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10分程度で読めるショートストーリー

恋愛観察者

作者: アオ

高校生.......部活や勉強で大変だろう。しかし一番の醍醐味と言ったら

"恋愛"なのではないだろうか。少なくとも俺はそう思う。

誰もが恋愛をして恋愛に振り回されて、泣いたり笑ったり.......

高校生が一番輝くのは"恋"をしているときだと思う。


ほら、この人たちだってきっとそう.......

男子「前からずっと好きでした!付き合ってください!」

女子「ごめんなさい........私好きな人がいるので!」

女子は去っていき男子は茫然と立ち尽くす。

見てしまったこちら側も泣きそうな気分になる。


彼は彼の物語の主人公ならば俺はモブキャラCになるだろうか.......

数分後、茫然としていた彼だが正気を取り戻して帰っていった。

彼女のことを考えながら失恋ソングを聞く彼の姿が目に浮かぶ。


また別の日、俺は学校の体育館裏を横切った。

そこには幼馴染同士の男女が向き合っていた。男子が生唾を飲み込む。

男子「お前のことが好きだ。一生お前のそばにいたい。だから付き合ってくれ!」

数秒間の沈黙が訪れる.......女子はニコリと笑い

女子「私もずっと好きだった。よろしくお願いします!」


こうやってカップルはできていく。どちらかが告りそれを受け入れる。

もちろん告白に踏み出せない人だっている。

ちょうどこちらの彼女が今まさにそうだ。


女子「はぁ~........恋愛ってつらい~」

友達「大丈夫だって!あんたが告白すれば十分付き合えるって!」

女子「でも、告白ってはっ.......恥ずかしい~」

友達「も~、早くしないと取られちゃうよ!」

女子「それは嫌だ~」


こんな風に恋愛で悩む人は大勢いる。俺が本を読んでいると男子たちの会話が

聞こえてくる。どうやら恋バナをしているようだ。

友達「もっと距離を縮めれば?」

男子「簡単に言うけど.......いざ目の前に行くと何を話していいのかわからなくて」

友達「別にいつものお前なら話せれるじゃないか!」

男子「それはそうだけど......なんかさ~........」


休み時間、校内を回っているとカップルの話が会話が聞こえてきた。

男子「あのさ、夏祭りいかない?」

女子「いいよ!楽しみ~!」

もうそんな季節か.......年中恋愛関係の話は聞くが、その中でも夏は"The恋愛"の

季節と言っても過言ではないだろうか。


夏休みに入り、行く当てもなく俺は夏祭りへと向かった。

クラスの連中も多くいてもちろんカップルや家族連れなどもいた。

男女一緒のグループで来ている人たちもいる。

目線を追ってみると女子は一人の男子に。これが夏祭りの力か。


花火が行われる時間、俺は一人で芝生の上に座り花火が上がるのを待つ。

すると、先ほどのグループもこちらに来たようだ。

聞こえてくる会話はとても楽しそうなものだ。

そして花火もクライマックスとなり、なんとも言えない空気になったとき

あの女子があの男子を呼び出す。少し離れたところ俺の近くで言い出した。


女子「あのさ.......私ね.......ずっと.......」

その後の言葉は花火によってかき消された。

男子「ごめん、花火の音で聞こえなかった。なんて?」

男子がそう聞き返す。漫画のワンシーンを見ているようだ。

女子「うんん、なんでもない。戻ろうか.......」

女子は少し残念そうな顔でグループへ戻って行った。


季節は進み、秋に。さてこの時期は体育祭に文化祭と行事がたくさんある。

この行事も恋愛に関係する行事と言えるだろう。

中でも、文化祭はみんなで遅くまでせっせと準備をする。

それがアオハルを感じさせてくれる。


文化祭もあっという間に終わり帰ろうとしていたとき男女の会話が聞こえてくる。

女子「お疲れ~あっという間だったね~」

男子「そうだね........楽しかったよ。そのっ........君が好きだ!」

女子「えっ?」

男子「ずっと好きだ。今回の文化祭も君のこと以外考えれなかった」

女子は黙って男子の次の言葉を聞く。

男子「だから........付き合ってください!」

女子「.......ごめん、君のことを恋愛対象としては見れない。だけど

   これからも友達としてよろしく」

男子「うっ........うん、わかったよ!よろしく」


みんな青春しているな~........それぞれがそれぞれの物語の主役でそれぞれの

思いを伝えて.........そう思うだけで胸が締め付けられるような思いになる。

俺もこんな青春が()()()()()........






翌年、俺はある横断歩道にいた。またここに来てしまった.......

すると俺の隣に女子が止まり手に持っていた一輪の花をおいた。

女子「今日でちょうど一年前か.......全然吹っ切れていないな........」

彼女がそう言って俺は彼女を見る。

女子「君に届いているかわからないけど.......あの日事故から助けてくれて

   ありがとう。でも君が永眠してから私は気が付いたんだ.......

   ずっと君のことが好きだったってことが........でも今更気づいても

   遅いよね......なんであの時気が付けなかったんだろう.......」

彼女は一呼吸を置いて再び話始める。

女子「でも後ろを振り向いてばかりはだめだよね......そう思って

   今日はガーベラを持ってきたよ......」

確か......花言葉に"常に前進"があったよな.......

女子「君が助けてくれたこの命を大事にしながら生きていくよ。

   ありがとう、また来るね!」

彼女は見えない俺に手を振ってくれた。それがうれしかった。

俺は他人のモブキャラかもしれない......だけど、だけど俺の物語では

俺が主人公だ。そして彼女の物語では大切な人になれたはずだ......

俺からもありがとう......君が気づく前から俺は好きだったよ。

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