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44 メルグ登場と貸店舗

明日の投稿もお休みします。

今更ですが、38 の内容を追加しました。ただももっぴがみんなの疲れを癒やしているだけです。



 その後も個室で待っていると、ジルオンさんともう一人、女性が来た。


「おはよう、ジン」

「お待ちしてましたーマトットさーん! マトットさん、マトットさんはどちらですかー!」


 女性はそう言ってジルオンさんを押しやり、俺達を見回す。


「すまない、ジング」

「いえ。この方は、一体?」

「はっ、申し遅れました! 私、当冒険者ギルドの酒場スペースで料理人を任されているメルグであります!」


 料理人か。ああ、だから同じ料理人のマトットが気になるのか。


「マトットは私よ!」

「あなたがマトットさんでありますか! あなたがお披露目した焼肉のたれ、私もご馳走になりました!」

「そう言われても、昨日の場では見なかったわね」

「そうなの?」

「うん」

「そうなのです! 悔しくも私は昨日歓迎会に行けなかったのです。お仕事があったので!」


 真面目だなあ。


「でもお前、昨日は歓迎会だから休んでもいいって言ったじゃないか」

「だからって当番を休めるわけないじゃないですか! 受付のミュレンだって仕事してたんですよ!」

「ああ、そうか」

「それで皆でふてくされてたところに、ギルマス以外の方からお土産の焼肉が届きました! あれは最高でした!」

「なんだか言葉に棘があるな」

「気のせいです! というわけで、マトットさん!」

「はい!」

「あの焼肉のタレ、こちらにも分けてください! というかできれば作り方も教えてほしいのですが!」

「作り方はややこしいし、そもそも材料がこの世界で手に入るかわからないけど」

「や、やはりあの味はこの世のものではなかったのですね!」

「もうすぐお店ができるから、焼肉のタレはそこで売ることにしたわ。もしくは料理をうちで食べてね!」

「な、な!」


 メルグは圧倒されているようだった。


「まさか、というかやはり商売敵なんですねー!」

「まあね」

「強敵出現! ていうか絶対勝ち目ないですうー!」

「そ、そんなになの?」

「まあ、正直あの味なら王都でも商売できるだろうな」


 焼肉のタレ、まさかのジルオンさんのお墨付きになってしまった。


「というか、お前達店を始めるのか」

「はい。ガーンさんにそう勧められて。お店は今から見てくる予定です」

「そうか。ガーンの紹介する店というと、あそこか。なら後で様子を見に行く」

「あ、はい。こちらこそよろしくお願いします」

「で、でも買えるんですよね、焼肉のタレ!」

「ええ、そうよ」

「ならうちにもおろしてください。ぜひ!」

「出前サービスはする気はないけど、普通に売ってあげるわ。でも、焼肉のタレはあくまで調味料。それで料理の腕自体が上がるわけじゃないんだから、そこのところはわきまえなさいよね!」

「ううう! きびしい言葉! でも、結局のところ料理は味! 美味しければ、それでよかろうなのだー!」


 あ、なんかメルグ駄目そう。


「ふん。その程度の誇りしかないなら、お店の売上は私の方が上になりそうね」

「な!」

「お互い料理人同士、仲良くしたいところだけど、誇りなき料理人は三流以下! 芋の皮むきからやり直すことね」

「ぐ、ぬぬぬ! なんたる屈辱! いいでしょう、負けません! 私だって料理人の端くれ。あなたには絶対負けませんから!」

「いいわよ。受けて立つわ、このマトットが!」

「あれ、マトット。なんか変な話してない? これ大丈夫?」


 マトットを見てからジルオンさんを見ると、ジルオンさんは首をすくめた。

 まあ、確かに横から意見は挟みにくいけど。そもそも話の内容が専門外だし。


「でもそれはそれとして、焼肉のタレは売ってください! お願いします!」

「お店ができてからね」

「ジング、そろそろいいか。スーツの代金を支払いたいんだ」

「あ、はい。お願いします」


 こうして、俺はジルオンさんから20万ウレをもらい、マトットはメルグと知り合った。

 ちょっと長居しちゃったけど、ここでこれだけ稼げればしばらく税金の心配はしなくて済みそうだ。



 そのままの足で昨日の歓迎会場に来たけど、まだガーンさんはいなかった。


「ガーンさんはまだか」

「時間にルーズだ!」

「俺達はこんなにも早く来たのに!」


 ぶどまるとジャガットがそう言う。


「いや、俺達だってギルドに結構いたでしょう。まあ、お店は逃げたりしないから、このまま待ってよう」

「はーい!」


 数分後。


「日向ぼっこなんて久しぶりだなあ」

「ポカポカ~」

「今日も良い天気ー」


 俺達は日向ぼっこして時間を過ごした。



 更に数分後。


「お、ジング。何してるんだ。そんなところで倒れて」


 はっ。


「おはようございますガーンさん!」

「ああおはよう。今寝てただろ」

「いえ、ついうとうとしちゃって。それじゃあガーンさん、今からお店を見せてくれるんですよね!」

「ああ、いこう。ついてこい」

「はい!」

「あのところで、お店って遠いですか?」

「ん? まあここからはまだ近い方だ」


 そのニオンへの返答の意味を、到着してから実感した。



「着いたぞ」

「着きましたけど」


 やってきたのは簡単な小屋といった感じのお店。屋根の下も半分は地面だ。

 でもそこはあまり問題じゃない。道具屋もこんな感じだったし。問題なのは。


「あの、ここ、村の端っこですよね」

「一番端じゃないぞ? ほらあそこに民宿と馬小屋がある」

「もう端同然じゃねーか」


 ぶどまるも同意見だったようだ。

 簡単に言うと、お店の三軒となりが門だった。


「ここしか、空いてないんですか」

「簡単に説明すると、店や民家っていうのはどうしても中心に近い方に集中するだろ? それか、王都に近い門に人が多くなる。人の行き来的にな。すると相対的に、王都から遠い、端っこの方が使われにくい。つまり、ここなら空いてるんだ」

「それにしても立地条件悪すぎません?」

「仕方ないだろ。人が使う土地に空き店舗を置いとくわけにもいかん。というかすぐ埋まる。それで、事前に建てておける場所となると、ここが一番無難なんだ」

「そう、ですか」


 本当にここ、借りるの?

 正直、毎日の通勤も大分時間かかるんだけど。


「一応中の掃除もしといたんだがな」

「だから来るのが遅かったのね」

「もちろん嫌ならそれで構わない。新しく店を建てたいんなら、もっと他にも場所はある。だが、今日からすぐに使いたいなら、ここしかない」


 なるほど。となると、まずは相談か。


「少し、考えさせ」

「気に食わない!」


 突然ぶどまるがそう言った。


「俺達の店はもっと立派で華やかじゃないと駄目だ!」


 そしてそう続けた。


「というと、この店じゃ駄目だということか?」

「そうじゃない。ただ、俺達は先にこう考えてたんだ。この店、俺達が好きにリフォームしちゃ駄目?」

「駄目?」

「駄目か?」

「駄目ですか?」


 お前達、俺に内緒でそんな画策を。

「いいぞ」

「いいんだ」

「ただし、壊して終わるのは駄目だ。改築するなら最後に俺もチェックする。それで駄目なところがあれば直してもらう。もちろん、この貸店舗の敷地面積からはみ出ても駄目だぞ。そういう決まりがあるからな」

「オッケーよ!」

「気にすべき点はそれだけですか?」

「ああ。ひとまずはそうだな」

「よし、言質は取ったぞマスター!」


 そう言って、マトット、ニオン、ジャガットが俺を見た。

 そして最後にぶどまるが俺に、決め顔で言う。


「早速、マスターの力で大工を召喚だ!」

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