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追放裁判開廷!すぐ閉廷!

「―――んんん・・・うん?」

目が覚める。なんか体にダルさがあるな・・・。

体は――人間の状態。良かった!あー良かった!もはや犬から戻れない体になったらどうしようと思った!

というか、ここどこだ?なんか布を被せられてる?周りが見えぬ。

知らないうちに寝てるし、警備員にソーセージ見られるし、檻に入れられてるし。まったく・・・・・。


・・・・・。

・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・。


おり?


なぜ、おり?

しかも檻に布みたいなのが被せられてるせいで、周りが全く見えない。何この状況。

てんやわんやしていたら、布の一部が捲れ光が差し込む。そして、声をかけられた。


「おい、起きたかよ」

「・・・・・」

「起きてんだろ、返事しやがれ」

「・・・zzz」

「おい!狸寝入りこいてんじゃねえよ!・・・いやお前犬だったな。ちっ、ややこしいな」

「通常の小ボケへのツッコミに加え、僕の現状にもツッコミを入れるなんて!」

「やかましいわ!黙っとけボケェ!」


声をかけてきたのは、口が悪ければガラも悪そうなリーゼントの男子。檻にぶち込んでるのはコイツの仕業らしい。

「おいリーゼントくんよ。なんで僕は檻に閉じ込められてんだ」

「あぁ?んなもん決まって・・・おい、誰がリーゼントくんだコラ」

「いや髪型完全にリーゼントだから」

「・・・ひとつ聞く。お前、おれの髪型のどこを見てリーゼントって言った?」


えっ なに?哲学?

どこをどう見てもリーゼントぢゃん。


「どこがリーゼントかって言ったら・・・そりゃ前のびょいーーんって感じの所?」

「・・・有罪だ・・・」

「え、なんて?」

「てめぇはっ!!有罪だっ!!!!」

「!!!????」

檻に被せられてた布をひっぺがされる。

すると、眼前に広がるのは・・・―――



「異議あり!!被告人は3年の懲役を経て模範囚としてシャバに出てきたのであって、素行不良の要素は既に取り除かれている!」

「いやそもそも犯罪者思考だから収監されてたはずだ!そんな奴の根っこなんて治るか!?よって追放だ!退学に追いやれ!」

「「そうだそうだー!」」


学級裁判が開かれていました☆


「何故こんな事に・・・?」

「そりゃお前が囚人だったとか言うからだ。危険要素はあらかじめ摘んどくのが、賢いヤンキーだ」

「その排他思想はもはやテロリストでは?」

「うるせえ。おれからすりゃ犯罪囚人どうこうよりも、この髪の真理が分からん奴なんざみんな根絶やしだ」

もはや、では無い。純然たるテロリストだった。


「そのリーゼントに思い入れでもあんの?」

「またリーゼントって言ったな?違ぇんだよ、これはなぁ・・・!」



「ボンパドールっつうんだよ!!!」


・・・・・・・・・・・



「・・・あっ、ググッたらガチで前髪のびょいーんってとこボンパドールって言うらしいわ」

クラスの誰かがそう呟いた。


「あぁそうだよ。おめーらの言うリーゼントってのは違ぇんだよ。よってたかってリーゼントリーゼントリーゼントってよ・・・舐めんじゃねえ。勉強しやがれ」


・・・・・・・・・・


「異議あり!!確かに正確には違くとも、一般的には前髪びょいーんをリーゼントとして認識しているケースが大半!よってリーゼントの呼称を許可頂きたい!」

「というより、そんな事を大々的に言うコイツも被告人と並ぶイカレ野郎だ!よって『ボンパ』とあだ名をつけさせて頂きたい!」


「「「異議なし!!!」」」


「異議あれよコラァ!!クソみてえなあだ名付けんじゃねえ!」

「まあ落ち着けよボンパ」

「いいあだ名だぞボンパ」

「「ボンパボンパ」」

「ヒンナヒンナみてえに言ってんじゃねえーー!!」

完全ないじられキャラになったなボンパくん。おめでとう!!



「おれのことなんざどうでもいいんだよ!この犯罪者の処遇だろーが!!」

「あっ、そうだった」

「いい進行だぞボンパ」

「もっとやれボンパ」

「・・・・・もういい、諦めた。好きに呼べ・・・。好きに呼んでいいから、この危険人物どーすんだ!?」

やばい!僕の方に矛先戻ってきた!?


「みんな!僕は確かに囚人だったけど今はもう出てる!更生したんだ!信じてくれ!」

「「「何しでかすか怖いから追放で」」」

このクズしかいねえクラスめ!


「べ、弁護側は!?さっきシャバに出たからもう大丈夫とか言ってたよね!?」

「「「やっぱ不安なので追放で」」」

「使えねえぇーーー!」

「だ、そうだ。という事でお前追放!またパノプティコンとやらにでも戻ってくれ!あはは!」


ま、まずい!せっかくシャバに出たのに逆戻りだ!弁明を・・・!なにか弁明をせねば!!


ピーンと閃く。

そうだ、クラスにとって害でなければいいんだよ!


「ぼ、ぼ、ぼ・・・・僕に!僕に指揮を取らせてくれ!!」


ざわざわざわ。


「『指揮を』・・・?どういうことだ?」

「さっき先生が言ってたよな、クラス対抗戦あるって!いつも進学組が勝つって!その戦い、僕が指揮をとる!そんで、勝つ!そうすれば追放も出来ないだろ!?」

「・・・・・・。」


「まあ確かに、いる価値があれば追放なんてしないなぁ」

「『皇帝』も言ってたけど、舐められたままじゃ気分良くねえよな」

裁判をやってた奴らが口々に言い出す。


「ち、ちょっと待て!指揮というかアタマ張るのは『皇帝』か『女帝』じゃねえのか!?こんなどこの危ない奴かも知れん奴に指揮なんか・・・」

「まー待て待てボンパ。中々面白そうじゃねーの?」

「おおおおいこの大事な時にボンパってだれ・・・が・・・・・・」


僕の指揮どうこう言ってた時に入ってきたのは、リーダーどうこうで持ち上げられてたカイくんだった。


「「「こ、『皇帝』!!??」」」

「・・・なんだよ、バケモン見るみてえな目で見んなよ」

「いやだって、講堂破壊事件でお偉いさんにお呼ばれしたって聞いたから、もう亡きものになったかと・・・」

「勝手に亡くすな!!とりあえず処分保留!コイツがいなかったからな」

と言って、僕を指さすカイくん。さては僕を売って逃げてきたな?



「まあ一通り話は聞いてた。要はイチを司令塔にするかどうかだろ?」

「そういう事だ。おれ的には、皇帝で名高い黒森をトップにした方が他を牽制出来ていいと思うんだが・・・」

「まあボンパの言う事ももっともだが・・・俺はあまり頭使えねえからな。作戦立てる時点でガッタガタになると思うぜ?」

「まあ見た目からして脳筋タイプだもんな」


ボコッッ


「・・・まあそういう事で、おれはあまり頭使えん。代表の名義は俺でもいいが、作戦立てる『参謀』、実際指揮する『司令塔』は他のやつにしてくれ」

「「「(ノータイムでボコった・・・)」」」

恐ろしく速い脳筋。僕でなきゃ見逃しちゃうね。


――――――――――――――――

―――――――――――

――――――――

――――


「――静粛に!では被告人藤川は、新入生戦までの執行猶予とする!以上、閉廷!」

「メガネ君、勢いで裁判長役やらせたけど結構ノリノリだな」

閉廷後、クラスは談笑ムードに包まれた。とりあえず今回は助かったが、改めてイかれたクラスだということは理解した。



その後殴られたボンパが復活し、檻から出してくれた。

「・・・チッ、本当はこのまま追放したかったなァ」

「冗談はおよしよ・・・」

「・・・・・・」

「カイくんサンキュ。とりあえずこの場はどーにかなったよ」

「この場はどーにかなっても、次はどうなるかわかんねえぞ」

「次?」

「お前自分で言ったじゃねえか。『指揮取らせてくれ』って。やるからには、このクセしかねえクラスまとめあげなきゃいけねえんだぞ?」

「・・・あぁ〜、こんな裁判起こすクラスかぁ。先が思いやられるなぁ」

「まー頑張れよ。ステゴロならまかせろ」

「戦術が必要だっつってんのに武力持ち出されてもなぁ・・・。」

はぁ、本当に・・・どうなっちまうんだ・・・


学級追放裁判での有罪は免れたが、代わりにめちゃくちゃな執行猶予つけられた気がするな・・・。


【新入生クラス対抗戦兼、藤川イチ執行猶予?期間終了まで――残り10日】

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