14 ロケットランチャーの買い手と対面
教会での用事は済み、次は冒険者ギルドへ向かう。
「ああ、言い忘れていましたがー。いっちーのろけっとらんちゃあを買う冒険者達は、デナッツ、ロンダン、グーガ、ワスキーという名前ですう」
「なるほど」
「冒険者パーティ名は、えっとお。黒焦げタイフーンみたいな名前でしたっけ?」
「絶対違うと思う!」
「それな!」
「ふふふー、信じてませんねー? じゃあ当たってるかどうか賭けますう?」
「いいぜ、絶対外れてる!」
「名前違ってたら頭なでなでさせてやるよ!」
それ賭けの対象としてオーケーなのかなあ?
「いいですよー。じゃあ、パーティ名が黒焦げタイフーンだったら今日私はみんなの女王様ということでえー、私の言う事には絶対従ってくださいー」
「オッケー!」
「その賭け受けて立つ!」
「いいのかお前ら」
「ふふふ。では、決まりですね。ジングー?」
「え、俺も?」
「ようやく来たな。俺は3ランクパーティ、荒野の風刃のリーダー、デナッツだ」
冒険者ギルドで筋肉質の大男がそう言った。
「やったー、賭けに勝ったー!」
「どんなもんだい!」
「あららー?」
あの三人は気にせず話をする。まあいっちー達が賭けに勝って良かったと思っておこう。
「ジングです。ロケットランチャーを毎日買ってくれるということでいいんですね?」
「いや、毎日は面倒だ。5日、いや3日にまとめて売ってくれ。それならできるだろ?」
「ええ、まあ」
一応、できなくはないけど。弾頭を数日間保管するのか。結構危険そうだな。
「いや、やっぱり今のところは一回の買い物で2個までです。今はフレリアの家で居候させてもらってるんで、危ないものを溜めておくわけにはいきません」
「ああん? 俺の頼みが聞けねえってか?」
ひいっ。怖い!
「ああん? やんのかこらあ!」
「マスターに喧嘩売るなら、買ってやるぜ」
あ、ありがとう。いっちー、ぶどまる。
けど、話がこじれるかもしれないから、ここは俺が気を強くもたないと。
「こ、こっちの都合も考えてくれないなら売ることはできません! そのへんは、しっかりと話し合いたいと思います!」
デナッツは俺を睨み続けている。思わず一歩引く。
「ちっ」
ここで、デナッツが凄むのをやめてくれた。
「わかったよ。確かに、こっちでまとめて買って溜めておくのも危険っちゃあ危険だ。そこらへんは譲ってやる」
「ほっ」
「ただこの条件はつける。その武器、俺達以外に売るな。いいな?」
「え?」
なんで?
「ジング、その件は私も賛成ですー」
「フレリア?」
「確かにろけっとらんちゃあがあれば、4ランクモンスターとも戦えますう。あれで2、3回攻撃できれば、それだけで仕留められるでしょう。でも、それはその冒険者達の実力ではありませえん。実力が伴わない内に高ランクの依頼を受けるようになったら、自然とろけっとらんちゃあで対処できなくなった時に死んでしまいますー。それは後味が悪いのでえ。少なくともこの村ではまあまあ戦えるデナッツ達が商売相手として適任なんですー」
「なるほど」
「まあまあ戦えるって言うな」
「これからろけっとらんちゃあで5ランクにも挑もうと思ってるんですよね? せいぜい気をつけてくださいー」
「けっ」
デナッツが不機嫌そうな目をフレリアから俺に向けた。ひいっ、怖い。
「まあ、フレリアが言った通りだ。ろけっとらんちゃあは強いが、リスクもあるし今は数に限りもある。だから俺達だけに売れ。いいな?」
「わ、わかりました」
まあ、ここはこれでいいだろう。フレリアも賛成らしいし。
「それじゃあ、今日は弾頭を2つ、合わせて4千ウレということで」
「先に現物を見せな」
「はい。いっちー、ロケットランチャー2つ、デナッツにあげて」
「おっけー!」
いっちーは簡単にロケットランチャーの弾頭を生み出した。
「見せたぞ。先に金をもらう!」
「そうだそうだ!」
「ちっ。わかったよ。ほら」
デナッツが銀色のコインを2枚俺に投げた。なんとかキャッチする。
「そらよ」
いっちーがロケットランチャーを渡した。
「フレリア、良いもん拾ったな」
「はいー。おかげで最近はとっても楽しいですー」
フレリアはニコニコ笑顔で言った。
「さて。それではジング、もう行きましょうー。そのお金でまずは服を買いましょうかー」
「あ、うん」
やっぱりフレリアも俺の一張羅、気にしてたんだな。
「服って俺のか!」
「いや、俺のだろ!」
「お前たち、服買いたいの?」
「いらない!」
口をそろえて言われてしまった。
「では、私達はこれからお買い物なのでえ。デナッツ達はお仕事頑張ってくださいー」
俺達はフレリアの後を追うように冒険者ギルドを去った。
「フレリア。フレリアってさ、デナッツ達と仲悪いの?」
「まあ良くはありませんよお。粗野で粗暴で品性が無いので、好きになれないんですー」
すっごい嫌ってる。
「俺のためにデナッツ達と交渉してくれてありがとう」
「いいえー。私もたまにあいつらと組んで狩りをしないとー、体が鈍ってしまうのでー。ジングは気にすることありませんー」
「そっか。でも、ありがとう」
「んー。お礼を言うならあ、むしろなにかしてほしいですねー」
「というと、何すればいい?」
「じゃあ今日一日、お姫様扱いしてくださいー」
「それはフレリアが賭けに負けたからダメー」
「ダメー」
お前たちよ。まあ俺もそういう接待は苦手だけど。
「ええー」
「それよりフレリア。俺達が賭けに勝ったんだから、この魅惑のいちごボディーなでていいぞ!」
「俺のたくましいブドウボディーもな!」
「あなた達本当どういう生命体なんですかあ? 改めて見ると不思議ですねー」
フレリアはいっちーとぶどまるを撫でながら歩いた。
でも、そうだな。お姫様扱いか。
フレリアがせっかくリクエストしてくれたんだから、ちょっとお姫様扱いしてみようか。いつもお世話になってるし。
それじゃ、早速。いけ、ここだ俺。スーパー声優ボイス!
「今日も美しいですね。フレリア姫?」
「はい? ジング、何を言ってるんですかあー?」
「あ、いえ」
ダメだ。滑った。




