3 夕飯を作る
ようやくフレリア宅に戻ってこれました。
「あー! お部屋がきれいになってますねえ!」
「俺の果汁で汚れちまったからな。雑巾使ったぜ!」
「ありがとうございますう。ってそれ、私のタオルなんですがあっ」
「ちょっと匂いついちまったけど気にすんな!」
俺とイッチーはフレリア宅の居間で寝させてもらえることになった。布団も夏用のやつを引っ張り出してくれるらしい。
「それでは、これから晩ごはんにしますけどお、ジングはお料理得意ですか?」
「あ、はい。一通り。といっても、大したものは作れませんが」
「それで十分ですよー。じゃあ晩ごはんの支度はジングに任せますねー。私は洗濯物とりこんできますー」
「あ、はい。いってらっしゃい」
「マスター、台所はこっちだ!」
「イッチーもうこの家に慣れちゃってるね」
「マスターの帰りが遅いからだろ!」
さて、台所に来てみたが。
「システムキッチンがない」
「明かりもないぜ!」
「まずはそこからか」
しかし、なんか江戸時代の竈門みたいなのがあるんだけど、これどう使えばいいんだ?
あ、薪がある。でも火種が見つからない。
「イッチー、火、どうしよう」
「俺に任せろマスター! ちょっと薪と薪をこすってみる!」
「そんな大雑把なチャレンジで大丈夫か?」
「おおおー!」
大丈夫でした。イッチー凄いな。
「イッチー凄いな」
「えっへん! で、何作るんだ?」
「あ、それを決めてなかった」
ひとまず火は竈門と明かりのろうそくにセットしておく。
「ええと、材料は、なんだこれ。白いじゃがいもに、葉っぱ?」
「初見の食材だな!」
「しまった。ここが異世界だってこと忘れてた。これ、どう使えばいいんだ? 注意事項とかあるか?」
「別に大丈夫じゃね。ここにあるんだから普通に使っても平気だろ!」
「いや、何かあったらまずいだろ。ひとまずフレリアに聞いてみるか」
それが懸命である。
俺はフレリアを呼びに行くと、フレリアは丁度洗濯物をしまっているところだった。
その際にブラジャーをウォッチングしてしまった。なかなかの代物である。
おっと、エロは厳禁。
「フレリア、ちょっと野菜をどう使っていいかわかんないんだけど」
「はい?」
「俺異世界から来たから、食材が全部見たことなくて」
「ああ、なるほどー。大丈夫、全部適当に使っちゃっていいですよー?」
「一旦下茹でしなきゃダメとか、皮が固くて食べられないとかないんですか?」
「そんなのありませんー。美味しく食べれればいいんです!」
「あ、はい」
「では、このままお願いしますー」
そう言われてしまった。
仕方ない。じゃあ適当に作ってみるか。
じゃがいもっぽいものがあったので、潰してマッシュポテトにしてみた。
他の野菜や、あと干し肉とかも彩りとして混ぜておく。
調味料は塩があった。あとスパイスっぽい葉っぱを細かくしたものも、匂いと味を確かめてから入れる。
「米が無いな」
「パンならあったぜ!」
「おお、もう冷たくなって固くなってるけど。一回焼くか?」
「ポテサラを塗っとくって手もあるぜ!」
ちょっと考えたけど、ポテトサラダとパンは別にしておく。
さて、これでいいんじゃないか?
「フレリア、できたよー」
「おお、ジング。初めて見る料理ですねー。流石異世界人」
「ポテトサラダです。じゃがいもっぽいものを潰して作りました」
「じゃがいも? を、潰す? 異世界の料理は不思議ですねー。では早速。うん、美味しい!」
「良かった」
「パンも熱くてカリッとしてて美味しいですー。なるほど、焼いて温めるんですね!」
「俺もいただきます!」
「イッチー、お前食べれるのか」
「当たり前だろ!」
「ジングはこれからも料理お願いしますう」
「あ、はい。けど、レパートリーそんなないですよ」
「いいんですよお。明日もまたこれ作ってくださいー!」
「あ、はい」
お風呂は無かったけど、歯ブラシはあった。
「ジングはこの予備の歯ブラシ使ってくださいー」
「ありがとうございます」
「俺のもくれ!」
「イッチー、お前も使うのか」
「当たり前だろ!」