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43 契約

 明日の投稿はお休みします。

 新しい朝がきた。希望の朝だ。たぶん。昨夜はいろいろあったし。

 でも反省しないといけないこともある。特にいっちー。


「いっちー。君に言うべきことがあります」

「はい!」

「昨日はジルオンさんに酷いことしたでしょう?」

「ジルオンって誰だ? ああ、あのすっぽんぽんか。いや、あの流れであれは当然! かつ自然! つまり、自然の摂理! 俺は悪くない!」

「言い訳は許しません」

「はい!」

「というわけでいっちーは罰として、これから1ヶ月間みんなの服を洗濯すること。あと掃除と庭の草取りも」

「えー」

「返事ははいでしょ」

「はい!」

「決してサボったりしないでね」

「はい!」


「今日の朝メニューは卵入り野菜炒めよー!」

「んー! やっぱりマトットのご飯は美味しいですねえー!」

「あの、マトット。俺のだけなんか卵で固められてて、野菜入り卵焼きみたいになってるんだけど」

「マスターのは特別!」

「今日もなのか」


 さて。今日も美味しい朝ごはんを食べたところで。

 まずは皆と大事なことを話し合わないとな。


「ごちそうさま」

「ごちそうさまー!」

「ねえみんな、聞いて。これからそれぞれ働き始める前に、一つ話し合いたいことがあります」

「ジング、それは私も聞いた方が良いですかー?」

「うん、フレリア。余裕があれば聞いて」

「はいー」

「実は昨日、大工のガーンさんと会って話した結果、俺達も店を出そうかと考えたんだ」

「おー!」


 店を出すという話に、みんな盛り上がった。


「それはもちろんレストランよね!」

「いいや、ロケットランチャー店だ!」

「魔法使いの店も捨てがたいぜ!」

「いえいえ、ここは本屋というのも捨てがたいですよ!」

「服屋は、いいや。この村にもうあるみたいだし。俺はそっちに服をおろすよ」

「あ、そういうのでもいいか」


 ジャガットはちょっと控えめだなあ。


「俺が今一番考えてるのはレストランだけど、みんなもやりたいことあるなら、やっぱりみんな一緒にやりたいよな」

「というと?」

「レストランも商品も提供できる、俺達ならではの何でも屋をやりたいんだ。それならみんなで一緒に一件の店を使えるだろ?」


 俺は相槌を打ったいっちーにそう答えた。

 というか、それが俺達に合っている気がする。


「何でも屋かー。つまり、ロケットランチャーも売れるってことだな! なら良いな!」

「とうとう魔法使いの店をオープン! 昨日頑張ったかいがあった!」

「ふっ、そこで修行の成果を見せられるわね!」

「んー。何でも屋なら、服の縫直しとかもできるな」

「思ったよりも早いレストランオープン! やるわねマスター!」

「ふふふ。ということは私も知識を活かして本を書いておく必要が出てきましたね!」


 いっちー、ぶどまる、ももっぴ、ジャガット、マトット、ニオン。皆やる気だな。


「ということは、みんなもお店を借りるってことでいいかな。一応月額2000ウレらしいけど」

「それ以上稼げば問題ない!」


 満場一致で、考えがまとまった。


「よし。それじゃあガーンさんには借りることを伝えるよ。ちゃんと借りられたら、みんなに場所とかいろいろ教えるから」

「はーい!」

「それじゃあ、お店楽しみにしてますねー」

「あ、フレリア。フレリアも利用していいよ」

「はい?」

「フレリアも俺の仲間だから。まあ、仲間というか、彼女というか。家族、だから」

「ジング。はい!」


 フレリアは笑顔で言った。


「それではあ、後で私も見にいきますねー♪」

「だったら店の名前も必要だな!」


 いっちーがそう言い出した。


「せっかくだから、いっちーウルトラアルティメットスーパーにしようぜ!」

「よし。じゃあみんなもお店の名前考えておこう。夜にそれぞれ案を出し合って、多数決で」

「はーい!」



 まずは今日もいっちーのロケットランチャーを売りに行く。まあ、先にいっちーが洗濯を終えてからだけど。その間に俺は自伝日記を少し書いておく。

 今日からデナッツ達じゃなくて、冒険者ギルドにおろすから、朝早くにいかなくてもいいだろう。一応、最初は俺もついていく

。けどそこで必要なことを話し終わったら、後のロケットランチャー売りはいっちーだけに任せてもいいかもしれない。

 次に昨日の歓迎会の場所に行って、そこでガーンと会う予定だ。

 みんなお店の外見に興味津々といった感じで、ぶどまる、ニオン、ジャガット、マトットも一緒に来た。フレリアは、店が始まってからでいいと言って、何でも屋の仕事へ行った。


「すいませーん。ロケットランチャー売りに来ましたー」

「はい。少々お待ち下さい」


 冒険者ギルドの受付さんに声をかけると、個室に通され、リシュットさんと面会する。


「ようこそおこしくださいました。冒険者ギルドへようこそ」

「おはようございます。昨日はどうも」

「ええ。くくっ、ふっふっふ」


 思い出し笑いされると気まずいなあ。


「それで、く、本日はロケット、くっふっふっ、ランチャーを売ってくださるということで、くっふっふっふっ」

「あ、はい」

「すみません、くくっ、それで、これが今回の契約書になりますっ、くくっ」

「お前感じ悪いな」

「こらいっちー」

「いや俺もそう思ってる」

「うんうん」


 ぶどまる、お前達まで。

 もう許してやれよ。って、リシュットさんに一番言いたくなるけど。俺だって加害者みたいなものだからなんとも言えない。

 ていうかリシュットさん、ロケットランチャーのところで特に震えてるな。余程ツボにはまってるのか。相手上司なのに。


「すみません。昨日のことは衝撃的で、くっくっ。失礼。まずは確認をどうぞ」

「はい」


 俺は契約書を確認した。


「その契約書、魔力がこもってるな」

「そうなの、ぶどまる?」

「おや、よくわかりましたね。いえ、さすがは魔法使い。高い魔力があるなら見えるのも納得です。ええ、これは魔法の契約書です。俺が作りました」

「リシュットさんって魔法使いなんですか?」

「いいえ。ジングはたしか異世界人で、この世界にはあまり詳しくありませんでしたね?」

「はい」

「一般的に魔法使いという呼称は職業なんです。多かれ少なかれ誰でも魔力は持っていますし、勉強し努力すれば魔法だって使えるようになります」

「そうなんですか」

「はい。それに、俺の祝福スキルは器用なので、努力すれば簡単な魔法を覚えることができるんですよ。この魔法の契約書は、その中の一つというわけです」

「なるほど」


 リシュットさん、仕事ができるタイプなんだな。


「それで、契約書ですが、ジングは字が読めますか?」

「あ、はい。読めます」

「それは素晴らしい。この世界の文字は初めてでは?」

「初めてなんですけど、なぜか読めちゃうんです。きっとこれも異世界転移による影響です」

「そうなのですか。これもということは、他にもなにかできるのですか?」

「このアメージング農家がそれです」

「なるほど。くっ。ふっふっ」

「お前俺を見て笑うなんて失礼だぞ!」

「すみません、これは失礼。くっふっふっ」


 契約内容に問題は無いように見えたので、早速契約完了とする。

 俺の名前と冒険者ギルドのエンブレムが書かれた契約書の上で、俺とリシュットさんが握手。すると契約書と俺達二人が少し光って、それで終わった。


「はい。これで契約成立です」

「ありがとうございます」

「いえ、こちらこそ。さて、それでは早速本日の分のロケットランチャーの納品ですが」

「今日の分はこれだ!」

「おお、ありがとうございます。いやあ、やはり素晴らしいですね。急に目の前に武器を出せるなんて」

「支払いは月末にまとめてでしたね」

「はい。料金については契約魔法が効いているので、ごまかしは効きませんのでご安心ください。では、本日はこれで」

「いや待て、ギルド職員」

「はい?」


 ここでジャガットの待ったがかかる。


「せっかくだからここで、ギルマスから俺のスーツの代金をもらいたい」

「ぷっ、くふふ! そ、そうですねっ、くっ」

「あとセーフクロスの分の支払いもな」

「くっ、くくくっ! あっはっはっはっは!」


 あー。ジャガット。セーフクロスって、昨夜いっちーが邪魔してつかんだあれのこと? あれはさすがにお金もらいづらいんだけど。

 それにしてもリシュットさんは笑いすぎだよ。

 その後、リシュットさんが立ち直るまで結構時間がかかった。


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