女たらしの旦那と離婚したい
「サーヴィン様、良い加減に不倫行為は自粛なさってください」
「ソフィアよ、私の場合は不倫でも浮気でもない。本当の愛があってこそなのだから私に悪意はない」
私の旦那サーヴィン=アウトロは何かと理論付けて正当化しようとしてくるのだ。
丁度一年前に結婚をしたが、それまでは浮気の類は一切なかった。
財閥令嬢の私でも、めでたく恋愛結婚で幸せになれると思っていたのだ。
だが、入籍してからは取っ替え引っ替えに女遊びをしていることを知った。
「ここまで女癖が悪いとは思いませんでした。もう限界なので離婚調停に入ろうかと考えています」
真剣な話をしているのに、サーヴィンはニヤリと笑う。
「そんなことが許されると思うのか? 私は男爵だぞ。対してソフィアは財閥令嬢とはいえ庶民。不倫と騒いだところで誰も信用するわけないだろう」
「ぐ……」
確かにサーヴィンは、外面が非常に良いため周りからの評価はかなり高い。
不倫、女垂らし、浮気症という極悪三冠な性格さえ除けば、出来る人間なのだ。
「お前からの申し出に、誰が認めると思うのだ?」
「サーヴィン様……卑怯ね……」
サーヴィン様と敬ってはいるが、こんなゲスな女たらしの男などに『様』など付けたくはない。
完全に冷めているので、夜の営みも最近は当然ないくらいだ。
「なんとでも言うがいい。今だからはっきり言っておくが、君と結婚した理由は主に金だ。金さえあれば、私が上位貴族に昇格するための関門すら解決できるのだからな」
前言撤回、極悪三冠な性格どころではなかったようだ。
『外面だけは完璧な女たらしの非情男爵』とでも命名しておこう。
「いや、もう別れたい……」
「落ち着けよソフィア、お前は勘違いしている。私が上位貴族になれば、国から毎年多額の年俸を貰えるのだぞ。つまりお互いに金に困らなくなるのだ。これは君にとっても有益なことなのだぞ」
ごもっともらしいことを言っているが、考えが甘い。
私の資産だけでも、どんなに少なく見積もっても伯爵クラスが貰える生涯賃金の数百倍以上は持っている。
正確に言うとお父様名義で私の資産を管理してもらっているから、離婚の時に奪われる心配もない。
勿論私がそんな財産を持っていることは今までサーヴィンには一言も告げていない。
金目当ての結婚の可能性もあるから数年間は様子を見ろとお父様に言われていたが、まさか本当になるとは思わなかった。
「私のことをお金だけで判断しないで欲しかったですね」
「なんだと? 私とて被害者だぞ。財閥令嬢だからもっと金を持っているかと思っていたのだが、蓋を開けてみれば私と同額程度しか持っていないではないか……。これではその辺の貴族と結婚していればまだ良かったと何度思ったことか。だがそれでも君の父親の力を借りればまだチャンスはあるからそばに置いているのだよ。親に感謝したまえ!」
私は恋愛に浮かれてしまい、表面上の性格しか見えていなかったらしい。
今となっては結婚に対しての後悔しかない。
「離婚は諦めろ。私のためにこのまま妻として生きるのだ。そうだソフィアよ、これも正統性のある行為を前提として言うのだが、近々我が家に一人招き入れる女性がいる」
「え!?」
「私の親友だ」
私の脳内では、サーヴィンの異性の親友=不倫相手というイメージになってしまうが、おそらく間違ってはいないだろう。
ついにこっそり不倫をするだけでなく、堂々とするようになってしまったのか。
どこまでゲスな男なのだ……。
どうやったら離婚できるか、考えなければならない。
本作品もご覧いただきありがとうございます。
完結まで更新確定作品ですので、面白そうだなと思っていただけたら引き続きよろしくお願いいたします。




