全てを話した
「ロミオ殿下とは初対面だったかと思いますが」
「数年前に行われた貴族と財閥の交流パーティーに出席していただろう? 覚えているよ」
まさかそんな過去の情報から引っ張り出してくるとは、さすが王子だ。
「しかし確かその後、君はアウトロ男爵と結婚しただろう?」
「えぇ。そうなのですが……」
私は気まずそうに頷く。
このまま王子に伝えてしまえば、結局あの男がいる家に強制送還されてしまうのがオチだろう。
絶対に戻りたくないので、どう言ったらいいのか言葉に悩んでいた。
「そうか、分かったぞ! あの完璧なアウトロ男爵とはいえ喧嘩でもしたのか? うんうん、それもわかる。完璧とはいえ同じ人間。近くにいればいるほど喧嘩も絶えないよな。だからグレてあのような場所にいたのだな?」
冗談っぽく笑っているが、そんな緩い話ではないのだ。
「いえ、違いますが」
「はっはっは、これは冗談だよ。喧嘩程度であのような場所に財閥令嬢ともあろう方が一人でいるなどありえんからな」
どうやらロミオ殿下は公の場以外ではお気楽で楽しそうな人なのかもしれない。
私の周りにはいないタイプなので新鮮である。
「良かったら何があったのか聞きたいのだが」
今度は真剣な表情になっている。
そんなにイケメン顔からジッと見られたら恥ずかしい。
「重い話になってしまいますが、殿下に話してもいいのでしょうか……?」
「構わんよ」
にこやかな笑顔のロミオ殿下を相手に、私は重い口を開き始めた。
♢
文句や愚痴というのは始まったら止まらない。
私はサーヴィンのやらかしていることや愛人のこと、金目的で私と結婚したことを知ったことなど全てを吐き出した。
それでも殿下は静かに頷きながら最後まで聞いてくれた。
「すみません長くなってしまって」
「確かに重い話だな……」
にこやかだった殿下の表情はいつの間にか深刻なものになっていた。
「あの男爵がそのようなことをしているとはな。とても信じ難いが事実なのだろう」
「え!? 殿下は私が言ったことを全て信じるのですか?」
いくらなんでも王子ともあろうお方がいきなり『はいそうですか』などと私の発言を信用する方が難しいはずだ。
ロミオ殿下も言っていたように、サーヴィンの知名度を考えたら私の発言など理解できるはずもない。
しかし……。
「可笑しなことを言うのだな。君を疑うくらいなら最初から聞いたりしないし、聞いたとしても途中で話を中断させるに決まっているだろう」
聞いてもらえるだけでも嬉しかった。
溜まっていた悩みを話しただけで、気持ちが少し楽になれたのだから。
「さて、早速この前代未聞の事件に関して、ルーンブレイス国を使ってでも徹底的に調査し、締め上げようと思うのだが」
「え!?」
今この人、締め上げるって言った?
公の場ではこんな発言一度も聞いたことがないぞ。
第一王子の発言としては無茶苦茶ではありませんかね……?
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