2人は夫婦
今回からギャグタッチ入ってます(๑╹ω╹๑ )
しかも会話が多いです……!
「アーデン聞いても良い?」
「なんだ?」
「こうして草を摘むのは良いけど摘まれた草は痛くないのかな?」
「痛くはない。草や木は地面から下の根だけが本体で地上部分は人で言うと髪の様なものだ髪はいくら切っても痛くはないだろ?」
「それじゃあ実は子供じゃないの?」
「違うな、実は獣や鳥達の餌だ木や草は根が伸び別れ増える」
「何故わざわざ実を付けるの?根だけでも良いんでしょ?」
「共存だ。獣達は実を食べ糞をし木や草に栄養を分け与える」
「成る程ね!草も同じ考え?」
「例えばこの草だが、これはエドナ草という名だがこれは乾燥させ湯煎し傷に塗ると傷が治る。そしてこれはリッチ草という名ですり潰し水に混ぜて飲むと毒や腹痛など病が治る」
「まって、まって、覚えるから」
「良く使うから嫌でも覚えるぞ」
「あはは、良く使う様になるのね……」
「獣も人も簡単に死なれては彼等にとって困るからなこうして分け与えてくれる。ただ人は弱いからそのままでは使えない、だから使い方を工夫したがな」
「そういう事なのね」
「植物を育てたいなら根ごと植え直さなければいけない。」
また一つこの星の事がわかって来た
そうしてアーデンに色々と教えて貰いながら森の中を歩いて行く
エドナ草とリッチ草は根ごと数株持って行く事にした。
初めてアーデンに教わりながら草でカバンを編んだけど、割りかし良い出来で満足してる。
「アーデン、町に着いたらどうすれば良い?何かしてはいけない事とか有るの?」
「俺もジジ様から聞いただけだから良くは知らない、だが俺の顔は隠さないといけないらしい」
「それって王様からの追っ手とかの意味じゃないよね?ジジ様って族長さん?」
「そうだ、ジジ様は郷長で何でも知っていた。この星では醜い者は顔を仮面で隠さなければいけないと言う事も教えてくれた。人に不快感を与えてはいけないのだと」
「はぁ?何それ、アーデンは決して醜くなんてないよそれはきっとそのジジ様って人が目立つなって意味で言ったんじゃないの?」
「この星では私の顔は醜いのだ、絵里子の居た星と違うのだろう。とにかく町に着いたら仮面を買わなければ宿にも泊まれないだろうし、食堂にも入れないだろうな」
「そんな、酷い………人を外見で決めつけてしまうなんて。綺麗な人でも心が醜い人なんてたくさん居るのにそっちの方を取り締まりなさいって言いたいわ」
「そうか」
私は何に怒っているんだろう?きっと余りにも理不尽なこの星の人達にだろうけど、それよりも彼にこれ以上辛い思いをして欲しくないのに回避させる事が出来ない自分になのかも知れない。
しばらく無言でただ草を摘み歩いていると
「絵里子、すまない何か怒らせる事をしてしまったのだろうか?」と
「ち、違うよ!ただ、申し訳なくて……」
「俺に怒っている訳では無いのか?」
「全然違うからね!アーデンは何も悪く無いの御免なさいは私の方だから」
もしも、この星が私の居た地球じゃ無いのだとしたらアーデンが居なかったらどうなっていたのだろう。
あの男達が話していた言葉は分からなかったけれどもきっと良い事では無かったと思う。乱暴だったし
もしかしたら………そんな事を考えると恐ろしくて仕方ない
アーデンは、どれ程孤独で過ごしていたのだろう。
そこに漬け込んだ、まだ見たことも無いその人を私は許せない
「絵里子、あれがシエナナの町だ」
指差す方を見てみると微かに小さく町らしきものが見える
「アーデン、あの町で私達は何て言えば良いのかな?」
「何と言えば?」
「そう、どう見ても兄妹には見えないよね?王子様と従者?」
「何を言ってる?それを言うなら姫と従者だろ?」
「こんなボロボロの?」
「無いな」
「うん、無いよね」
「アーデンさえ嫌じゃなければなんだけど………」
「なんだ?」
「………恋人同士とか、夫婦とか?」
「な、な、そ、それは」
「あ〜〜御免なさい、今のナシ!すみません忘れて!」
私の希望がポロッと言葉で出ちゃった……
「絵里子はそれで良いのか?絵里子がどんな目で見られるかわかって言ったのか?」
「だって……その方がアーデンが何か言われても私の、お、夫に何言うのって怒れるし………それに私が彼女とかつ、妻だったらアーデンが何か言われることも少ないかなって………」
「どちらにしろ、好奇の目で見られると思うがな」
「御免なさい………」
「いや、わかった」
(覚悟はある、絵里子が俺を望んでくれているのなら全てをかけて守るそれに何よりも俺が望む事)
そう言うとアーデンは私の前で片膝をつき私の手を取り
「絵里子、我が妻となってくれるか?」と言い出した
「え?え〜〜!ア、アーデン?」
「夫婦になるにはこうしなければいけないのだろう?」
「アーデン?その知識どこから得たの?」
「ジジ様がそう言っていた。妻を娶る時にはこうして了解を得なければならないのだと。違うのか?」
「い、いえ、違わないと言うか違うと言うか。え?嘘のだよね?」
「嘘で妻を娶っても良いものなのか?」
「いや、それは駄目!絶対に駄目!」
「ならばこれで良いのだろう?で、絵里子の返答は?」
「アーデン?夫婦の意味知らないとかじゃ無いよね?」
「それ位は知っている、ジジ様にちゃんと教わった。この後子作りをするのだろう?」
「へ?アーデン、色々突っ込みどころ多過ぎて困るけどあのね」
そうして私は夫婦とは何かを教えなければならなくなった。
人郷離れた場所で年寄りに囲まれて育った純粋培養の彼にこの星の事を知らない私が教えると言う何と言う理不尽
彼は一緒に寝ていれば勝手に出来るものだと思っていたらしい。
だからそこは訂正して一緒に寝たからと言って子供は出来ない事、子供は神様の気分次第だと教えた。
普通年寄に教えられる事では無いのかもしれないよね。
それに私から子作りの仕方まで教えるのは辛い……。
何や感やと葛藤は有ったものの夫婦を演じる事で決着したけど、純粋な彼に務まるのかは謎です。
アーデンは、町に入る前に髪を前の方に掻き集めなるべく顔が見えないように俯向いている
私は、門の前に立っている人に夫婦だと告げ主人が旅の途中で仮面を壊してしまったと何故か詫び町に入る許可をもらった。
まずは薬屋に行き摘み集めた薬草を買い取って貰ったのだけれど薬屋のおばさんがこんなに状態の良い薬草は初めてだと喜んでくれていつもより良い値段なのよと言いながら渡してくれた。
それと聞きたかった女性の悩みについても教えてもらった。
この星の通貨はコインと紙幣で日本とほぼ同じだけど、呼び名が『円』では無く『アルク』という。日本で言う500円からこちらは紙幣になる。
薬草は丁度切れかけていた事もあるとかで全部で13万アルクで引き取ってもらった。結構2人で摘んだしね。
「アーデン、凄いねこんなに貰っちゃった」
「取り敢えず着替えと仮面を買いに行くぞ」
「うん、そうだね。私ももうボロボロだし」(キュロットスカートで良かった)
服屋に入るとおじさんが
「ほほう、見慣れない服装だね。それ、売ってくれないか?」
と言うので汚れてるけどと言うとそれでも良いと言うので勿論売る。
これも結構良い値段で売れたので嬉しい。
この先なるべくこの星の人達に馴染んで行かないと。
私達の服と着替えやバック、タオルなどの必需品とアーデンの仮面を買ってもまだ八万アルク程残ったから今日は宿に泊まってまともな食事をすることにした。
「このシエナナの町はまだゼイグロア領なの?」
「いや、森からこちらはユースタフ領だ」
「それじゃ、国境は超えたって事?」
「そうだ普通あの森を抜けて来ようとは思わないから手薄だったな」
「それじゃあひとまず安心なのかな?」(そんなに危ない森だったの?)
「そうとも言い切れないだろうな」
「何故なの?」
「ゼイグロアとユースタフは同盟国だからな」
「なるほどね………それじゃあ今度はどこに向かうの?」
「ユースタフとカンサロナの中間にシャルルクと言う国が有るのだがそこはどの国とも国交をしていないと言う少し変わった国らしい。そこに行ってみようと思う」
「どの国とも国交がないってどう言う事なのかな?」
「正直俺もジジ様から聞いただけで良くはわからないがどの国とも付き合わない独立国家だそうだ。」
「大丈夫なのかな?私達を受け入れてくれたら良いけれど」
「俺が目指すのはそのシャルルクの左端にある森だ」
「え?森?」
「あぁ、その森は『選びの森』と呼ばれて入るものを森自体が選ぶらしい。森と話す事が出来なければ決して中に入れてはくれない」
「だからそこが良いと思うのね」
「俺と絵里子なら森は受け入れてくれるだろう」
「そこに家とか建てて暮らせたら良いね」
「そうだな」
シャルルクの『選びの森』何だかとっても楽しみ。