絶体絶命からの助け
頭の中がパニックになっていたので慌てて家を飛び出してしまったのだが、せめて財布くらい持ってくるべきだった。
馬を使わなければお父様のいる実家までは帰れない。
かと言って、今取りに戻るのも嫌なのだ。
「はぁ……この先どうすれば……」
あてもなく無意識にフラフラと歩いていたので、滅多に人が通らない路地裏に入ってしまった。
「おい姉ちゃん、君一人か?」
「めっちゃ可愛いじゃん。釣れない顔してるけど彼氏にでもフラれた?」
チンピラのような男二人に絡まれてしまった。
無言で通り抜けようとしたが、腕を掴まれてしまう。
「離して!」
「おいおい、俺たちは忠告してやってんだ。こんな人通りがない道に女一人で歩いてちゃあぶねーぞって」
「ま、あぶねーというのは身体で教えてやるつもりだがな」
ニヤニヤ笑うチンピラ。
恐怖しかないので必死に抵抗するが、男相手に勝てない。
なすすべもなく押し倒される。
「まずは金目のものをもらっておこうか。授業料だからな」
「……」
何もいえないしどうすることもできない。
服のポケットに強引に手を突っ込まれたが、当然今の私は無一文だ。
「ち……可愛いくせに貧乏人か!」
今度は服を強引に脱がせようとしてきた。
「やめて! 離して!」
「いいねぇ……その悲鳴。どんどん叫ぶがいい、誰もこないし」
力で強引にされるがままの状態になってしまい、服が破れて下着が顕になってしまう状態になった。
もう私は終わった。
せめて、幸せな恋愛結婚を送りたかった……。
さようなら私の人生、ヤられたら選択肢は死ぬしか道はない。
もうどうにでもなれ、私は覚悟を決めて目を閉じた。
「おい! 何をやっているのだ!?」
「「な!?」」
数人の走ってくる足音がする。目を開けて恐る恐る見てみると、見るからに気品の高そうな服装を纏った男と黒服の男達がこちらへ向かっているではないか。
「待て、俺たちが先だ! その後お前達にこの女の身体を堪能……グフウウウゥゥゥエエ!!」
「ぐはぁ!」
チンピラは黒服の男達に腹を一撃殴られ、苦しそうな表情をしてその場に倒れた。
黒服の男達、かなり強い。
「大丈夫か? いや、大丈夫ではないな」
「……」
気品の高そうな男も、どうやら私を襲うつもりはなさそうだ。だが、恐怖の感情が抜けなくて声がでない。
「とにかくまずはこれを羽織れ」
如何にも高そうなコートを脱いで、私の身体にかけてくれた。
黒服の男二人によって、チンピラ共は引きずられながら何処かへ連れていかれる。
「あ……ありがと……」
「むしろすまなかった。君が路地裏に入っていくのを見かけたから気になって跡を付けてみたのだが、すでにアイツらに襲われている最中だった。もう少し早く行動していれば……」
「そんな……助けてくれただけでも……」
気が抜けてしまい、私はその場で気を失ってしまった。




