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西に集う!イカれた奴ら

「皆さん、入学式お疲れ様でした。校長先生の話、とても良かったですね!」


「すみませーん寝てました」

「おれも」

「あ、奇遇わたしも」

「先生、なんで僕ら簀巻きにされてるんですか」

ワイワイガヤガヤ。

「・・・・・」


「と、とにかく!あなた達はこれからは一文字学園の西地区代表として振舞っていかなくてはいけません!しっかり自覚をもって行動してくださいね!いいですか!?」


「字ってなんだろな」

「さあ?『痔』とか来たらどーすんればいいんだ」

「『病』とか来たら、親に報告しなきゃな・・・」

「ちょ、簀巻きだと背中痒いのにかけない。誰か、俺の背中かいてくれー」

ワイワイガヤガヤ。

「・・・・・・」


「ま、まずは学園の特徴である『文字』をこれから与えます!これらをしっかり習得すれば、今は衰退気味の西地区でも、あなた達の力で立て直せるんですよ!しっかり勉強して文字に対する造詣を深めましょうね!」


「顔合わせがてらモノマネ『パンクロックにハマった羊』」

「それタイトルだけで笑えるわ」

「ずるいな。そういう特技ほしいかも」

「カイくん、僕らも楽しい会話したいね」

「昨日の晩メシの話でもするか?」

ワイワイガヤガヤ。


「続きましてモノマネ、忖度を覚えたモルモッ―――」

「うるさァァァァーーーーーーーーい!!!!!」

「「「!!!???」」」

突如教室内に先生の絶叫が響いた。大気が震え、ワイワイと談笑していた教室内がシーンと静まりかえる。


「ハァハァ・・・あなた達ねぇ・・・いつまでもガヤガヤと・・・なんなのよォーーーーーー!!(ドオオオン!)」


「やばい!先生がブチ切れてる!!」

「瓦割り10枚くらい軽く行けそうなくらいの台パンだったな」

「看守のゲンコツより重そうだなぁ」

「イチ?看守って?」

「あっ、ナンデモナイです」

「・・・?」


「スゥーーー、ハァーーー・・・。すみません、取り乱しました。みなさん、改めてご入学おめでとうございます。これから文字の授与しますので、静かにしましょうね?(ニッコリ)」


「ひぇっ、うちの姉貴ブチ切れるとあんな感じに笑うぜ・・・」

「え?お前姉ちゃんいるの?」

「いくつ?」

「連絡先教えて?」

「写真見せろよ」

ガヤガヤ―――


「静かに、しましょうね(ドスの効いた声)」

「「「・・・・・・」」」

「返事は?」

「「「ハイ・・・・・」」」



「えー、静かになった所で文字の授与式を始めます♡

本当は入学式の流れでそのまま講堂でやる予定だったんですけどね、突如講堂の一部が破壊されてしまったので各クラスで行う事となりました」

「立派な講堂だったのにね、あそこで文字とか渡されたら僕モチベ上がりそうだよ」

「ああ、確かに内装とか凝ってたよな。誰がぶち壊したんだよあんなキレイなとこ」

「アンタらよ簀巻き2人組(ドスの効いた声)」

「「はい。すみません(土下座)」」



僕らは遅刻確定の中、急いで超急いで学校へ来た。チャリンコという名の暴走車両をすっ飛ばしてきた。しかし、暴走車両は暴走したまま止まることなく厳かな雰囲気の講堂へ突っ込んで行った。幸いにも怪我人は無く、講堂の入口の扉とその他外装、内装の破損で留まったらしい。逆にチャリでそこまでの威力出せるのってすごいな。


「えー、あなた達が入学早々『チャリで来た卍』してしまった為に、大幅なスケジュールの乱れが生じてしまいました。なのでササッと文字を渡していっちゃいます。」

「先生、せめて簀巻きを解いてください!このままじゃ上手く起き上がれなくて、文字どころじゃない!」

「そうだそうだ!痒い所がかけなくて不便だ!」

「それは反省の意を示してもらうためと、問題児認定された記念です。痒いところは放置してそのままむず痒い思いをしといてください♡」

「うげぇぇーー!言葉通りむず痒いぃーーー!!」


(おい、あれって二中の・・・)

(だよな?二中の奴ってだいたい北地区に進学とか聞いたけど、トップが西に来るなんて・・・)

(でも簀巻きだぜ?)


教室内がザワザワとなる。激チャ中に聞いたけど、カイくんは顔が広いらしい(悪い意味で)。クラスの面々の雰囲気が少しピリつくのがわかる。何やら因縁やらあるのだろうか?


「じゃあ授与のトップバッターはあなたにしようかしら、黒森 海くん。時短の為に、自己紹介と一緒にやるからまずクラスに挨拶してくれる?」

「時短にとか、なんかテキトーじゃないすか先生?」

「あなた達が講堂壊さなければ、時短措置なんてとる必要もなかったのよ?(ニッコリ)」

「はい、すんません・・・。おいイチ、ちょっと起こすの手伝え。足でいいから俺の上体起こしてくれ」

「あいよ(ヒョイ)」

「サンキュッ、っと(シュタッ)」

首跳ね起きの簡易バージョンみたいな感じで器用に起きる。その仕草ひとつでも、身体の使い方が上手いのが分かる。さすが喧嘩が強かった、というだけはあるなぁ。


「えー、名前は黒森 海。知ってる人もいるかもしれませんが、二中からこの西地区に来ました。二中では真面目に学級委員してました。よろしくお願いします」

「「・・・・・」」

クラス中が緊張感に包まれる。これは間違いなく、二中の頭がここに居る事に起因してるだろう。それにしても、せっかくのカイくん渾身の学級委員ギャグが通じてない。誰かツッコんでやれよ。仕方ない、ここは助けてやるか。貸しイチだぜ。


「いやいや、そのなりで学級委員かーーーい!」

「それでは黒森くんの文字は―――」

「ノータイムでガン無視!!!!」

超恥ずい。だれか俺を殴ってくれ。


「文字はこれです!!・・・『(こぶし)』!!」


先生が声高らかに読み上げる。すると、なんか魔法陣みたいなのが書かれた賞状から『拳』の1文字が浮かび上がる。そして賞状がへ手渡され、カイくんの身体へ文字が流れ込む。


「ありがとうございまあぁぁぁぁーーーーー!!?」

「「!!!??」」

何事かとみんなが目を剥いた。文字を授与された途端、感電したかのようにカイくんが悶絶しだした。

「ギョエピぃぃぃぃ!!!(ビクンビクン)」


「おいおいなんだこれ?怪しい薬でも打たれたのか?」

「ぷっ、ギョエピって・・・雑魚しか言わん悲鳴・・・(笑)」

「副作用?こんな情報なかったぞ?(メガネクイッ)」

教室内がザワザワしだす。やがて、発狂していたカイくんが落ち着く。


「ハァ・・ハァ・・・おいコラァ!!なんだ今の!新感覚の何かが身体を駆け巡ったぞオラァ!」

「黒森くんそうカッカしな…いや口調の割に起こった事しっかり説明したわね!?そう、今のは字が身体に実装された証よ。新感覚の何かってとこは確かね」

「なるほど、でも『拳』?全く実感ないんすけど」

「そうねぇ、身体の強化の文字とかだとあまり実感が湧かないのかも。何かしら出せるヤツとかだと良かったんだけど」

「ちょっとなんか殴ってきていいすか?」

「単純なヤンキー思考やめなさい。地面でも叩いてみたら?」

「そうっすね。よっ」

「えっ、ここでやるの!?ちょっと待っ」



ズドォォォォォン!!!!!!



震えた。地震かと思った。というか地震レベル。

痛っ!ちょ、校訓的なこと書いてる額縁が落ちてきた!かど!角直撃!痛い!

というかみんな机の下に潜ってる。まじの地震だと思ったのか。ヤンキーみたいな見た目多いのに、防災意識は高いなこのクラス。あっ、先生だけ逃げ遅れてひっくり返ってる。


「ちょっとカイくんやるなら一言いってよ!ノータイムでやると防げないよ簀巻きなんだから!というかいつの間に簀巻きといたんだキミは!?」

「さっき痺れてた時に解けてた。しかしすげえなこれ。軽く小突いただけなのにこれが文字の能力―――」


「何事だァーーー!」

「敵襲か!?」

「不審者ならしょっぴく!!」

(ガラガラガラ)


「「またお前かぁーーー!!」」


「えっ、また警備の人ああーーーれぇーーーー!?」

職人のような手さばきでカイくんを再度簀巻き――いや、ワイヤーで巻いてる。強度マシマシだ。


「お前の噂は警備室でも聞いてるぞ」

「なんかやったらすぐすっ飛んでくるからな」

「覚悟しとけよ!」

(ピシャ!)

滞在時間15秒ほど。手馴れた仕草で問題児を縛り上げ、警備の人達は去っていった。さすが西地区担当なだけはある。屈強な警備さんだ。

カイくんは目を回して白目むいてる。仮にも悪名高い奴がこんな体たらくで大丈夫なのか。

―――――――――――――

―――――――――――

―――――――

――


「・・・えー、先程は問題児が再度やらかしたせいで時間を取ってしまいました。あとで職員会議の議題にさせてもらいます。いいわね」

「キューー・・・・(白目)」

スタン食らってた先生が復活し、文字の授与式が再開。スタンさせた当事者は今は逆にスタン状態。なんてクラスなんだ。


「じゃあ次は松園さんね!お願いします」

「・・・あれ?問題児を先に片付けるんじゃなかったんですか?」

「また問題児に問題起こさせられたら溜まったもんじゃないわ。あなたも何やるかわかんないじゃない?よって大トリよ」

「えぇ・・・?信用のなさ・・・」

「信用得てから意見は言いなさい。はいどんどん行くわよ〜松園さん、前に出てくれるかしら」


松園さんと呼ばれた女子生徒。170cm位ありそうですらりとして、なにやら近寄りがたい雰囲気というのだろうか。そんな圧を感じた。

「・・・南中等部から来ました、松園凛。よろしく」


「おい、可愛いなあの子」

「西高入ってよかった・・・」

「やべーやつしか居ないって聞いてたけど天使がいたじゃねえか」

「あとで連絡先聞かなきゃ」

「おれも」

「いや俺が先だ」

教室内が色めきだす。全く男ってもんは、女子を見るとすーぐこれだもんな。しっかりしろよ。とりあえず連絡先は僕が先に貰うからな?


「はい、という事で松園さんの一文字は・・・はいどん!『(くさり)』!」

「・・・・・」

文字を伝えられ、もしかしてこの子もカイくんみたいにビビーンて悶えるパターン!?お色気パターン!?と期待するクラスの面々。しかし・・・


「あれ?あの子全く動じてないぞ」

「おい『皇帝』の野郎、あいつオーバーリアクションだったんじゃね?」

「強いのに出川タイプかよ」

「ちょっと期待して前屈みになってたのに」

低俗極まりない会話の中、女子生徒は黙って文字を身体に受け入れていた。


「あ!でもよく見ろ!髪束ねてる髪飾りみたいなのかめっちゃ震えてる!」

「やっぱり何かしらは流れてるのか」

「いや髪飾りカタカタ言いすぎじゃね?」

「もはや荒ぶってるな」

パキィィン!

そう言った途端、震えてた髪飾りが割れ、ポニーぽかった髪型がロングヘアーに解かれる。


「おぉ〜ロングも雰囲気変わっ・・・あ?」

「なんかどっかで見たことあんな」

「そういえば南の中等部出身って言ったよな?あそこってレディースの・・・」

「・・・あっ!こいつ『女帝』だよ!南西地区の!」

「「!!??」」

色めいてザワザワしてたクラスが、別のザワザワに変わる。カイくんみたいにこの女子生徒も有名人なのかな?


「マジかよ、『皇帝』に続いて『女帝』まで西地区に・・・しかも同クラ」

「クラス割り考えた奴の気が知れねえ」

「帝が2人・・・略しててえてえか」

「あの2人がてぇてぇ?無いだろ」

「片方の皇帝さんまだ白目むいてんぞ」

どうやら『女帝』と言われるほど名の知れた人だったらしい。ヤンキー界隈ってよくわかんねえなぁ。


―――――――――――――――――――

――――――――――――――

―――――――――――

―――――


その後も紆余曲折多種多様和洋折衷な授与式が進み、大トリの僕の番に。イモムシ状態で先生の前へ行く。


「先生〜、よろしくお願いします」

「はぁ、やっと最後ね?私このクラスの担任で大丈夫かしら」

「ここまで1時間足らずで終わらせられたんなら上出来過ぎますよ」

「ありがとう藤川くん。まあ、最後のあなたも大変なんだけどね・・・(ボソッ)」

「明らかなクソデカ陰口やめてください。泣きますよ?」

「あーごめんなさいね。で、どうする?『監視』からは、周囲に秘匿しないようにとの通達だけど・・・私から紹介しようか?」

「僕から言うので大丈夫ですよ、自己紹介がてらって事で」



改めてイモムシ状態で教卓へ上り、クラスの面々に向かい合う。


「おい何だあいつ」

「ずっとイモムシだったぞ、イカレM野郎だろ」

「でも『皇帝』と仲良さげだったよな」

「うーん、見た事ないよな。あんだけツッコめる間柄なら多少は顔も知られてると思うんだが」

「しかも人畜無害そうな顔してるけど」

ザワザワザワ。


ざわつく中、目が覚めたカイくんが一言。

「いや、こいつ今日はじめて会った。俺も初対面だぞ」

「え?」

「おれ『皇帝』と町中で対面したらあんな仲良くできねえよ・・・」

「どういう精神ならあんなフランクに出来んだよ」

クラス中から口々に言われる。そんなにカイくん恐れられてたんだ!?

ま、まあとりあえず挨拶しないと。


「ゴホン。えー皆さんどうも、藤川一と言います。皆さん知らないのも無理はないと思います、僕は西出身では無いので・・・」

「おいおいどこ中だよー!」

「他地区ならそこ大事だぞ!」

「出身中によっちゃシバく!」

そこまで中学大事なのか。どういう界隈なんだホントに。

「僕中学卒業資格は取ったんですけど、実はどこ中出身とかじゃないんですよ〜」


「・・・?どういう事?」

「不登校だったとか?」

「なんだ、いじめられたのか?俺らがソイツら締めるぞ?」


「おぉ・・・義理堅い意見ありがとう!でも、そうじゃなくて!えーと皆さん、『監視塔(パノプティコン)』知ってる?」


「ぱのぷてぃ?何て?」

「あれだろ?ルート、プラマイなんちゃらとか」

「それ監視塔(パノプティコン)じゃなくて平方根(ヘイホウコン)じゃね?」

「平方根って何だよ」

「数学の意味わかんねえ奴」

「保健体育しか知らねーよ俺」

「保健何点?」

「第二次性徴の辺りで98点」

「「「きしょっっ」」」


いかん、変に話振ると脱線するぞこのクラス。無理やり話作らねえと。

「あー知らない人も多いよね、中央区にあるバカ高い塔!あれ実は訳アリの人の更生施設でさ」

「「「へぇーー」」」


「で、僕はそこに約4年の間」

「「「うんうん」」」


「収容されてました!!」

「「「ほぉーーー」」」


・・・・・・・・・・

・・・・

「「「収容!!??」」」

クラス中の声が揃った。


「う、うん。3年間拘束されて、この前やっと模範収容者で出てきたので、正直みんなが地区どうこう言ってるのもあんまり情勢わかってない感じです!たくさん教えてねよろしく!」

「「「よろしくできるかそんな危ねぇ奴!!!」」」

総ツッコミ頂きました。


「収容って、何やったんだお前ぇ!?」

「えーと、素行不良・・・?」

「いやなんで俺らに聞くの!?」

「『皇帝』『女帝』そして『犯罪者』?タロットカードみてえなクラスだと思ったら最後にとんでもねえカードきられたな・・・」

これ言ったらそうなるとはわかってたけど、入学早々なんだか変なレッテルを貼られた気がする。この先どうやって世渡りしていこうかな・・・。


――――――――――――――

――――――――――

―――――――

――


「はい、それでは大トリ藤川くんの文字を発表します。ドゥルルルルルル・・・」

「先生ドラムロールなんて今のいままでやってなかったでしょ?なんで最後の僕だけそういう事するんですか?」

「空気を和らげようとしてんのよ!見なさいこの教室の空気!あなたに対する疑惑、侮蔑の眼差し。ライアーゲームでもこんな空気ならないわよ!」

「な、なんでこんな事に・・・?」

「あなたの経歴が発端でしょーよ!?いいから、発表するわよ!藤川くんの文字は・・・これ!!」

先生がほぼやっつけ状態で発表する。浮かび上がった文字は・・・。



(ワン)



・・・・・・・・・・。

・・・・・・。

・・・?


「え、犬?なにかの文字と間違えてません?」

「『(ワン)』。間違いないわね。あらいいわね、あなたの名前も英訳したら『One』だし。シンクロ性高いと伸びしろも大きいわよ」

「へぇ〜そうなんですか〜。ワンって読み一緒ですもんね〜・・・・とはなりませんよ!!!」

「え、なによ?犬はワンって鳴くじゃない。」

「そうだけど!いや違くて!おかしいでしょ、みんなちゃんとした文字と読み方だったじゃん!僕だけ犬て!ワンって!」

「犬がちゃんとしてないって言うの?動物愛護団体に訴えられるわよ?」

「そうじゃないよお゛お゛お゛!僕も『拳』とかが良かったよォ!!」

「やだよ、なんで俺と被るんだ。拳は俺のもんだ。ぶん殴るぞ(ボコッ)」

「痛い!カイくん殴ってないそれ蹴ってる!ワイヤー巻きにされてるからって足を出すな!」


何故だ。確かに犬関連には因縁はある。しかし何故文字までそれになるんだ!

「まあ、渡される文字はその人の性格や経験とかが関わるから。きっと藤川くんには『犬』がチラついてたのよ」

「なんだそりゃあ!犬でどうしろってんだぁ!」

簀巻きのまま身をよじる。抗議の意を示すかのように。僕はよじった。


「うわ、まじのイモムシみてえ」

「犯罪者かと思ったらイモムシだし犬らしいしエグいなコイツ」

「イカレ野郎だよ、関わらんとこ」

「あぁ!みんな!そんなヤベー奴を見る目で見ないで!僕は真っ当に生きてきたんだ!きっとみんなが思ってるような人間じゃない!・・・はずだ!信じてくれ!」


「「「ヤベー奴はみんなそう言うぜ」」」

ちくしょう!このわからず屋クラスめ!

「ほら時間もないんだし、授与するわよ。ほいっ」

「ああ先生!そんな躊躇なくうおあぁぁぁーーーー!!体が謎の反応をぉーー!?(メキメキメキ)」

文字が身体へ流れ込んでくる。僕の身体は人間の姿からメキメキと縮んでいき、最終的に―――



「・・・わん。」


犬になりました☆


「「「(クラス中)わあ、ダックスフント♡」」」


―――――――――――――――

――――――――――

―――――――

―――


「えー、以上で文字の授与と自己紹介終わりです!みんな仲良くするのよ!」

「「「・・・・・」」」

みんなの視線が主に僕に突き刺さっている。そりゃそうだ。悪名を轟かせて『皇帝』だのって感じで注目されるならまだ誇り高いだろう。

僕といえば、初見で『犯罪者』だ。しかも今は『犬』だ。戻り方がわかんないから犬でいる他ない。そんなやつ怪しんでガン見する。3度見するレベルでガン見する。僕も第三者目線ならそうしてた。でも第一人者も第一人者。むしろ最前線だ☆



「・・・はい、という事で!みんなに文字が行き渡ったところで、実際にそれを使って何するの?という実戦映像を見に行きたいと思います!さあ視聴覚室へGO!」

空気の気まずさを感じた先生がすぐさま次のプログラムを移ろうとする。賢明だと思います。僕も目線が痛いです。早く別の所へ行きましょう。


「――おい、おいイチ」

後ろからカイくんが話しかけてきた。何か犬から戻る手筈でも知ってるのだろうか。期待を込めて振り向く。


「お前犬なら歯ぁ鋭いだろ。このワイヤー噛み切ってくれ。あの警備員共キツくしすぎだよこれ」

「・・・・・(ガブっ)」

「っ痛ぇーー!!!てめぇワイヤー噛めっつったろ!誰が手ぇ噛めなんて言ったコラァ!?」


有益なことをしてくれない奴なんて助ける意味なし。牙を向いてやる、文字通りな。あっ、今上手いこと言った?これ決め台詞にしよ!

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