11 ぶどまる誕生
共食いセリフを若干修正しました。
太陽を見る限りではお昼ごろになったので、適当に野菜炒めを作っていっちーと食べる。ちなみに俺はまだこの異世界で時計を見ていない。
「ところでいっちーって、野菜炒め食べても共食い、とまではいかないかもだけど、抵抗ないの? 仲間を捕食的な」
「野菜の世界は栄養の奪い合いなんだぜ。問題ない!」
「そっか」
そろそろスキルアメージング農家のエネルギーが溜まってきてるかなー。
「スキル、アメージング農家!」
スキル発動準備。生み出したい植物を決めてください。
「よし、いける! じゃあ次は、ブドウ、来い!」
ぺかーん。
俺から金色の光が発せられ、その光は望み通り、ぶどう型の野菜生物を生み出した。
ぶどうは実1つではなくて、一房ゴロゴロ実ってる想像通りの姿だ。
「ぶどうっ」
「きた、やっぱり願った通りの野菜や果物が来てくれるのか!」
「やったな、マスター!」
ぶどうが振り返り、強気な目で俺を見る。
「お前が俺のマスターだな。俺の名を言ってみろ!」
そう言われると思ったから、もう名前は考えてある!
「お前の名前は、ぶどまるだ!」
ぶっどーだといまいちだと思ったからな。
「よろしくな、ぶどまる!」
「ふっ。こちらこそ、よろしくな」
「ところでぶどまる。お前は何ができるんだ?」
「口からぶどうを出せるぜ!」
「いやそれ以外で」
「後は魔法だな」
おお!
定番な力きたー!
「どんな魔法を使えるんだ?」
「大体なんでもできるぜ。火魔法に水魔法、木魔法も使えるぜ!」
「すげー!」
「さすが俺の後輩だな!」
ここでぶどまるといっちーが見つめ合った。
「オレ達は仲間だろ。先輩面は無しだ!」
「なんだと、このー!」
ここでいっちーが殴りかかった。そのまま格闘戦に発展。っていやいや。
「お前たちやめろー!」
「てやー!」
「うらー!」
僅差でいっちーが勝ちました。
「くっ、やるな」
ぶどまるがそう言って口元を腕でぬぐう。
「へっ。お前こそ」
いっちーがそう言って差し出した手を、ぶどまるがつかんで立ち上がる。
「友情!」
いっちーとぶどまるは同時にそう言って、俺を見た。
「マスター、もういいよ」
「うん。ありがと。それじゃあ、これからどうするかだけど。ぶどまるの魔法を使って、稼げないかな?」
正直その路線だとぶどまる一人に負担がのしかかるけど、背に腹は代えられない。
「それはいいが、どうやって稼ぐ。戦闘か?」
「いいな、俺もやるぜ!」
「いや、危ないことはしたくない。そうだな。じゃあまずは、火魔法でなにかできないか?」
火があれば役に立つ。それで何かできないだろうか?
「あらゆるものを燃やすことはできるぜ!」
「それだけじゃなあ。でも、ゴミ焼却とかはできそうか」
それはフレリアに相談、いや、冒険者ギルドや教会とかにも提案できるかも。
でもそれよりまずは、他にできそうなことも考えとかないとな。
「じゃあ水魔法はどうだ?」
「もちろんいけるぜ。飲水にもなるぜ!」
「じゃあちょうだい!」
「おうよ!」
いっちーが水を求めると、ぶどまるが自分の手に杖を生み出した。
「水でろー」
「呪文雑っ」
ぶどまるの杖から水が出る。結構ちょろちょろだな。ここが庭で良かった。
「うめえ!」
「だろ!」
「もっと勢いよく出せるか?」
「出せるけど、その分魔力も使うから、無駄使いは無しだ!」
「なるほど」
ぶどまるは放水をやめた。
「ぶどまる。さっきの水、あとどれくらい出せそう?」
「さっきの勢いで、あと八分って感じだな」
「うーん」
多いような、少ないような。まあ、そんなに大量ではない、って感じか。
「この水でお金儲けは、難しいか。水だし」
「お湯かお冷は出ないか?」
「おお、さすがいっちー。ぶどまる、どうだ?」
「できるけど、その分魔力消費もでかくなるんだ!」
「そっかー。でも、できると便利だよな。憶えておこう」
お湯が出せればお茶とかすぐできるしな。冷水も飲みたい時あるし。ん、そういえばこの異世界でまだお茶見たことないな。
お茶の葉、といえば、木魔法。に、なるか?
「ぶどまる。次は木魔法だ。で、木魔法でお茶の葉とか出せる?」
出せればワンチャン錬金できるんだけど。
「今は無理!」
「今後期待できるのか」
「出せるのは枝だけだぜ!」
「実際見てみないことにはな。やれ、ぶどまる!」
「命令すんな!」
「なんだと!」
「喧嘩しないで二人共。ぶどまる、やってくれ」
「いいぜ、枝!」
ぶどまるが呪文(?)を唱えると、空中に尖った枝が一本現れた。
「いけ!」
ぶどまるの命令により、その枝が斜めに地面に突き刺さる。威力は、高そうか?
「お、結構深く刺さってる。いざという時、役に立つか?」
「火魔法は火事につながるもんな」
「これで消費魔力1ってとこだぜ!」
「あと何回できる?」
「んー。12、3ってとこかな」
十回以上できれば戦い向きか?
いやでも、一撃必殺とまではいかないよな。まずい場合、一体も倒せないかも。
やっぱり俺達にはまだ戦いは無理だな。せめて俺が強ければなんとかなりそうなんだが。
とにかく、今は木魔法の活用方法を考えよう。
「ぶどまる、枝ならどんな形でも出せるか?」
「オフコース!」
「じゃあ、箸って出せる?」
「やってみる!」
ぶどまるが魔法で箸を出した。一度に4そろえだ。
「やった。異世界で箸ゲット。でも、これを売るのも難しいだろうな。普及とか難しそう。でもま、これは俺達が使おう」
「やったぜ!」
「ふ、どんなもんだい!」
「それじゃあ、箸の次は菜箸だ。頼む!」
「いいぜ。枝!」
菜箸が生まれた。これで野菜炒めを作るのも楽になった。
「よし、じゃあ次は。うーん、ひとまず終わりにしておこうか。今木の皿やスプーンとかを出してもらっても、売れるかはわからないしな。ここは売れそうな商品をフレリアに確認してから増やそう」
「おお、そうだな!」
「それまでまた何ができるかを考えとこっか。あ、そうだぶどまる。せっかく生み出されたばかりなんだし、今からちょっとこの村の案内でもしてやろうか。案内できる範囲でだけど」
「いいのかマスター、ぜひ頼む!」
「あるきながら考えようぜ!」
それに、更に知らないところも見て回って、俺自身もこの村に慣れるのもいいな。
今はぶどまるが枝や箸を出せることで心に余裕がある。後はフレリアの知恵も借りて、金策をなんとかしよう。
なんとかできれば、いいなあ。




