ロミオ殿下
「うーん。ここは、どこ……?」
気がついたら天蓋付きベッドの上にいた。
確か私は気を失ってしまったような……かなり長い間眠ってしまっていたような気がする。
最後に覚えている記憶から察するに、助けてくれた人達がわざわざ運んでくれたのだろうか。
「あれ、服も新品に、しかも可愛い……」
今着用しているのは破れてしまった服ではなく、お姫様が着るような服に変わっている。
脱がされたのかも知れないが、そこは仕方がない。
そもそも私の不注意で起きてしまったことなのだし、今は助けてくれたことに感謝しておこう。
「あぁ、まだ気持ち悪いわね、誰もいないし……もう少しだけ」
ここがどこなのかはわからないが、今もなお目眩もするし気持ち悪いので、再び横になって休ませてもらった。
横に男が寝ているわけでもないので、多分悪いことはされないだろうと思いたい。
目を閉じ、再び眠りにつく。
「気分はどうだ?」
目を開くと、先ほどの気品の高そうな男が、心配そうな顔をしながらこちらを見ていた。
襲ってくるような雰囲気もないし、本当に心配してくれているのだろう。
「助けてくれたのね、ありがとうございます。少し目眩がするけれど、歩けなくはないと思うわ」
「そうか、ゆっくり休んでいくがいい。おっと、服に関しては女性の使用人が着替えさせているから安心してくれたまえ」
使用人がいる家、部屋の雰囲気、目の前にいる男の服装、どれを見ても庶民ではない。
伯爵、いや、もしかしたら公爵様かもしれない。
残念ながら、私は貴族の名前は知っていても、顔までは認識できていないのだ。
「あなたは……?」
「そうだった、紹介が遅れた。私はロミオ=ルーンブレイスだ」
「えぇぇ!?」
私は驚きのあまりベッドから飛び起き、慌てて跪いた。
「顔を上げてくれ。病み上がりだろう?」
「そうはいきませんロミオ第一王子殿下。知らなかったこととはいえ、敬語も使わずご無礼を……」
「かまわんよ、むしろ居心地がよかったぞ」
私はキョトンとしてしまう。
「ほら、私が王子だということで平伏した態度を取るだろう? 実のところあまりそういうのは好きではなくてな。君みたいに気軽に話しかけてくれる方が心地良いのだよ……おっと、このことは皆に内緒にしておいてくれると助かる」
「は、はぁ……で、では改めてロミオ殿下、助けていただきありがとうございました。申し遅れましたが、私はソフィア=アウ……ソフィア=ハイマーネです」
もう私の脳裏には離婚のことしかないので、これからは私の旧姓で名乗っていくことにしようと、今決めたのである。
ロミオ殿下は目を大きく開いて驚いているようだった。
「ソフィア? もしやハイマーネ財閥の令嬢か!?確かにその顔……見覚えがある」
まさかロミオ殿下にまで私の名前を知られていたとは名誉なことだな……。




