【視点】ラランカもだと!?
家に帰ると、ラランカが不機嫌そうな顔をして待っていた。
だがそんなことを考慮している暇はない。
「ラランカ、聞いてくれ」
「ヴィントロー、聞いてよ」
会話がユニゾンしてしまった。だが今は引けないので私から喋る。
「どこの店にも入れないのだ!」
「どこの店からも入店拒否されたの!」
「だから何か買ってきてくれないか?」
「だからご飯買ってきて欲しいの」
「「えーーーーーーー!?」」
お互いに会話を引かずに主張しあったところ、見事に会話が被ってしまった。
更に、全く同じタイミングで奇声を発した。
そして同じようなことを言っていることに気がついた。
「お前もなのか!?」
「ヴィントロも!?」
また発声が被ってしまう。私達の相性がバッチリだということだが、今はふざけている場合ではない。
「このままでは私もヴィントロも不自由な生活になってしまうわよ……!?」
「そうか! 今の言葉でわかったぞ! おのれソフィアめ……」
私は歯軋りを立てながら苛立っていた。
「どういうこと?」
「ソフィアが犯人だ! きっと離婚ができない腹いせだろう。親の権力を利用してありとあらゆる店に私とラランカの出入りを禁止するようにソフィアが命じたのだ。あの財閥令嬢が親に無理やりでも命じれば、そのくらいの権力は持っている。元々ヤンチャな性格だったし有り得る話だ」
黙って聞いてくれたラランカも怒りを隠しきれない状態のようだ。
「まぁ! 何という卑怯な女!」
原因はこれでわかった。あとは解決させれば良い。兎にも角にもまずは生きるためにするべきことがある。
「とにかく……今は腹が減った! 仕方がないから家にあるもので食事だ」
「アタシも……おなかすいたし喉がカラカラ……。あ……でも──」
「とにかく用意する」
普段ソフィアに任せていたし、最近もラランカ任せだったからな……。こういうときは私がしっかりしないといけないだろう。
キッチンに何か食べるものが無いか物色しにいったのだが、異変に気がついた。
「なぜだ……。あれだけ貯蔵していた食べ物がない!」
すぐに犯人がわかった。流石に殴ってやりたくなる。
「くそう、ソフィアのやつめ!」
嫌がらせにも程がある。店に出入り禁止という上に、私たちが外出中を見計らって食材まで全部奪っていくとは……。
私を殺す気なのか!?
苛立っている最中、ラランカがキッチンへやってきた。
「ごめん、珍しい食材がいっぱいあったから、数日間で全部食べちゃった……」
「な……」
そうだったのか、ならば前言撤回だ。
ラランカのお腹に入っていったのならば責めることもあるまい。
ソフィアは卑怯者。だが、ラランカは私の愛する人間だからこんな些細なことなど許されるのだ。
とは言っても、食べ物がないのは困ったぞ。せめて水だけでも……。
だが、水道の蛇口をひねるが水が出ない。
「どうなっている……? このままでは死ぬぞ……!」




