愛人が来た
「本日はお招きいただきありがとうございます。ラランカと申します。捨て子なため家名はございません」
サーヴィンの連れてくる相手だからゲスな女が来るかと想像していたが、第一印象は真逆だった。
私から見ても、おそらく誰が見てもラランカを見て可愛いと言うだろう。
しかも挨拶もできるし礼儀も弁えていそうだ。
とはいえ、サーヴィンの不倫相手という可能性もあるので油断はできないが。
「ご丁寧にどうも……。サーヴィンの妻、ソフィアです」
別れる気ではいるが、あくまで今は妻だ。そこのところは二人に強調しておいた。
不倫は絶対に許さないからである。
「ほう、ソフィアも私の妻だと考え直してくれたのは嬉しい。これからは親友とも仲良くやっていけそうだな」
そうじゃない。
勝手にプラス思考で考えるな。
「サーヴィン様、ラランカさんとは何処で知り合い、どのような仲なのでしょうか?」
これまでの情報だけだとはっきりと不倫だとはわからない。
捨て子と言っていたラランカさんの態度を見る限りでは、第一印象は好感触だ。
本当に二人は仲がいいだけなのかもしれない。
……と、思ったのは一瞬だった。
「なんでもいいだろう。どうせソフィアは私たちの関係を疑ってくるのだろ? だったら先に教えてやろう」
サーヴィンはラランカさんを抱きしめ、あろうことか私の見ている前で唇を交わした。
これほど屈辱を受けたのは初めてだ。
「ヴィントロー、奥さんの前でこんなことしちゃ悪いわよー」
急にラランカさん、いや……ラランカは勝ち誇ったような表情をしながら、口調が間抜けになった。
しかもヴィントロって何だ!?
気安くあだ名で呼ぶような関係なのか。
「ラランカ、私は君のことだけを愛している……。コイツにバレてもどうせ何もできんよ」
はぁ!?
今何つった!?
妻の私を『コイツ』とか言っていたよな。
内心大噴火状態だが、表には出さないように必死で堪えている。
「それにいずれ愛人ではなく、第二夫人として迎え入れるのだから遅かれ早かれ紹介することになるし、今こうしてても変わらんだろう」
「……は? 私は承認した覚えはありませんが」
私達が住んでいるルーンブレイス国は一夫多妻制度だが、第二、第三と迎え入れるためには正妻の承認が必要不可欠なのだ。
「大丈夫だ。ソフィアは半年以内に認めるしか選択できなくなる状況になる」
サーヴィンも勝ち誇ったような顔をしていた。
私だってここまで言われっぱなしでは黙っているわけがない。
「もう結構です。なんと言おうとサーヴィン様とは離婚します。なのでお二人はお幸せにどうぞ」
「奥さん、いえ奥様。それは考え直していただけませんか? 私はあなたと一緒の家族になることを望みます」
何を言い出すのだこの女は!




