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26 ももっぴの弟子入り

前話のナジン神父をナジン大神父に変更しました。さらに少し修正しました。

 改めて教会への道を歩きながら、フレイシュにそれとなく話しかける。


「あのー。ところでフレイシュ」

「ん? なんだい?」

「コザンへの請求額って、多すぎない?」

「ふんーまあ、こういうのは人によって違うからねえ。それに、ナジン様は、私の上司みたいなものだから。まあ、私としてはねえ。ご愁傷さまって感じかな」

「はあ」

「例えばさ、ジング。もし王様が平民に、暴言を吐かれたら一大事だろう?」

「そうだね」


 それは流石にね。


「ナジン大神父様もね。似たような感じなんだよ。うーん、地位的には、教会の王子様、じゃなくてー、次期王様候補みたいな感じかな?」

「え、そんな上なの?」

「まず、教会の下の地位が神父、シスターなわけ。まあ本当の一番下は神父見習いなんだけど、そこはともかく。神父の上が大神父様。その大神父様の中から一人だけ、最高神父様が選ばれる。ああ、女性の場合はトップシスターになるね」

「司祭様とか司教様とかはいないんだ?」

「? 少なくともここでは神父様だけだね。で、ナジン大神父様は放浪の大神父と言われていて、どこにも根ざさず各地を旅する流れの神父様なんだ」

「あ、そうなんだ」

「うん。だからジングはタイミング的にラッキーだったよ。うちの神父様は蘇生魔法なんて使えないからね。もちろん私も使えない」

「へえ。フレイシュも蘇生魔法は使えないんだ」

「うん。というか私は簡単な回復魔法も使えない」

「へ?」

「まあ、私は訳ありシスターでね。おっと、話が脱線してしまったな。とにかく、ナジン様は最高神父になれるかもしれない、有力者なんだよ。最高神父になるには、簡単に言えば選挙で勝つ必要があるんだけど、ナジン様はあの通り、お金さえ払えばツケでも死者蘇生してくれたり、他にも回復魔法をホイホイ使ったりするわけで。しかも力のある神父やシスターがあまりいない、こんなド田舎にまで足を運んでくれるから、結構王国中に人気がある」

「なるほど」

「おまけに女性人気が高い」

「え。へー、そうなんだー」

「まあ私は守備範囲外だけど、そんなわけで、いざ最高神父選挙が始まったら、ナジン様はワンチャンス最高神父様になれちゃうわけだよ」

「他に候補者はいないの?」

「いるけど、例えば有力候補が三人いたとする。で、その勢力の誰かが万が一にも、あいつが最高神父様になるのは嫌だから、その人以外の誰かに票を集める。って考えた場合、一番集まりやすいのが、広い地域で人気があるナジン様なんだよ」

「そんなこと、いや、ありえるのか」


 自分が勝てないかもって考えたら、そういう投票の仕方も確かにあるのかもしれない。


「というわけで、ナジン大神父様への礼儀はしっかりしておかないとね。もちろん大神父様ってだけでも相当な発言力は持ってるから、ジングも気をつけてね」

「はい」

「はーい」

「はーい」

「はーい!」


 いっちー、ぶどまる、ももっぴも元気に返事した。


「うむ。美味しそうなやつらは聞き分けが良いの。ほら、お前も少しは見習いたまえ」

「ぐっ」


 ナジン、様とコザンもしっかり聞いていたようだ。


「あ、ところでもう1つ聞いておきたいんだけど、チッサーナ族って?」

「ナジン様の種族さ。子供の姿でも大人は普通に強いから、ジングも侮っちゃダメだよ?」

「はい」

「はーい」

「はーい」

「はーい!」


 うん。じゃあまあやっぱり、チッサーナ族の特徴は名前の通りなんだろうな。49歳かあ。

 ちらっとナジン大神父を見ると、ちょっと目を合わせたナジン大神父はふいに自分の顎を撫で始めた。


「うーむ。チッサーナ族はなあ。別に不満はないんじゃが、強いて言うならヒゲが生えないことが難点なんじゃよなあー。ワシももっと年齢に見合ったナイスミドルな風格を醸し出したいんじゃが」

「あ、はい」

「あと最近肩こりもあってのー。やはりよる年波を感じるわい」

「肩こりなら取れるわよ!」

「おお、本当か!」

「ええ。つかれよつかれよとんでけー」


 ももっぴが魔法を使った。


「おお、肩が軽くなったわ! お主、凄いのお!」

「えっへん!」

「これは回復魔法か?」

「ええ、そうよ!」

「なるほど。回復魔法にもこのような使い道があったか。これは早速ワシも試さねば!」

「あ、それでさあ、フレイシュ、と、ナジン大神父様。実は少し相談したいことがありまして」


 実はこれが本題である。


「さっきの通り、うちのももっぴは回復魔法が使えるんですよ。それで、それを使ってお金を稼ぎたいんですけど、でも、教会でも回復とかやってるんですよね? なら、そっちにももっぴをご厄介させていただけないかなあ。と、思いまして」

「おお、そうか。うむ、よいぞ!」


 なんと、ナジン大神父があっさりオーケーした。


「いいんですか、ありがとうございます!」

「ナジン大神父様、本当によろしいのですか?」

「うむ。今の肩こり滅殺魔法も素晴らしかったし、死体の状態を保つ工夫もこやつがしたんじゃろ?」

「ええそうよ。あと私はももっぴ! スーパープリティーももっぴよ!」

「うむ。スーパー美味しそうももっぴよ。そなたは神父、いやシスターとしての才能がある。お前が望むなら、ワシ直々の弟子にしてやろう!」

「お願い! マスターの指示だし、弟子でもスーパーアイドルでもやってやるわ!」

「いやアイドルは頼んでない」

「ふむ。ももっぴ。そなたもしや、ワシの弟子というありがたさがわかっておらぬな?」

「実は独学でも十分イケると思ってます」

「甘いぞ! その甘さをワシが突き崩してくれる。厳しい修行もつけてやるから、今から覚悟しておけ!」

「はい!」


 良かった。早くもももっぴの勤め先が見つかったぞ!


「じゃあ、これから毎日ももっぴが教会に通いますので」

「む? 住み込みじゃないのかの? まあ通うのなら給料は出すが」

「ぜひ通う方向でお願いします!」

「マスターがそう言うならそれでいいわ!」

「うむ。給料は日給40ウレでよいな?」

「正直もらえればもらえる程嬉しいですけど、適正額ならそれでかまいません!」

「まあ、見習いの内はそれくらいじゃ。じゃが無事シスターに認められればもっともらえるからの。あと治療なんかしたらその分手当てがつく」

「おお、頑張ってくれよ、ももっぴ!」

「任せなさい!」

「あの、俺もできれば何か儲かる仕事くれれば」

「お主は自分でなんとかせい。別に神父でもなんでもないんだから」

「ぐ、くそー」


 コザンはどんまい。同情はするが、こっちも余裕がないから。

余談ですが、チッサーナ族の平均寿命は50代半ばぐらいの設定です。

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