作戦が酷い
「我国ではたとえ夫婦間であっても他人の封書を勝手に開封することは重罪になります。これも離婚の理由にできるかと思いましてね。あわよくば男爵が手紙の内容に惑わされ、私とソフィアが不倫関係にあると思い込んでくれれば更にいいのですが」
ないない。百万歩譲って手紙を開封してしまったとしても、あの文章だけじゃ不倫だなんて思えるわけがない。しかも相手は王族だ。そもそも王族が私なんかと結婚やそういった類の関係になるほうがおかしい。
そうは思っていても、お父様たちの対談はどんどん進んでいく。
「なるほど、ならば俺も次の策とラランカへの制裁も容易にできそうだ」
「お父様! 今度は何をするつもり!?」
仮にもだ。お父様たちの怪しい制裁が本当に予定通りに進んだとしよう。ロミオ様はわからないけれど、お父様の仕打ちはきっとろくでもないことだ。
この辺りまでやってれば、もう十分ではないか。
それでもまだ何かやろうとしているので、流石についていけない。
「ラランカに関しては俺も経営者として被害者なんだ。金の持ち逃げは重罪だろ?」
そりゃ窃盗なんだからそうだけど、ついでみたいだし、私はあんまり乗る気ではない。
「しかもあの娘は店で一番の人気者だったらしい。いきなり穴が空いたのは痛手だったそうだ。まぁこれは逆恨みだがな」
ちょっと……お父様! 経営者でしょう。逆恨みで変なことをしたらダメでしょう……。
「ラランカもそうだが、サーヴィン君の本来の性格と行動なら、次に行いそうなことは概ね想像ができるじゃないか」
「何をする気!?」
「二人には、俺の関わっている店舗や施設は全面出入り禁止措置としよう」
「どうやって……?」
王都内だけでも半数以上の店や施設がお父様が関わっている。
その上、サーヴィンがどこを歩くかどこへ行くかもわからないのに、いきなり全てを出入り禁止にするのは難しいんじゃないのか。
「専用の警備員を千人規模で雇ってしまおう。日雇い派遣ということにでもするか」
「はぁ!?」
無茶苦茶すぎる。しかもそんなことをすれば大赤字だろう。
「ソフィアよ、きっとそんなことしたら人件費の無駄遣いとでも思っているだろう?」
「えぇ。だから──」
「これはパパの趣味だ。如何にターゲットを困らせるか。見てて楽しいじゃないか! その為には少々の金の出費など拝観料に過ぎんよ」
お父様の目が笑っている。これはマジなんだ……。
仮にも、そんなことをすれば、サーヴィンたちの行き場はほぼなくなるだろう。
たとえサーヴィン達がどんなにお金を持っていようとも、使える場所が大幅に減ってしまえば物が手に入り辛くなり、不便になるのは間違いない。
「こんなのは序の口だよ。まだこんなことはスタートに過ぎないのだからねぇ……。ま、パパに任せなさい」
「なるほど、レイン殿はそう出ますか。ならばそれに便乗し、私も次の手を打ちましょう」
なんなのだこの二人は。どんどんと話を進めていってしまう。
あの、そもそもの話ですが、私が一番の被害者なのだから会議に混ぜてください……。




