王子が一般市民に敬語を使う
「ソフィア、これから王宮へ向かうぞ」
「すぐ準備する」
お父様は大事な用事があるときも当日になってから言ってくるのだ。
私は大急ぎで準備を整える。
「ところで、今日は王宮へ何しに行くの?」
「ロミオ君と話がしたい」
「え……!? 対談するって伝えてあるの?」
「現場に行けばなんとかなる」
お父様の行き当たりばったりな行動はなんとかしてほしい。
今まで何度も突発的行動を繰り返してきているが、何故か迷惑がられないから不思議だ。
護衛と使用人も何人か連れて、王宮へ向かった。
♢
お父様の顔パスによって王宮の検問も素通り。お父様の立場としては一般民衆。これで良いのだろうか……。
私たちは馬車から降りると、早速応接室へ案内された。
いきなり押しかけているのだから、数時間待たされてもおかしくないだろうな……。
王族は忙しいはずだ。
それからすぐ後。
「これはこれはレイン殿にソフィア令嬢。ようこそお越しくださいました」
来るの早っ!
しかもロミオ様が敬語を使っている!
「よう、久しぶりだなロミオ君! 男気が増したではないか」
こっちはタメ口!?
お父様っ!
私も人のことは言えないけれど、少しは立場わきまえて!
「先日お会いしたばかりでしょう。ソフィア令嬢もよく来てくれた。歓迎する」
「お父様の発言が……申し訳ありません」
私は頭を下げる。
それなのになぜか二人とも大笑いを始めた。
「ソフィア令嬢よ、気にすることではないぞ。私も父上もレイン殿には助けられてばかりなのだからな。私や父上がレイン殿に対して敬意を示して当然なのだ」
「俺は助けた覚えはないと言っているだろう。好きでやっているだけのことだ」
「いえいえ、そのおかげで国が大きく発展できたことは事実ですから。もはやあなた無しでは国が滅びます」
お父様と王族との対談に一緒に同行するのは初めてだったので、色々と驚かされてしまった。
「今日は国を滅ばないようにするためにここへ来たのだよ」
「概ね察しはつきます」
二人とも私の方へ視線を向けてきた。
「あぁ、私でもようやく理解ができました。離婚のための準備を進めていただけるのですね」
「うむ。ソフィア令嬢とアウトロ男爵との関係を途絶えさせてから奴の本性を広げていこうかと考えている。既に手は打ってあるのだがな」
「ロミオ君、それでは面白くないだろう。ソフィアが離婚してしまったら俺の方からの罰ゲームが減ってしまう」
お父様の意見だと私が困ることになってしまう。
腐ってもサーヴィンとは夫婦という関係だ。
旦那が何かやらかした場合、妻の私にも責任が及んでしまうじゃないか。
「あの……私のことも少しは考えてほしいんだけど……」




