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5 冒険者ギルドを訪れる

「え、なにあれ。モンスター?」

「おはようございます、ジョバンナさんー。彼はいちごのいっちーですう」

「よろしくな!」


「え、え? モンスターが村にいる?」

「おはようございます、アハロさんー。彼はいちごのいっちーですう」

「よろしくな!」

「あ、あら、そうなの? モンスターじゃないの? 精霊?」

「野菜だぜ!」


 いっちーもつれて村を歩いてるんだが、思ったよりいっちーが目を引く。

 まあ当たり前か。いっちーは歩くいちごだもんな。みんな未見の存在なはずだ。

 けれどフレリアのおかげで、村にいる人達は皆、ふーん。そんなのもいるんだー。的な反応で済んでいる。

 フレリアが信頼されているのか、村人皆がこんな感じなのか。ともかくありがたい。


「ここが冒険者ギルドですー」

「よかった。わかりやすい」


 フレリアに案内された冒険者ギルドは、大きな建物だった。門も大きく、その門の前に剣と杖のマークが目印の看板がある。


「フレリア、ここまでありがとう。後は一人で色々やってみるよ」

「いいえー、せっかくなので私もギルドを覗いてみますう。めぼしいクエストがあるかもしれませんしー」

「なるほど」

「ですので、少しジングといっちーにギルドのこと、教えてあげますねー?」

「ありがとう。助かる」

「ありがとな!」


 俺といっちーは礼を言って、フレリアの後を追って冒険者ギルドに入った。

 ギルドの中は、広いが簡素だった。ところどころに花が飾られているくらい。入って右手に掲示板、正面に受付、左には酒場があった。人は少ない。


「ジング、まずは掲示板で依頼を探してくださいー」

「え、いきなりそんなことしていいんですか?」


 まずは冒険者登録とかしないといけないんじゃ?


「依頼の一番下のランク、1はあー、冒険者登録の試験にもなっているんですう」

「はあ」

「依頼を期間内、一ヶ月くらいでしたかねえ? その間に3つクリアすれば、冒険者バッジが買えますー」

「おお、なるほど。ん、冒険者バッジが、買える?」

「タダじゃないんだな!」

「当たり前ですよお。この世にただなものなんてないんです」

「いや、あるぜ! 俺の熱いハートとか!」

「今のはもののたとえですう、いっちー。まあというわけで、最初は一番簡単な依頼を3つクリアする。が、ジングといっちーの目標ですねー」

「なるほど」

「マスター、一番難しいの選ぼうぜ!」

「いやいや、一番簡単なの選ぶから」

「それじゃあ私は、2ランクの依頼を見てますので」

「あ、はい」

「フレリアもガンバ!」

「はいー」


 よし、それじゃあ早速依頼を見てみるか。


「おいフレリア、なんだなんだ。今日は彼氏と同伴か?」


 そのとき、左手の酒場スペースからフレリアに声がかけられた。

 思わず振り向くと、一人の男がテーブルについて、酒を片手にこっちを見ていた。


「いいえー。いっちーとはそういう関係ではないのでー」

「俺は眼中無し!?」

「今日はちょっと、冒険者志望の方にギルドの中を案内してあげてるだけですうー」

「へっ。俺等の誘いを断っといて、ペーペーのお守りをしているとはな。ひょっとしてそんなひょろいのがタイプか? 隣の赤いのはよくわからんが」

「ジングは声は良いんですよねー」

「ありがとうございます!」

「それに、料理も上手ですし、粗野で乱暴でもないですし。あれ。あとはお金を稼げれば好物件?」

「えっ!」

「あれっ、ジング、ひょっとして私はタイプじゃありませんかあ?」

「いやいや、えっと、そのですね。いきなり誰かと付き合うなんて、そういうのは急すぎるんじゃないでしょうか。まだ知り合ったばかりですし」

「マスター童貞っぽい」

「悪かったな!」

「ふん、童貞は置いといてだ」

「知らない人からも童貞って呼ばれた」

「フレリア、そんなひよっこ置いといて、俺達と組め。お前が加われば俺達は4ランクに上がれるんだ」

「え?」


 俺は思わずフレリアを見る。


「フレリア、2ランクくらいの依頼ならいけるんじゃないの?」

「お前馬鹿だろ。一人で2ランクモンスターを狩れるやつが、2ランク相応なわけないだろ」


 俺の疑問に男が答えた。


「通常、例えば2ランクの依頼をこなすなら5〜6人のパーティを組んで挑むんですう」


 更にフレリアが補足してくれた。


「え、じゃあフレリアって、すごく強い?」

「まあまあ強いですう」

 それじゃあ、そんなフレリアの剣をかわし続けていた昨日の牛はなんだったんだ。

「だからだ。フレリア、いい加減俺達のパーティに入れ。今ちょうど良さそうな依頼もあるんだ」

「お断りですう。男だけの汗臭集団にいられるわけありませんし。第一私は何でも屋なのでえ」

「けっ」


 それで話は終わった。


「さ、ジング、いっちー。さっさと依頼を見てしまいましょう」

「はい」

「お、マスター。これなんか良さそうじゃねえか!」


 いっちーがそう言って依頼書を1枚持ってきた。


 4ランク。ワイルドキラーボア1体の討伐。


「いっちー。元の場所に戻してきなさい」

「ちぇー」



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