最強最恐コンビ
「ソフィア、今日は王宮へ向かうぞ」
「お父様。ちゃんとアポ取った?」
「大丈夫だ! 俺が行けばそれだけでアポを取ったも同然だからな」
大丈夫なわけないだろ!
「もしもロミオ様が外に出ていたら?」
「パパと王宮へお出かけして楽しかったな、じゃあご飯でも食べて帰ろうか、というプランに変更されるから問題ない」
問題大有りだ。お父様のポジティブな性格は見習いたいが、ポジティブすぎるだろう。
それに行き当たりばったりで、迷惑かけてしまうかもしれない行動は改善したらどうなんだ。
とはいえ、お父様は真剣モードになりそうなので、素直に従っておく。
♢
「レイン様。誠に申し訳ございません。国王陛下が出席されている大事な会議にロミオ殿下も出ているため、席を外しております」
「そうか、じゃあ王宮内で待たせてもらおう。あ、それと、レイン=ハイマーネが来たぞと会議の者に伝えておいてくれ」
強行突破!?
流石に国の大事な会議を放置してまで呼び出すのはダメだろう。そもそも、会議を放置して会いに来るわけがない。
王宮内の一番偉い人が入ると思われる客間で待つことになった。
会議と言っていたから多分三時間くらいは待つだろうな。
はぁ……。こんなことなら王都で買い物でもしてくれば良かったなぁ。
「すみませんレイン殿! お待たせしました」
「はやっ!!」
思わずそう叫んでしまった。
私達がこの部屋に入って僅か数分。
ロミオ様が息切れしている。おそらく走ってここまで来たんだろう。
「ロミオ様、会議はどうしたのですか?」
「ソフィア令嬢、心配してくれる気持ちは嬉しい。だが、レイン殿の方が優先だ。もちろん国王の父上も了承済みだ」
国の会議よりもお父様を優先されてしまった……。
お父様とロミオ様の対談は、国の会議を犠牲にしてまで話すことの内容なのだろうか。
さっきから会話が酷すぎる。
「ロミオ君、君ならどっちを選ぶ? やはり水に混入するのは下剤でなく激辛の香辛料の方が良かっただろうか?」
「いえ、下剤で良かったかと。こちらとしても部下に指示していましたので。あの辺り一帯の水道管を緊急メンテナンスさせましたので、『見た目は飲める水』で正解だと思いますね」
「俺からは近隣の住民の方に温泉旅行を招待した。幸いあの辺りに住む家主の仕事先が、俺の運営している現場の者たちだったから、スンナリと受け入れてくれたよ」
「おかげで近所から食料を調達する可能性を断つことができました。さすがレイン殿!」
どうしてこうも楽しそうに会話が出来るのだろうか。
こんなことのために物凄いお金を使っているし……。
「報告もあったが……今日は念のために来たのだよ。もしかしたらサーヴィン君が大泣きしながら王宮に抗議しに来るかも知れないだろ?」
「男爵にはもう少し粘って欲しいところですがね……」
「だろ!? 俺もそうは思っていた。だが、スパイさせた者からの報告によると、家に食料と水がないそうだ。飲食がないのはさすがに困る」
あれだけ貯蔵していたのにもうないのか。あぁ……私の大事にとっておいたクッキーが……。
それにしてもサーヴィン達大丈夫かしら。お父様まで心配しているのだから相当ヤバいだろう。
「死んでしまっては遊べなくなるからな」
心配でも何でもなく、自分の趣味の為に生かしておきたいだけのようだ。
お父様容赦がなさすぎ。
「王都の中で頼れるのはもうこの王宮くらいだろ?」
「そうですね。万が一王都から外に出てしまう恐れも考えられたため、王都の全検問所にはアウトロ男爵の遠出を禁ずるよう命じてありますので」
ロミオ様も容赦がない!
最強で最恐のコンビだわ。
ロミオ様がため息をはいていた。さすがにこれだけ色々とやっているのだから疲れてもおかしくないだろう。
「申し訳ありませんレイン殿。水道とペットフードくらいは支援しておくべきでした」
……もう二人にツッこむのはやめよう。私が疲れる。
「残念だが仕方がない。サーヴィン君が来ないことを願おう。そこでだソフィア。このあとの流れを先に話しておきたい」
ついに私も何かするときがきたらしい。
変なことには加担したくはないが、元はといえば不倫行為をしたあの二人がいけない。
「何をすれば良いの?」
「法廷の間を使う。そこの使用許可申込書を今から書いてほしい」
お父様の言葉を聞いて心配になる。
「本当に来るの? 来なかったら……」
「ソフィア令嬢。心配はいらない。使用許可の範囲を最長の一週間に設定しておけば良い。その間には確実に来るように計画しているのだから」
何が何だかわからないので、言われたとおりに法廷の間を使えるように自筆した。




