我慢の限界
ラランカの口調が礼儀正しく戻った。
どんなにおしとやかな素振りを見せても、さっきの間抜けな姿を見てしまっては信憑性もない。
「失礼ながらハッキリと言います! ラランカさんもサーヴィン様も常識がないのでは? 妻の前で堂々と不倫行為を行い、認めてもいないのに結婚をしようとするなどあり得ませんが」
この国では不倫行為が許される特例もある。
正確にいうと許される訳ではないが認める場合だ。
それは何らかの理由があり、妻が書面を通した上で公認した場合のみ許される。
勿論私がそんなものに書いた覚えもない。
「お前はいずれ書面に書かざるを得ない状況になる。そうなる前に大人しく認めたほうが利口だと思うが」
ついに脅迫まがいのような発言になってきた。
そのうち暴行に発展するのではないだろうか。
流石に力では勝ち目がないので、いつでも逃げられるように一歩距離を置く。
「私は絶対に認めませんし、あらゆる手段を使ってでも離婚しますので!」
意思は変わらないことだけは伝えた。
「どんなにお前が金持ちの娘だとしても所詮は庶民。貴族の私と結婚したのだから逆らう権利はないだろう?」
「ヴィントロったら頼もしいー。ということで、アタシもはっきり言っておきますね。アタシも庶民ですし、第二夫人でもいいんです。それにソフィア嬢がいてくれれば金の心配もないでしょう? だからアタシ達にとって必要不可欠な存在なのです」
この人達ははっきり言ってきた。
所詮私など金のための道具に過ぎないと思っているわけか。
だから堂々とここまで抱き合ったりできるのだろう。
「もしソフィアが共同生活は嫌なのなら、民家を借りてやってもいいぞ」
「トイレと風呂付きで三畳くらいの部屋を提供すれば充分でしょう?」
「そうだな、私は優しいからな。どちらにしても放っておいてもソフィアの親が亡くなったら相続でガッポガッポ金が入る。それまでの辛抱だよラランカ姫」
よくもまぁここまで堂々とゲスな発言をできるものだ。
私が周りに言いふらしたとしても聞いてくれないとでも思っているのだろうか。
「お父様の命をなんだと思っているのです!? そこまでお金に執着しますか!?」
「いくらでも吠えればいい。外の人間は皆、私のことを信頼してくれている。どう吠えようが信じるわけがないだろう」
自信に満ちたサーヴィンの発言がグサリと刺さる。
もう全てがどうでも良くなった。
私のことだけ侮辱するならまだ耐えられたが、お父様のことまで金としてしか考えていないような発言に許せなかったのだ。
私は何も言わずにこの二人の前から逃げるように立ち去り、家を飛び出した。
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