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41 ガーン現る

「お前がジングか」

「はい?」

「俺はガーン。この村で大工をしている。よろしくな」


 歓迎会も大分時間が経った頃、また新しい人に声をかけられた。

 彼、ガーンさんは短く刈った頭と顎髭が似合う、ガタイの良い人だった。


「あ、こちらこそよろしくおねがいします」

「ついさっき、変な赤いのから焼肉とスープをもらったぜ。あれはめっちゃ美味かった。皆ももっと食いたいと言っている。大好評だ」

「それは良かったです。実はあれを作ったマトットと、レストランなんか経営できたらいいなって思ってて。皆が喜んでくれてるなら、やっぱりチャンスはあるのかな」


 まあ、ほとんどは焼肉のタレを売ってくれという要望だったけど。


「そんなチャンス、いくらでもある! むしろこんなド田舎じゃもったいないくらいだ!」

「そうですか、そこまで言われると自信もてます!」

「ああそうだ。それでジング、いきなりでなんだが、俺の腕を買わないか?」

「え。それはつまり、レストランを建ててくれるってことですか?」


 それは願ったりかなったり、だけど。


「ああ、そういうことだ。それに、別にレストランだけじゃねえ。あの紫色の魔法使いだって、丸っこい学者や服屋だって、村の誰かが頼ることだってあるかもしれないだろ? そういったお前ら全体の店、いや、お前の店があった方が良いと思ったんだがな。どうだ?」

「それは、確かにあった方が嬉しいですけど。でも、お高いんでしょ?」

「そうだなあ。ここだけの話、大工の仕事なんて滅多にあるわけじゃねえ。たまにある仕事だって、屋根の修理とかドアのたてつけを直すとか、そんなもんだ」

「それはなんというか、大変ですねえ」

「それに建材にもある程度金がかる。そういう費用も含めると、まあ一番安くて2万ウレだな」

「2万、かあ」


 あれ。ロケットランチャーを売ってれば、その内それくらいは貯められるかも?


「だが、家や店が欲しいやつが皆金を持ってるわけでもねえ。だから、家を買わずに一ヶ月いくらで貸し出すって手もある」

「あ、賃家や貸店舗もあるんですね」

「そう、それだ。貸店舗なら、一応1件既に用意もある。もちろん、家を建てる準備も怠っちゃいねえ。立地さえ決まれば、最速で2、3日で小さい店くらい建ててやれるが、どうする?」

「2、3日!」


 それはたぶん、早すぎるんじゃないか?


「うーん。少し考えさせてください」

「おう。期待して待ってるぜ」

「あ、いや、でも。貸店舗の方はすぐにでも借りたいです」

「おお、やっぱり店が欲しかったか! それじゃあ明日にでも紹介してやろう!」

「本当ですか、ありがとうございます!」


 他の皆はまだ活躍の場を見出しづらいけど、マトットの料理やジャガットの服を直接売れる場所があるのは良いことだと思う!

 ここは即決で、貸店舗はおさえておこう!

 あれ。ちょっと待てよ?


「あの、ところで、賃貸住宅の方も、空きがあるんですよね?」

「ああ、もちろんあるが。それがどうした?」

「そこ、おいくらですか?」

「ああ。貸家は一月3000ウレで、店は2000だが、もしかして、フレリアちゃんのところは居づらいのか?」

「いいえ。全然そういうことじゃないです。まったく」


 なんか変な誤解をされてしまった。まあ、当たらずとも遠からずなんだけど。


「ガーンさんは、俺があの果物達を召喚したことは知っていますよね?」

「ああ。それがお前さんの祝福スキルなんだろ。すげえな」

「そのスキルで、新しく果物達を召喚したら、その子達を貸家におけないかなあって。もうフレリアの家は手狭ですし」

「あー。なるほどな」


 ガーンさんはわかってくれた。


「でもそれだと、貸家に押し込められる新しい果物達が少し可哀想じゃねえか?」

「そう、でしょうか?」


 そうかもしれない。今更いっちー達と別々に暮らすかと思うと、確かに心にひっかかるものがある。


「ごめんなさい。やっぱり今の無しで」

「いやいや、それはお前のスキルの都合なんだろ。ならもっと考えるべきだ。役に立つやつらが増えたら、このセデンツ村ももっと助かるかもしれねえしな」

「そう言ってくださると助かります」

「まあ、家は逃げたりしねえし、でかい買い物だ。よーくじっくり考えな。ひとまず、貸店舗は明日紹介するからよ。明日の朝、またここで落ち合おう」

「あ、はい。わかりました」

「それじゃあな。上手い肉、ごちそうさん」


 ガーンさんはそう言って離れていった。

 正直意表を突かれたけど、新しい店と住まいか。確かに考えないとな。特にお店は俺の資金源の重大な要素だ。

 ここで話しかけられておいて良かった。


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