗くなっていた。
アナウンスが流れ・・・人の量はどんどん減り・・・
博物館のかなには三人の子供しか居なかった。
「こら、何してる。もう帰りなさい。」
警備員がやってきて子供たちを叱った。
子供たちは・・・「また明日」
言い手を振った。
俺はほんの少しだけ手を振った。
これが別れの挨拶なのか・・・?
俺にはまだわからない・・・
俺は外を見る・・・
「外に行ってみたい・・・」
そんなことをつぶやいた。
俺は人造人間。
あの人間たちが言っていたように・・・
俺は人間じゃない。
その事実がたまらなく悲しかった・・・
悲しい?
この胸がチクリ・・・いや・・・ズキズキと痛むときにこの‘悲しい’を使うのか・・・?
俺は考えようとしてやめた。
そんなことより・・・
今はもう寝よう・・・
せめて自分が‘人間’で居られる夢の中に逃げ込もう・・・
そして、目が覚めたら・・・
本当に人間になっていたら良いのにとか思う。
これが夢であってほしいとか思う・・・
何で思うのかは分からないけど、
確かにそう感じた・・・
それだけ。