13 フレイシュにいっちーとぶどまるを紹介
新しい朝が来た。たぶん希望の朝だ。ぶどまるも増えたし。
「おはよう、フレリア」
「おはようございます、ジング」
「おっはー!」
「よっすー!」
「いっちーとぶどまるもおはようー」
「今、朝ご飯の支度しますね」
「はいー。できるだけ残りの食材は使っちゃってくださいー。それで今日また新しいのを買いましょー。それに、食材以外も買いましょうね?」
「わかりました」
残りの食材といっても、もうほとんどない。元がフレリア1人分だったものな。後は俺があまり手を出さなかった葉野菜がいくつかあるだけだ。
野菜炒めをかきこむのもなんだし、全部スープにしちゃえ。異世界スパイスを使っての味付けの仕方も、なんとなく慣れてきたぞ。
「私は溜まった洗濯ですう。いっちーとぶどまるはお掃除をお願いしますー」
「はーい!」
「はーい!」
簡単に朝ご飯を済ませた俺達は、早速でかけることになった。
「フレリア、それは?」
「んー? 見ての通りリヤカーですよー。これがないと荷物を運べないじゃないですかー」
「あ、うん。そうだね」
車が無いって不便だ。
俺は居候の身だし、リヤカーを引くことにする。いっちーとぶどまるも手伝ってくれる。
そしてまず立ち寄ったのが教会だった。
「ごめんくださーい」
「はーい」
「ん、なんだい、そいつらは」
「俺の名はいっちー!」
「俺の名はぶどまる!」
「よろしくな!」
「いや、名前だけ言われても」
「こいつらは俺がスキルで出したんです」
「へー」
フレイシュが来て、いっちーとぶどまるを難しい表情しながら見た。フレリアはそんな彼女にいちごとブドウを渡した。
昨日の夜いっちーとぶどまるが出したあれだ。
「今日はお裾分けに来ましたあ。これ、イチゴとブドウって言うらしいですよー。こう見えて野菜らしいですー」
「あ、ブドウは果物です」
「あら、そうなんですねえー」
「おお、珍しい。そしてこいつらと瓜二つだ」
「えっへん!」
「美味しいよ!」
「ありがとう、フレリア。でも、何か企んでるでしょう?」
「いいえー。そんなことありませんよー?」
「ほっぺ舐めていい?」
「ダメですー」
「ふんー。ま、いっか。別に毒ってわけでもなさそうだし。ありがたくもらっておくよ。それより、なんか増えたね?」
「昨日新しくこのぶどまるを召喚しました」
「よろしくな!」
「凄い特別なスキルだねえ。君の、あー、農家スキル? ひょっとしてもしかすると、これからも更にどんどん増えていっちゃう系?」
「あー。どうなんでしょう」
「増えたら困るか?」
「いや、困らないけど、ひょっとしたら強すぎるスキルなのかな? 数の暴力的な」
いっちーの質問にフレイシュはさらっとそう答えた。
確かに、そんな一面も持ってるかもしれない。ロケットランチャー出せるし。でも。
「いっちーもぶどまるも、良い子ですよ」
「もち!」
「あたぼう!」
「そうですよー。こうしてイチゴとブドウも出してくれますしねー」
ふ、フレリアからプレッシャーを感じるっ。
「ふむ。まあ、問題が起きなければいいんだ。じゃあ、用はこのくらいかい?」
「はいー。と思ったんですけどー。実はこのぶどまるが用があるかもしれなくてえー」
「あ、そうだ。実はこのぶどまる、魔法使いなんですけど、なにか魔法を使ってここで手伝えることはありませんか? 今ちょっと仕事を探してまして」
俺が慌てて口をはさんだ。そうだ、ぶどまるの可能性をもっと模索しておかないと。
「魔法使い? この子が?」
「うん」
「ひょっとして、この子も?」
「俺は戦士だ!」
「魔法使いに戦士。本当なら、このスキルって凄いんじゃ」
「いやでも、いっちーとぶどまるはこんな感じですし」
「一応まだ二人は未熟ですねえー」
「そっか。いやあ、とんでもないね。異世界人は。それで、仕事かー。これといってお願いすることはないね。あ、でも雨の日とかは、洗濯物を風魔法で乾かしてほしいかな。できる、風魔法?」
「見せてやるよ。風吹けー!」
ぶどまるは手に杖を出して魔法を使った。
そうしたらフレイシュのシスター服がぶわっとなった。
ぶっちゃけ、スカートめくれた。
うん。
これは不可抗力なんだ。
「ジーンーグーさーん?」
「えっ、フレリア、なんで俺!」
「ジング、今、見たね?」
「み、見てません。何も!」
「もち!」
「バッチリ!」
「ほう、それじゃあ頬を舐めさせてもらおうか」
「いや、やめて、冤罪だ、ごめんなさいー!」
ともかく、これで雨の日とかは教会で魔法の仕事がもらえるかもしれなくなった。
いや、雨の日の洗濯物乾かしとかは、どこでも頼ってくれるかな?
その時手が空いてたら訪問販売みたいなことをしてもいいかもしれない。




