38 ぶどまる達のパフォーマンス
修正しました。ももっぴも村人にアピールしてます。
「くっ。目の前に肉と焼肉のタレがあるっていうのに食えないなんて、もどかしいぜ!」
「一応村の皆に食べてもらいたいので。あ、でも焼肉だけならもう少し食べてもいいと思いますよ。マトットー、肉はもう少し食べても大丈夫ー?」
「いけるわ! 味付けは塩もあるし! でもタレの方は心配ね。まだあとどれくらい人が来るのかわからないけど、今の私じゃ四本が限界だし」
「やっぱりタレは用意できないよなあ」
「もういっそのこと、お酒をあけちゃいますか」
皆が焼肉を少しだけ食べて微妙な顔になってる中、アダンさんがそう言った。
「いいんですか、アダンさん」
「うん。主賓はもうここにいるしね。いつもより早いけど、始めることはできる。皆もそれでいいかな?」
アダンさんがそう言って皆を見ると、皆は一斉に頷いた。
「よし。それじゃあ始めよう。これからジングとその仲間達の歓迎会を始める。さあ、まずはお酒を飲んでくれ」
「おー!」
すごい。皆息があっている。
皆そんなに、お酒が飲みたいんだな。
まず最初に俺がお酒をもらった。
「良い香りですね。なんていうお酒なんですか?」
「パシュ酒って言ってね。パシュトという植物から作るんだ。さあどうぞ」
「いただきます。ん、美味い!」
久しぶりのお酒だ。普段はあまり飲まないけど、やっぱり美味しい!
「マスター。俺達の分は?」
「いっちー達もいるの?」
「いる!」
「俺はちょっと。ワイン派だから」
ぶどまるがワイン派とか言うのは、ちょっと。なんか微妙な感じだ。
「君たちの歓迎会だからね。はい、どうぞ」
「わーい!」
いっちーは笑顔でお酒をもらった。
「ゴクゴク。ばたっ」
「あ、倒れた」
「いっちー!」
今いっちーは気持ちよさそうに寝ている。
仕方ない。今はこのまま転がしておこう。
「ひょっとして君たちお酒に弱い?」
ジャガットにそう訊いてみた。
「野菜による!」
「そっか」
ひとまず、聞いてもわからないということがわかった。
他の野菜達は飲まないそうだ。
「今日は村の方たちとの交流に来ていますので。今倒れるのはちょっとまずいですね」
「そっか」
ニオンは冷静だなあ。
「ようしじゃあ俺達も飲むか!」
「これのために来ましたからねえ」
そう言って早速飲み始める村の人達。
あ、やっぱみんなそうなんだ。
でもお酒を飲んだあとは、皆俺の方へ来た。
「ジング。それでどうだ、この村は?」
「あ、はい。良いところだと思います」
「フレリアは美人だもんなあ。上手いことやりやがって!」
「あっ、その件は。はい。本当良かったです。おかげで助かってます」
話や挨拶をしていると、少しずつ人が増えて、集まってくる。
「お、もう始まってるのか」
「ずるい! なんで今日は早いって言ってくれなかったんだ!」
皆でお酒を飲んで、焼肉を食べて、喜んで、もっと食べたいという声を無視して。
どんどん空気は盛り上がっていく。
「そろそろ俺の魔法も見せるぜ! 俺は魔法使いのぶどまる! 魔法の力を借りたい時は俺に頼りな! 有料で!」
そう言ってぶどまるがパフォーマンスを始めた。
「まずは火の鳥!」
ぶどまるが目の前に小さな火の鳥を出す。
「おー」
「火の鳥変身! 火の馬!」
「おー」
「紫のー! 馬が小せえぞー!」
「ほっとけ! 省エネにしないとすぐ魔力切れるんだよ!」
ぶどまるの魔法披露はなんだかんだ人気だった。
「俺は服屋のジャガット! 異世界の服が欲しいなら俺のとこに来な! もちろんこの世界の服も作れるぜ!」
「でもお前裸じゃん」
「俺の服はマスターが今着てる! あと負けたジルオンも!」
「ぷっ、くくく」
「おいリシュット。お前は明日朝から廊下に立ってろ」
「あ、そういえばギルマス。いつもと服が違うな」
「変わってるわねー」
「私はももっぴ! 怪我の治療ならお任せよ! それに、日々の疲れやダルさだって吹き飛ばせるわ!」
「怪我はともかく、疲れが吹き飛ぶ? 本当か?」
「論より証拠! 今日は大盤振る舞いでできる限りみんなの疲れをとってあげるわ! 疲れよ疲れよとんでけー」
キラキラー。
「ん? 本当に疲れが消えた?」
「まるで休みの日の朝のような爽快感だ」
「ももなんとか、俺にも試してみてくれ!」
「何度でも言うわ、私の名前はももっぴよ! それ、疲れよ疲れよとんでけー」
「私は学者のニオン。あらゆる物事を調べることができます。確認! エルグさんの祝福スキルは戦闘指揮官レベル3! そして村長としての期待値は37です!」
エルグさんは動揺した。
「まあすごい。どちらも合ってる!」
「ミアン、どちらもってなんだ!」
「あ、ごめんなさいお兄様。あまりにも的確だったもので」
「くっ」
「私は料理人のマトット! 焼肉のタレも出せるわ!」
「マトット、うちに来てくれ!」
「いや、うちに来てほしい!」
「毎日焼肉のタレをくれ!」
「少し考えさせてください。さあ、そろそろテールスープもできるわよ!」
「美味い!」
ぶどまる達は村の人たちとあっという間に打ち解け、和気合い合いと話し合う。
あれ、ひょっとして俺より人気?
まあ、俺は何もしてないしな。あといっちーはずっと寝てるけど、まあそれはそれで。
こうして、俺の歓迎会は良い感じで過ぎていった。




