45 ジンジャ誕生
「ちょっと待って皆、まず、いつの間にそんな相談してたの?」
「マスターの隙を見て」
「隙を見る必要ないじゃん!」
ていうかそんな重大な決断、すぐに決められるわけないでしょ!
「それに、大工はもうガーンさんがいて、わざわざ呼び出す必要ないから!」
「いや、俺のことは気にしなくていいぞ」
「え、いいんですか?」
「ああ。俺の仕事を取らないってんなら、好きにしてかまわねえ。ていうか、そんなこと言える立場じゃねえ。お前んとこの大工の方が俺より皆に好かれるってんなら、それが実力ってもんだしな」
「いや、でもそこは俺が気にしますよ」
「それに、お前の召喚とかいうやつを、俺も一度見てみてえ。そうだ。それじゃあ眼の前で大工の召喚を見せてくれたら、俺はそれで良しとする。それでどうだ?」
「そんな、軽い気持ちで」
「マスター、チャンスだ!」
「考えるんじゃない、感じるんだ!」
「ここでさっさと呼んじまおうぜ!」
「むしろ今がチャンスよ!」
「ささ、手早く覚悟完了しちゃってください!」
いっちー、ぶどまる、ジャガット、マトット、ニオンにもそう急かされる。
「いや、でもでも。新しい仲間の住まいはどうするんだよ。夜一人ぼっちだったら冷たいっていうか」
「じゃあまずは俺がこの店で新人と一緒に暮らすよ」
「ぶどまる」
「俺もいいぜ」
「ジャガット」
「私もかまいませんよ。むしろ光栄です」
「ニオンまで」
「私はご飯作らないといけないから家から離れないわ!」
「うん。マトット、ありがとう」
「俺は」
「いっちーは罰の続きをこれからも続けてください」
「はい」
気を取り直して、俺は皆を見る。
するとガーンさんもうなずいた。
これはもう、やるしかないって感じか。
でも、せっかく自分の店を持てるんだから、店の外観や内装だって凝りたいのは事実。それに、もしかしたら他にも頼みたいことができるかもしれない。
仲間を増やすのは一大決心だけど、皆が新しい仲間を求めてるのなら。ここで増やすのもありかもしれない。
「新しい仲間、しょうかーん!」
いっちー達が唱和した。
ええい、ここで躊躇してもカッコ悪い。
きっとここで、新しい仲間を生み出した方が良いに違いない!
「スキル、アメージング農家! 生姜、出てこい!」
ぺかーん。
今回も俺から金色の光が発せられ、それが一塊になって一人のショウガクリーチャーを生み出した。
「しょうがっ」
「えーっと、ジンジャーだから、ジンジャ! お前の名前は今日からジンジャだ!」
新しい仲間、ジンジャは俺を見て言う。
「よろしくな、マスター。俺は大工、どんな建物だって建ててみせるぜ!」
というわけで。
「じゃあ、これが契約書だ。サインよろしく」
「はい」
「いやあしかしまさか、本当にここを借りるとは思わなかった」
「えっ」
ガーンさんは去り、無事リフォーム可能な貸店舗を借りられた俺達は、早速ジンジャとリフォームに取りかかる。
「まずはどんなリフォームをするか案を募る。誰か要望はあるか?」
「ロケットランチャーを置けるならなんでもかまわん!」
「俺はやっぱり魔法使いがいるっぽい感じの雰囲気が欲しいな」
「私はレストランがほしいわ!」
「俺は靴下とか手袋とか、そういうちょっとしたものを置きたい」
「本を置けるスペースがあればそれでかまいません」
やっぱり皆希望があるんだな。
「マスターは?」
「え、俺は。皆の願いが叶えられればいいよ。あ、強いていうなら、ここにいない人の意見も取り入れたい」
「ふーむ」
ジンジャは腕組みしてうなずいた。
「よし。それじゃあ方向性を変えよう。どんな構造にする? といっても、広さは変えられないんだよな?」
「うん。敷地面積はあのままじゃないと駄目だって、ガーンさんは言ってた」
「じゃあ、上か下にしか広くできないな」
「上はともかく、下?」
「地下部屋! 良いね!」
「むしろ必要不可欠だ!」
ぶどまるが食いついた。
「だが、地下をむやみに広げると店が沈む可能性がある。それに3階以上も今の俺の実力では難しい。たぶんできて、あの小屋と同じスペースを上と下に一つずつ、増やせるくらいだな」
「良いじゃない、そうすれば!」
「まあ、狭いよりはよっぽど良いだろうな」
「私も二階建て地下つきは賛成です」
マトット、ジャガット、ニオンも乗り気になる。
「マスターは?」
「俺も確かにスペースはあればあるだけ良いと思う。ジンジャはそこまでできるんだよな?」
「ああ。ギリいけるぜ」
「じゃあそれでいこう。ああちなみに、リフォームに必要な木材とかはどうするの?」
「俺の力で出せる。けどまあ、他に手に入る方法があればそっちも使いたい。それで完成が早まる」
「何日くらいでいけそう?」
「そうだな。まず地下を考えなければ、10日でいける」
「10日か」
早いのか遅いのかわからん。
「地下は俺が手伝うぜ。穴掘りだろ、魔法の出番だ!」
「そうか。ならぶどまるも頼む」
「任せな!」
「よし。じゃあまず完成形のミニチュアを作って、それがオーケーならリフォームを開始する。他になにか質問は?」
「レストランは一階ね!」
「なら本は湿度に弱いので地下ではなく2階が良いです」
「靴下も湿度に弱いな」
「じゃあ俺の事務所は地下でいいや。自分で作るしな」
「ロケットランチャーは目立つところに置く!」
こうしてこの場にいる皆の意見をふまえ、ジンジャがリフォームの準備を始めた。
お店はまだ始められないけど、着実にことが進んでいる。お店が始まるその時が楽しみだ。




