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新しい家族と入国試験

誤字報告有難うございました!

とても助かります!嬉しいよ〜!

しばらく歩いていると雨が降って来た この星で初めての雨

「絵里子、この雨はこの後強くなりそうだ1度森に入って落ち着くまで待とう」


「わかった。待ってれば止みそう?」


「強くなった後すぐに止むだろうが濡れると良くない」

「そうね」


森の中に入るとアーデンは何かを呟き手を上に上げる。すると私達に降り注いでいた雨がドームを滑る様に流れ落ちていく


「アーデンこれって……私達は今球体の中に居るの?」


「そうだ、空気の膜で覆って雨を避けている」


「凄い、なんて幻想的なの。あ、鳥が」


アーデンが手を差し出し小さな鳥が止まるとアーデンの肩に移動する。

「一緒に雨宿りさせて欲しいそうだ」


ぷっくりと膨らんだその鳥がアーデンに頭を擦り付けまるで有難うと言っているみたい。


「アーデン、アーデンの居た郷ってどんな所だったの?」


「そうだな、何も無い自然だけが有るそんな所だ。若い者はもう俺しか居なかったし ジジ様はこのままこの郷は記憶から消えていくだろうと言っていた」


「寂しかった?」


「話し相手はたくさん居たが心が満たされる事は無かった。それが寂しいと言う事なのだとしたら寂しかったのだろう」

アーデンはずっと空を見上げたまま話しているからその顔を伺う事は出来ないけれどどこか寂しそうで


「絵里子は、この星に来た事で今寂しいか?」


「それが不思議なの 全然寂しいと感じないの。きっとアーデンと出逢って色々考える暇もないほど色んな事があるからかもしれないね」


「そうか」

そう言うとアーデンは私の肩を抱き寄せ寒いといけないと言ったけど本当はアーデンの心が寒かったのかも知れない。


強かった雨も小降りになり少しづつ止んで行く 小鳥は小さく一鳴きし飛びたって行った

雨が止んだ後の空気は澄んでいて気持ちがいい。さっきまで沈みがちだった気分も上がってくる


再びアーデンと手を繋いで歩き出すと

「アーデン!あれ」私は前の方を指さした

「あぁ、行こう」


私達はその物の方に駆け寄る そこには フクロウ?似てるけど異様に耳部分の羽が長い


「アーデンこの子怪我してる?」


「あぁ、だが息は有る、怪我が酷いな」


「大丈夫?助かる?アーデンの魔法で治せない?」


「すまない……怪我は治せるが羽は元に戻す事は出来ない。ただ、薬で治す方が負担が少ない」


アーデンはバックの中からエドナ草で作った薬をその子に塗ってタオルで優しく包むとバックの中にそっと入れた。


「それじゃあこの子はもう空を飛ぶ事が出来なく成るの?」


「そうだ」


「そうだって、それじゃあこの子はもう一匹では生きて行けないよね?」


「………自然の摂理だ」


「そんな………諦めるの?摂理だから?」


「絵里子、落ち着け」


「だって、だってそんな」


アーデンは私の両肩を掴み覗き込むようにして話しかけてくる

「諦めたのではない、1人で生きて行けないならば助ければ良い。そうだろう?」


「アーデン…」


「結果が変えられないなら違う方法を探せば良い。それは諦めとは違うだろ?」


「うん、うん、ごめんなさいアーデン」


「絵里子、その事を教えてくれたのは君だろ?絵里子が諦めていた俺をあの場所から連れ出してくれた。そうだろう?」


「この子を……連れて行っても良いの?」


「そうだな」


「ありがとうアーデン」

もう何回目だろうこうしてアーデンの前で泣いてしまうのは。


「絵里子がこいつに名前を付けてあげれば良い」


「名前かぁ、そうだね大切よねもう家族だもの……う〜ん」


何となくアーデンを見上げてみると前を向いたままニタニタしてる

「アーデン何がそんなに楽しいの?」


「そう見えるか?」


「だってさっきからニヤケてる」


「そうか、だとしたら絵里子が嬉しそうだからかも知れない」


「え?……決めた!この子の名前スペランツァのスペラちゃん」


「スペ、スペラン?それはどう言う意味だ?」


「私の星にイタリアって国が有るんだけどその国の言葉で希望って意味なの。でもスペランツァだと長いからスペラちゃんで。」


「希望か、良い名前だ。良かったな」

そう言いながらアーデンはそっとスペラの頬を撫でた。



それから2日後には私達はシャルルクと、ユースタフの国境に居た。


「絵里子、これから検問を通るが俺達夫婦はシャルルク国民に成る事を希望してるのだと認識しておいてくれ。そして俺は薬剤師だと言う事にする」


「わかった。でも、なぜ薬剤師なの?」


「薬草の知識がある事もあるが薬剤師はどの国も欲しがる」


「つまり検問を通過し易いって事ね」


「そうだ。色々質問されるが分からない事は俺が答えるから無理に言わなくていい」


「うん、わかった」


そうして検問所の列に並ぶと(仮面を付けてる人そこそこいるんだね。でも、付けてない人は私的には………)


「おい、仮面野郎!俺が先に並んでたんだお前は後ろに並び直せ!」


「そ、そんな。貴方は後から来ましたよね?」


「はぁ?その仮面剥ぎ取って皆んなに見せてやろうか?えぇ?」


「や、やめて下さい」

いきなり私達の前で小競り合いが始まった


「おい、辞めろ」


「なんだよ、お前も仮面かよ。不細工が不細工を庇っても面白くも何ともねぇよ」


「周りの迷惑も考えたらどうだ?皆んな疲れてここまでたどり着いて並んでる。ちゃんと順番くらい守れ」


「何を偉そうに俺に文句言うだと?」


「文句では無い、当たり前の事を言っただけだ争うつもりは無い」


「ふっ。合格だ」


「は?なっなに?何が合格?」


「いや済まないね、試させてもらったんだよ。怪しいと思った者に当たりをつけて試すこれが俺たちの国シャルルクの検問の仕方なんでね、悪く思わないでくれ」


「え?今のはお芝居なの?」


「そうらしいな」


「アーデンは知ってたの?」


「いや、知らない」その後順番が来て


「先程は済まなかったね、我が国の事は知っているかな?」


「独立国家だと言う事は知っている」


「そうか、まぁそれだけ知ってれば良い。その為には入国審査をしっかりする事が自国を守る事にも成るのでね、時にはあのような芝居もな」


「そうか」


「君は変わってるね。ところで我が国には何をしに?」


「出来れば妻と2人で住みたい。そしてシャルルクの住人として生を終えたい」


「ほう、こちらの女性は奥方でしたか。」


「そうだ、だが妻には触れてくれるな」


「これはこれは、ハハハ指輪はしているか?」


「あぁ」そう言ってアーデンは私の手と自身の手を彼に見せた

審査官は何やら丸い石を取り出し2人の指輪に当てがった


「成る程、確かに魂の繋ぎはしているな。で、我が国では何をするのかな?」


「俺は薬剤師だ。妻と2人で薬剤店をいずれは開けるようにしたいと思ってる」


「ほう、それは助かる。今我が国では薬剤店が少なくて困っているからな。だが、だとしてもだ、すぐにどうぞと通す訳にはいかない事を了承願いたい」


「それは心得ている」


「話が早くて助かる。おいあの紙を持って来てくれ」


目の前の審査官さんは後ろに控えていた男の人に何かを頼んで、「まぁ、簡単な試験だ」そう言った。


しばらくするとさっきの男性が一枚の用紙を持ってやって来た


「薬剤師でも、我が国は成るべくこうした試験をする事を義務とされてるんだ済まないが頼むよ。」


「わかった」


そう言ってアーデンはその用紙を受け取りあっという間に書き上げてしまった。

「は?え?もう終わったのか。」


「終わった」紙をアーデンから受け取った審査官は回答用紙と答えが載っているであろう紙を見比べ


「な………全問正解だと!あの短時間で?」


「他にはあるか?」


「い、いや、ない」


「そうか」


「貴方は一体………いやいい、おい入国許可証を渡して御通ししろ」


「え?良いんですか?」


「あぁ構わない。と言うか……嫌なんでも無い」


「御二方此方にどうぞ」そう促されて私達は許可証を渡され検問所を後にした。


「あの方は一体何者だ?これを全問正解だと?今は無き古代種まで知ってる?それも薬剤の仕方まで……やっと知り得た方法なのに?……おい、誰か居るか!」


********** **********


「ねぇアーデン」


「なんだ?」


「検問所で指輪を見せた時検問所の人が魂の何ちゃらとか言ってたけどあれって何?」


「あれは本当に夫婦なのか見ただけだ」


「そうじゃなくてどうして本当の夫婦かわかったの?」


「指輪を調べたからな」


「じゃなくて〜指輪を調べるとどうして夫婦だとわかるの?」


「魂を繋いだからだ」


「魂を繋ぐ?」


「そうだ、お互いの中指にこの指輪をはめると魂が繋がれる。中指とは魂に1番近い指なんだ」


「でも、はめてるだけなのに?」


「はめてるだけでは無い、お互いにはめ合う事が大事なのだ」


「はめ合う」


「そうだ、その時に魂が繋がれ、そしてどちらかが生を終わるまで切れる事はない」


「この星で証明書が無いのはそう言う事なの。じゃあこの星では離縁は無いの?」


(ギクリ)「絵、絵里子はまさか」


「ち、違うよアーデンと離縁したい訳じゃ無いから!ただ興味があっただけ!」


「そ、そうか。離縁の方法は知らない。」そう言ってアーデンは横を向いてしまった(嘘だね。まぁ良いけれど……ん?あれ?私達(仮)じゃ無かったの?)









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