表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/36

神話が2人に降ってきた

私達は宿屋を西門側で探す事にした

『選びの森』は西門からだと徒歩で地球時間で6時間程、馬を借りて行けばもっと早く着けるだろう。


もしも森が私達を迎い入れてくれたなら馬を飼うことも視野に入れて考えようと言う事になった。

私は全然乗った事がないので教えてもらわないと………


これからは必須になりそうだし私を乗せても良いよと言ってくれる優しい子に巡り会えるといいな。

その前に森と面接があるけれども、私だけ断られたら悲しいな


この国に宿屋は3軒あり西門の宿屋は『森への道』と言う分かり易い名前の宿屋。

気さくな御夫婦が娘さんと3人で切り盛りしてるそうで一階に受付カウンターと奥に食堂兼、夜は酒場もしている。

夜だけは主人が変わりライナスさんと言う少し変わった…失礼、少し女性ぽい男性が切り盛りしてる


昼宿屋をしている家族さん達は旦那さんがビクターさん、奥さんが、ヘレンさん娘さんが、ジェシカさんだと紹介してもらった。


後から聞いた話だけど、夜の酒場のマスターライナスさんは、この宿屋夫婦の長男さんで、結構有名人なんだって。

どんな有名人なんですか?って聞いたらその内分かるわよとジェシカさんがウインクをしながら答えてくれた。


部屋は当然一部屋一応夫婦だから。

アーデンと同じ部屋にいても何故か危機感が感じられない……

嬉しいやら寂しいやら、仕方ない事だけど。(子供の作り方知らない人だし今の所私から教えるのも恥ずかしくて)


部屋にある椅子に座り明日の予定を話し合う

森についてからどうするか。受け入れてもらえたらまずはそこに住んでも良いか聞いて場所を確保、この宿を基点に通いながら進めることにする大変だろうけど2人の家、持てたらいいな。


「アーデンもう寝る?」眠そう


「寝る」


「ふふ、極限的に眠いのね」

ベットに横になるとすぐに横から寝息が聞こえる


アーデンが何となく言った言葉を思い出す。こんなに何も考えずグッスリ眠れたのはいつの頃以来だろうかと

私の横で眠る事がアーデンの安らぎになった様で凄く嬉しかった。


「寝てるよね?アーデン?」返事がない。少し勇気を出して額にキスをしてみる

「おやすみアーデン、良い夢を見てね」そして私も眠りにつく



普段の俺は寝付きが悪い。

何かに怯えて寝付けず朝方になると急に爆睡し普通に起きるそんな毎日。

絵里子と旅を始めた最初の頃はやはりそんな感じだった。

守らなければと言う気持ちが強く眠れないで横になる程度。


それが今は絵里子の隣だとおかしな位良く眠れる。

気配が有ればすぐに目が醒めるのだがそれでも朝はすっきりと目が覚め気分が良い

しかしだ、今日はもう眠れそうに無い…………。

絵里子が俺の額に在ろう事かキスをくれたのだ。

これは、どうすれば良いのだろうか。どうするのが正解なのだろうか……

ジジ様に聞いておけばよかった事が増えてしまった。

済まない絵里子…………明日は寝坊しそうだ。



次の朝珍しく私より後にアーデンが起き始めた

良く眠れなかったのかな?久しぶりのボサボサ髪を見て可笑しくなる


「すまない、寝坊した」


「ほんの少しだけだし、それにいつもは私の方が遅いんだもの」


「そうか」


「そうよ」そう言っていつものようにおはようのキスを頬にする。

毎朝正座して待たれたらせざるを得ないもの。


顔を洗い、アーデンの髪を結って、着替えて食堂に向かう これが今の私たちの日常

「「おはようございます」」


「あら、おはよう」ヘレンさんが忙しそうにしながらも挨拶をくれる


食堂の席に着くとジェシカさんが「今日は良い天気になりそうよ」と返してくれる


今私は少しでもこの星の食事について覚えようとしてます。

自炊経験は有るけれどこの星で通用するのかは別で、食材もいちいち味見して頭の中でこの味はアレに近いなとかお店の人に食材の調理方法を聞いて教えてもらったり


アーデンに不味い物は食べさせたく無いと言う私なりの意地。

だってまだ何の役にも立てて無いんだもの、せめて食事位は!

さりげなく、アーデンの好き嫌いをチェックしてます。


今の所アーデンに好き嫌いは無いらしい。私も口に合わない食材は無かったので良かった〜食って何気に大事だものね


「絵里子、食べ終わったか?なるべく早く行きたいのだが大丈夫か?」


「あ!うん、これで食べ終わる」最後の一つを口に入れモグモグ


「ソースが付いてるぞ」そう言ってアーデンは親指で私の口端に付いたソースを拭うと自分の口に……


(まったく さらっとそんな事して、顔赤く無いよね?)ちらっと横を見るとジェシカさんがニタァと。うん、見られたね………


「ア、アーデン食べ終わった!行きましょうか?」ウッ、声が裏返ってしまった


「そうだな」


「じゃ、じゃあ行って来ます」「行ってらっしゃい気をつけてねー」

居た堪れない思いで『森への道』を後にした



「アーデン、馬ってどこで借りるの」


「大抵はどの国も門の近くに有るはずだが……有ったぞあそこだ」


「本当だ分かり易いね看板」馬の横顔の立て看板があった


「絵里子は馬に1人で乗れるか?」


「ううん、馬を近くで見ることも始めて。あんなに大きいんだね私乗れるかな?」


「そうか、では2人用が良いな」


「!な、な、何アレ、あれって馬じゃ無いよね?」


「馬だぞ?この星では移動で乗る獣は皆馬というんだ」


「あ、え?でもアレ………6本足の馬?」


「二人乗り用の馬だからな大きいな」


「あれ?ちょっと待って!私聞いた事が有るわたしの星でも6本足の馬の話」


「絵里子の星にも居たのか?」


「実際には居ないと思う。確か神話の中に出てくる馬で……そうだ!スレイプニル」


「神話?スレイプニル?」


「そう、神話って言うのは神様のお話で、スレイプニルはオーディンが乗ってた馬の事」


「オーディン?」


「そう、凄く知識に貪欲で強い神様だったはず。話ではね」


「なるほど」


「わぁ神話の中の馬が今目の前に居るんだ…………。」


「絵里子、下手に近づくなよ6本脚は気が荒いから乗る人間と相性が合わないと危険だ」


「そうなんだ、でもこの子私の髪をさっきからムシャムシャしてるんだけど」


「おいおい、お前さんこりゃ驚いたな」


「あ!ごめんなさい勝手に近づいて」


「いや、怪我が無いなら別に良いがそれよりも……コイツは余りにも好き嫌いが激しくてな、捕まえてから今迄誰も乗せてくれなくてな……飯は食うが仕事にならんで、どうしたもんかと困ってた所だ………そうだ!

こんなにあんたに懐いてるんだ、どうだ?コイツを買ってくれないかな?」


「え?あ、でもお金が……」


「いや、そりゃ無茶言ってる自覚はあるからな、物は相談で餌代出してくれるなら世話はあんた達が払い終わるまで面倒見るって事でどうだろうか?」


「アーデンどうしよう?」


「いくらだ?」


「アーデン?」


「どのみち脚は必要だそれに……まぁ詳しい事は後で」


「うん、アーデンに任せる」


「そうか!乗ってくれるか!いや〜助かる。どうだろう普通の馬の値段と同じって事で35万アルク。この値段は正直言って捨て値だぜ」


「良いだろう、だがいつ払い切れるかハッキリとは言えないぞ」


「かまわねぇよ、今迄と大して違わないどころか餌代は貰えるんだからな。餌代は出来たら最低でも1週間に一度は入れてくれ。1日辺りコイツは結構食うけどいいか?」


「で?いくらだ?」


「済まないが1日3000アルク掛かる」


「わかった。取り敢えず3日分9000アルク払っておく」


「おぉ!有難うよ、お前も良かったな」そう言ってお兄さんは馬の首を撫でていた。




今私達は馬の上でさっきアーデンが言いかけた事を聞いている

「アーデン、良かったの?」


「コイツはあの値段では安過ぎる。あの人は知らなかったのかもな?」


「そんなに凄い子なの?」


「あぁ、絵里子自分で聞いてみろ」


「あ!そうか私わかるんだった」


私は馬の頭にそっと自分の額を押し当ててみた

[エヘヘ、嬉しいなお散歩 晴れてるし森にも帰れるし。そうだ!水浴びもさせてもらえるかなぁ?エドナ草いっぱい食べたいなぁ]


「! アーデン!この子」


「どうやら森の子らしい。コイツと一緒で森に入れない訳はない」


「す、凄い。しかもエドナ草いっぱいあって食べるって」


「あぁ、さっきからずっとそう言ってる。絵里子が気に入った訳はエドナ草の匂いがしたからだろうな。しかもコイツは一度乗せた人間には心を許す つまり、絵里子はこれからコイツに嫌われる事はない」


「ちょっときっかけが気になるけどでも嬉しい」


「コイツにも名前つけてあげたらどうだ?」


「私が付けても良いの?」


「俺は名付けは苦手だからな」


「この子話し方聞いてるとまだ若いのかな?」


「多分だが1歳ぐらいだろう?」


「そっか、これからも成長するんだね………ってまだ大きくなるの?」


「そうだな、もう少しは大きくなるだろうな」


「今でも充分大きいと思うんだけど…股が痛い」


「ハハ、慣れるさその内」


「そうかな?まぁいいや 名前かぁそうだ、それこそオーディンが良い」


「なるほどな、良いんじゃないか?」


「ふふ、今日から君の名前はオーディンよ、よろしくね」

ブフン ブルル


「知恵と力の神様の名前なのよ。あなたにピッタリね」


「どうやら気に入ったらしいな」 また、家族が増えました。







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ